見出し画像

”不便益”ってなんだろう??コウダプロが商品開発のプロとして中学校へ出張授業に行って参りました!

ヒット屋事業部の安藤です。

私ごとではありますが、2月より未来開発室からヒット屋事業部に異動となりました!
未経験の商品開発の世界なのでてんやわんやになりながらも日々をどうにか生き抜いています。



実は私たち、中学校の授業に参加してきました~~~!!
突然なにごと?!と思う方もいらっしゃると思うので早速ではありますがことの経緯をお話させていただきます^^




■なぜ中学校の授業に参加することに?

はじまりは1通のメールから。


以前、KBC九州朝日放送の「アサデス。」のコーナーで弊社の新入社員研修「ダーツの旅」を取り上げていただいたのですが・・・


ダーツの旅の様子はこちら↓

この放送をご覧になった遠賀南中学校の先生がこんなメールを送ってくださったのです。

突然の御連絡、失礼いたします。
私は遠賀郡にあります、遠賀南中学校で国語科教諭をしております元重と申します。

先日、貴社の画期的な新人社員研修がテレビ番組で紹介されていたのを拝見いたしました。貴社が「ワクワク」や「面白い!」を追求して商品開発をされていることを知り、今回メールをさせていただきました。

実は今、中学校一年生の国語科の授業の中で、「不便の価値を見つめ直す」という説明的文章の学習をしています。
その単元のゴールとして、「不便益商品を開発しよう!」という課題を設定し、教科書から読み取り、理解した「不便益」を生かした商品を開発して、紹介する文章を書こうという学習をすすめています。
「不便益」とは、京都先端科学大学の川上教授が提唱している考え方で、便利さばかりを追求するのではなく、不便さの中にあるよさに目を向けてみよう、というものです。
例えば、移動方法というテーマで考えたときに、タクシーは労力がかからず便利ですが、景色や道のりを楽しむことはできません。しかし、労力がかかり、疲れてしまう徒歩だと、その途中で人や景色との出逢いを楽しめる、だから旅先や日常生活の中でも徒歩という「不便」を選択する人もいる、というようなものです。
このような内容を教科書の文章から読み取り、分析し、理解した上で、不便だけど良さを見出せるような商品を考えてみよう!というプロジェクトです。

生徒たちには、考えたものを校内で発表し、先生方や先輩方に見てもらおうね、と話してプロジェクトをすすめていましたが、せっかく考えた不便益商品を、実際に商品開発をしている方々に見てもらい、評価していただくことで、生徒に達成感を味わわせることができるのではないか、と考えております。
それにあたり、貴社の経営理念が今回の学習と合致するものだと考えております。是非前向きにご検討いただけると幸いに存じます。

ご多忙の中、大変恐縮ではございますが、ご検討いただき、お返事をいただければと思います。
ぜひ、よろしくお願いいたします。

まさか番組をご覧いただいてこんなご依頼をいただけるとは!
社員一同大喜びです!


我々が中学生の皆さまの学びに貢献できるなら…との想いでお受けさせていただくことになりました。
ちなみに講評を担当したのは弊社代表の幸田と原口です。


■いざ!遠賀南中学校へ!

気持ちよく晴れた春の日の午後、私たちは車を走らせて遠賀へ向かいました。

遠賀町立遠賀南中学校に到着しました~!!

素敵な看板
玄関にて先生方がお迎えくださいました。



ひさしぶり(卒業以来・・・・?!)に入る中学校にドキドキ・・・!!


今回の授業の流れを先生から聞いていざ、教室に入ります・・・・・!!!








中学生のみなさんがいました!(当たり前。笑)

黒板には今回の授業の概要が・・・・!








不便の価値を見つめなおす

めあて:「不便の価値」についてより現実的にとらえるために、「不便益」を生かした商品
を考え、相手に魅力が伝わるプレゼンをしよう。

「不便益」を生かした商品を考えるだけでも立派なことですが、相手に魅力の伝わるプレゼンをしよう。が授業のテーマです。







む、むずかしそう~~~~!!!!!!



