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Road to the Sky

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レッドスピネル空軍基地へ転属になったオリアーナ・オトウェイ大尉。しかも配属はカイアナイト空軍で「デスサーカス」と呼ばれるカイザー・オロフ・エルセン中佐率いる第一飛行戦隊だった。デ…
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#アクション

04 ナイト・サーカス

 艶を消した金髪に鮮やかなスカイブルーの瞳。年齢は三十代初めといったところだろう。顔立ちだけで判断するなら、切れ者な青年将校といったところだが、実状を目の前で見せつけられた今、見たままの印象を抱き続けるのは難しい。 「すまない」 「すまないじゃないですよ、団長。俺が来なきゃ、二人揃って団長が気付くまでここでずっと放っておかれたままじゃないですか。それじゃなくてもサイレントは自分からじゃ、滅多に口を開かないっていうのに。はいこれ、メールでも添付しておきましたが、レポートのデータ

03 ナイト・サーカス

 基本的に同じつくりだろうと想像していたが、やはり想像と同じような内装だった。コンクリート製の地下四階、地上五階建て。窓は滑走路から離れているとはいえ、戦闘機から放たれるエンジンの騒音が振動となり伝わるため、割れにくく分厚い仕様となっている。  廊下を歩く将校たちも様々だ。迷彩服に作業着、軍服にフライトジャケット。  ここ数日、引っ越しの作業もあってオリアーナは戦闘機に乗り込んでいない。フライトジャケットを見るだけで、空に飛び立ちたくてうずうずする。  ヨアヒムの案内の元、エ

02 ナイト・サーカス

 その名が有名になったのは半年ほど前。停戦と交戦を繰り返す宿敵・ローレンツ連邦国への進行のおり、その戦果が驚異的であったために有名になった。  元々抜群の飛行センスがあり、将来を嘱望されていたパイロットであったが、ローレンツ連邦国ダイン領空の制圧時に、敵機の撃墜数が一日の戦闘で五機の撃墜、カイザー以外の第一飛行隊だけで十三機の撃墜、五日間の戦闘でカイザーだけでも十四機、カイザー以外の第一飛行隊は三十二機の撃墜に成功した。  これにより、ローレンツ連邦国ダイン進行の切欠となり、

01 ナイト・サーカス

 軍用ヘリコプターから降り立ったオリアーナ・オトウェイ大尉は、ヘリコプターのローターの回転が巻き起こす風に弄られた茶色の髪を抑えながら、晴れ渡る空を見上げた。  今日から新天地。必要な荷物はもう送ってある。最後の生活必需品だったものや書類などの荷物を詰め込んだショルダーを抱え、近くに止めてある軍用車両へ向けて歩き出した。そこには長身の男が一人だけ立っている。それまで眩しさからかけていたサングラスを畳んで胸のポケットにしまい、こちらに向けて歩いてきた。 「なぁんだ、出迎えは一人