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100日後に死ぬ父。71日目。

 昨日の新しいスプレー缶がまた散乱しているのを見て、母はいよいよ我慢できなくなり、今日から作業場の大掃除を始めた。父も強制的に参加させられて、とにかく「いるもの」と「いらないもの」の仕分けをする作業をしていた。
 母は父が「いるもの」に分けたものを、さらに「いるもの」と「いらないもの」に仕分けした。父は苦手な掃除が続いてイライラしていたけれど、あまりにも作業場にいらないものが多いので、仕分けくらいはしぶしぶ頑張っているようであった。
 父は壊れたものでも「まだ直るかもしれないから」、「部品が何かに使えるかもしれないから」と言って、決して捨てようとはしない。そう言って取っておいたものの中で、直したり再利用でたものは全体の3%くらいである。
 僕が夕方家に帰ってきても、大掃除はまだ半分も終わっていなかった。すでにゴミ袋が五つも満タンになっていて、父が仕分けをしていたエリアには、「いるもの」よりも「いらないもの」ばかりで溢れていた。けれどそれらがどれだけ作業場を圧迫していたのかが良くわかった。今も作業場は散らかっているけれど、すでに全体的にスッキリとした印象になった。
 夕ご飯の時になっても、やはり大掃除は終わらなかった。けれどだいぶ仕分けのほうは終わったようで、続きは明日へと持ち越しになった。
 せっかくの休みだけれど、明日は僕も大掃除を手伝うことになった。父はもうやる気が無くなりつつあるので、早く終わらせるにはしょうがない。
 

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