先日私も仕事でプレゼンをしました。
必要な情報を伝えるのはなんとかできましたが、相手に魅力を伝えるという点がなかなか難しく苦戦しました。
ただ、資料を読むだけでは魅力は伝わりません。

私自身も今回の授業でプレゼンの極意を学ばせていただきます_(._.)_




中学生が考えた「不便益」を生かした商品は、、、、、

①3回書くメモ帳

②テトリス収納

③練習用ランニングシューズ

上記3つの商品です!商品名を見るだけでワクワクします。
楽しみです♪


■3回書くメモ帳

トップバッターは「3回書くメモ帳」チームです。

このメモ帳は3回書かないと文字が消えてしまうメモ帳です。1回でメモできないとは・・・。と不便に思ってしまうかもしれません・・・。


メリット、デメリットを見てみましょう!

分かりやすい表ですね!!

メモをするのに時間はかかりますが、3回書くことによってメモした内容を覚えることができます!

買い物に行くときに事前に買い物リストをメモをしたのは良いものの、メモを持参するのを忘れてしまい結局何を買えばいいか分からなくなる・・・。そんな経験したことありませんか?
私はあります。

このメモ帳は3回書くという手間はかかりますが、メモの内容を覚えることができるので万が一メモを忘れた時も大丈夫です!

プレゼンを聞いたあとは、みんなで感想を述べあいます。我々もいざ講評・・・!



プレゼン発表後、感想を書いている様子。

提出した感想がこちら↓

幸田のコメント

内容的に素晴らしいです。
本当に鳥肌が立ちました。
この柔らかい発想の転換。
不便の定義の点数が低いのは、不便を解消するのではなく、不便に価値を持たせるという、視点の転換は不便の定義を外れるかなと思って点を低く付けました。
ですが、これは定義を超えるほど素晴らしいとご理解いただければと思います。
このアイディアで着想した、幸田の考えは、3回書かないと送れないライン。(LINE)
ライン(LINE)の打ち込み方でAIが感情を判断。
怒っているなら、冷静さを促すために、3回入力しないと送信できない。
そういうライン(LINE)の機能があったらすごいなと。
これも皆さんのアイデアを派生させて考えたものです。
それほど素晴らしかったです。


原口のコメント

「たくさん書くほど記憶に残る」という普遍的なことをメモ帳として商品アイデアを考えられた点が素晴らしいです。

寸劇による「こんな悩みありますよね」の話も分かりやすかったです。
でも、買い物メモなら、現代人はスマホにメモする習慣があるからあまり必要なさそう・・・!?

勉強用のツールとしてなら良いですね。


安藤のコメント 忘れることはしょうがない・・・^^謎の開き直りコメントです。

人は忘れる生き物。忘れることはしょうがない。ならば忘れないようにするためにどうすればいいか考えた商品でした。
たとえメモを紛失したとしても覚えている仕組みがすごい。




■テトリス収納

次は「テトリス収納」チームの発表です。
テトリス収納とは・・・?

ゲームのテトリスのように決まった形の隙間に収納しないと収納できない収納ツール。
文章だけでは分かりづらいと思いますが、プレゼンでは分かりやすくテトリス収納の魅力を伝えるために模型を作って見せてくれました!


模型まで作ってプレゼンしています!すごい!

大きな枠の中にさまざまな形や大きさの収納スペースがあります。


テトリス収納における不便の良い面と悪い面の説明です。

形に合うように考えて入れないと収納できませんが、考えるという行程が加わることで頭を使い、脳トレに繋がります。
形を自由に変えられるため、大きなものから細々した小さなものまでニーズに合わせて収納できる幅の広さがあります。


このプレゼンを聞いての感想がこちら↓

幸田のコメント

テトリス収納。
素晴らしいです。
小説家の島田雅彦氏の自宅がアンチバリアフリー住宅といって不便極まりない家で、それで逆に体力を鍛えると雑誌のインタビューで答えていたのを思い出しました。

もう一ひねりするとさらに優れたアイデアになると思いました。

例えば、、、ゲーム性?
このかたづけタイムの世界記録とかを競って子どもたちのおもちゃのかたづけをタイムアタックするとか、そういう要素を絡めると、親の「面白そうだから一回買ってみるか?」というような消費につながるような気がしました。

見本まで作って、熱意の伝わるプレゼンでした。
素晴らしいですね!


