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我那覇孝淳
2022年3月25日 00:29
天使は薄暗い押し入れの角を見詰めていた。両膝を抱えてじっと角を見詰めていると自分の身体が優しい闇の中に溶けてゆく感じがする。天使はそっと瞳を閉じる。闇がいっそう深くなる。そして、あの子が来るのを待つ。消えてしまいたいくらい辛いときに、あの子はやってくる。大丈夫、大丈夫、ボクがいるから大丈夫、とあの子はやってくる。今日も来てくれる?お願い早く来てお願い。そうじゃないと、あたしは自分で自
2022年3月15日 05:24
小野場明梨はお昼のワイドショーを流し見ながらネイルを塗っていた。表参道で梟カフェ『ミネルヴァ』がオープンして若い女子に大人気だという事を女芸人がリアクションオーバーでレポートしているのだが、地方の片田舎に住んでいる小野場には興味のないことだった。そんな事よりも、小野場はネイル塗りに集中していた。すでに九枚の爪は濃ゆい桜色に塗り付けられており、残るは利き手の小指だけ。一番やりづらい一枚だけ