原口のコメント

「テトリス収納」という名前がキャッチーで人の興味関心を抱かせます。
収納(片付け)は誰にとっても面倒なことですが、遊べて脳トレもできるという要素でその面倒を「楽しい」に変えているのが素晴らしいです。
いったいどなたがこのアイデアを思いついたんだろう!?と驚きました。

「魅力的か?」の評価項目に3を付けたのは、私がこの商品のターゲット層ではないからであって、私がおばあちゃんになったり、子どもができたときにはぜひ欲しいと思うのではないか?と思っています。



安藤のコメント・・・。他の2人に比べると圧倒的短文。

収納しながら脳トレできるのは一石二鳥。ただ、自分のような面倒くさがりは力づくで物を押し込んでしまいそうだとも思った。

物を片づけることだけに限定しない自由さが感じられた。




■練習用ランニングシューズ

最後は「練習用ランニングシューズ」チームのプレゼンです。

練習用ランニングシューズとは・・・
靴底の部分におもりを入れて負荷をかけることのできるランニングシューズです。
負荷がかかることによって鍛えられ、特別なことをしなくてもトレーニングができる素晴らしいシューズです。

プレゼンターの「長い距離を走るのは苦手。だけど走れるようになりたい!」という願いのもと考えられたものがこの商品です。



図での説明がとっても分かりやすいです。
練習用ランニングシューズにおける不便の良い点と悪い点を説明しています。

このプレゼンを聞いたチームコウダプロのコメントがこちら↓

幸田のコメント

昔からある、鉄下駄・アンクルウェイト・大リーグ養成ギブス(興味のある方はググって見てください・笑)を思わせるものでした。
誤解なく!昔に同じものがあるからダメなんて思いません。
それだけ、人の普遍的な欲求に基づくものです。
何も否定されませんので(^^)

ただ、、、
超距離を走る時は心肺強化、重りで鍛えられるのは筋力かなぁと。
それと、、、膝の負担も気になるところです。
それらを解消するとしたら、、例えばかかとのないランニングシューズとか??常につま先で立たねばいけないから、やたらきつい、休めない。。。とか???笑



原口のコメント

いますぐシューズメーカーにこの商品のプレゼンをしても良いのではないか?!と思うぐらい素晴らしいアイデアです。
聞いていて素直に「欲しい!」と感じました。

「靴に重りをつけることで力がつくの?走れるようになるの?」と疑問に思いましたが、エビデンス(研究結果)も示されていて素晴らしかったです。

プレゼンに説得力を持たせるために、プレゼンターが実際に靴に重りをつけて走った感想や、(もし時間があったなら)1か月間走った結果などを示してもらえると、よりこの商品の価値を伝えられたかなと思います。



安藤のコメント 自分で書いといてアレですが、うん・・・。ちょっとね。。。^^

自分の悩みから開発されたシューズ。
靴底に錘を入れることでの不便さはあるが、その結果トレーニングにつながり長い距離を走れるようになるということになんとなく人生観を感じた。

楽な方に流されると一時的にはいいが、結果的に大きな目標を達成することは難しくなる。
迷ったら困難な方向に進む方が成長できる。






3つのグループの発表が終わりました。


各チームのプレゼン発表後は盛んに質問や感想が飛び交っていて、中学生のみなさまの積極的な姿勢が大変素晴らしかったです。


また、相手に伝わる魅力的なプレゼンができていました。
ただ話すだけではなく、実演をしたり、模型を作って見せたり、エビデンスを付けるために研究結果も提示してみるなどの工夫がありました。
私自身も学びの多い授業になりました!






プレゼンの授業が終わったあとは、
~商品のアイデアは日常生活に関心を持つことから生まれます~『中学生からできるビジネスヒントの見つけ方』」というテーマの授業です!
講師は弊社代表の幸田です。

幸田先生です!!!

いよいよ授業が始まりました!


幸田先生:「世の中にはいろんなお仕事がありますが、私たちは商品開発の仕事をしているので今日はそれにまつわる話をさせていただきます。



みなさん、もしかすると『アイデアってどうやって考えるんだろ~』とか『難しいな~』と思われているかもしれません。



僕はたまたま面白いことやバカなことを発想するのが好きで得意で今の仕事をしているのですが、これは必ずしも全員ができる必要があるとも思っていないんです。



世の中には本当にいろんな仕事があって、みんなが自分の個性や得意を生かして仕事をしていけばいいと思っています。
という前提で話に入りますね。



黒板に『商品のアイデアは日常に関心を持つことから生まれます。』と書いてありますが、どうして日常生活に関心を持つとビジネスや商品のアイデアが見つかると思いますか?」


生徒さん:「日常を過ごす中で不便を感じたり、こんなものがあったらいいなと思えるからです。」



幸田先生:「そうそう!そういうことです。
僕は『不便を感じたり、こんなものがいいなと思えること』を自分なりの言葉で『瞬間を知覚してあたり前を疑う』と言っています。



例えば、ここにピアノ用の椅子があります。
これの高さを調整するのって結構な力がいるんですよね。
先生たちはきっと毎回『疲れるなぁ』と思いながら高さを調整されているのだろうと思うのですが、力を入れずに調整ができたらいいと思いませんか?



僕はこんなふうに、みんなが当たり前だと思っていることに疑問を持ち、そこから解決策を考えています。
それが自分の仕事になっているんです。」

幸田先生:「日常をよーく見てみると、いろんな疑問が出てきます。
例えばおにぎり。
みなさん、好きなおにぎりの具がそれぞれあると思います。
僕は特に昆布が好きなのですが、実は他の味も食べたい。
でも最近は健康に気を遣っているので何個も食べるのはちょっと嫌なんですよね…。


そこで!コンビニで『味の異なるミニサイズおにぎりが3つ入ったセット』が売っていたら嬉しくないですか!?
僕はそれがあったら多少割高でも買いますし、たぶん僕以外にも同じような人はいると思います。」

幸田先生:「日常生活に関心を持つ。『瞬間を知覚してあたり前を疑う』そうすると自然に商品開発のアイデアが出てきます。」



今回の授業を通してはじめて「不便益」という言葉を知りました。



日常で不便に感じていることのなかには不便だからこそ得られるメリットや副産物もあることに気付かされました。
物事の捉え方や視点を変えて不便の中に不便益を見つけていくと日常が豊かになっていくなあと感じました。



当たり前を疑うことも商品開発には欠かせません



私自身2月にヒット屋に異動をして未経験の商品開発の世界に飛び込んだので非常に参考になりました!



そして、生徒さんのプレゼン能力とアイデア力の高さに驚きました。
今回紹介してくれた3つの商品はどれも瞬間を知覚して、当たり前を疑って、疑問を持つことができたから考えられた商品でした。



それぞれの商品のプレゼンでは模型を作るなどのさまざまな工夫を凝らし、相手に伝わる魅力的なプレゼンができていました!中学生の頃の自分が果たして同じことができたでしょうか?



今回中学校に訪問して一緒に授業に参加する貴重な経験ができ、遠賀南中学校の皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました!!!


最後に今回の授業の感想を生徒さんより頂戴いたしましたので一部掲載いたします^^

不便益商品の発表会では、覚えたセリフを少し忘れるなどしたけど、今までの班のみんなで考えたり、練習したり成果を出せたと思うので良かったです。次、プレゼンをする機会があったら、よりよいプレゼンを目指していきたいです。幸田さんの講演会では、商品開発における大切な視点や考え方を知ることができて、とてもいい機会でした。

最初は全然内容が決まらなくてうまく行くか不安だったけど、どうしたら相手に伝わりやすいかをみんなで考えて劇をすることになりました。自分たちの中では成功したと思えたので良かったです。

そして幸田さんの話でもあったように「不便のままで終わらせない」という言葉が心に残りました。

僕は聞いている人に内容がしっかりと伝わることだけ考えて資料や原稿を作っていたけど、聞いている人たちをワクワクさせたり、興味を持ってもらうこともとても大切だと幸田さんがおっしゃっていたので、「3回書くメモ帳」を発表した人たちみたいに実体験を用いることで、聞いていた僕もワクワクしながら楽しめたので、なにかを提案するときは参考にしてこれから頑張りたいです。

不便益商品の発表会では、相手により、分かりやすく紹介するために工夫したり、ちょっぴり緊張したけれど、プレゼンがいい経験になったし、一から新しい商品を作るのは、大変な仕事なんだな~と改めて、知ることができました。

また幸田さんの話しでは、一から商品を作るにあたって、「日常への関心」を持つことが大切であり、”瞬間を知覚してあたり前を疑う”ことで、不便を見つけることができ、あたり前と思っていたことはあたり前ではないという事を気付くことができる。そしてよりよい商品を作れるということが知れました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?