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あなたに何かあったとき、1番に呼ばれるのは私でありたい。

著名人の訃報を聞いたり、事件や事故で誰かが亡くなったり、"死"を身近に感じたとき、無性に好きな人に会いたくなる。

怖いのだと思う。

当たり前ではない命、ある日急に失うのではないかと怖いのだ。

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私には、東京にきてその存在に救われた、大切な人がいる。共通の知人を通じて知り合った、とてもとても大切な人が。

ある日、話の流れで「もしも私が死んだなら、その時はお葬式に来てくれますか?」と尋ねると、月明かりがうっすら差し込む部屋の中、天井を見ながら「もちろん、呼んでもらえるのなら行くよ」と返ってきた。

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少し前、彼は入院していた。2年前も同じ症状で入院していたらしい。今回もまた、あ、やばいな、と思って自分でタクシーに乗って病院に行き、入院したそうだ。親にも話してはいないと。そのような状況で、私が頼られることはなかった。当たり前と言えば当たり前なのだが。

私は彼が心配で心配でならない。不規則で休みもないような生活を続けていて、いつか倒れるのではないかと思う。少しでも力になりたい。

けれど私たちの間には、何もない。
何もないのだ。

また会えるかも定かではない。
なので別れ際は、惜しむようにぎゅっと抱きしめる。これが最後かもしれないと、涙目になるのを見せないようにして、ぎゅっと抱きしめる。他人の体温は大嫌いなのに、彼の体温だけはこの上なく愛おしいから不思議だ。

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私が倒れたとしても、それを彼が知ることはない。私が彼の入院を知らなかったように。

そのような話をしてしていて、ふと思った。

"あなたに何かあったとき、1番に呼ばれるのは私でありたい。"

そう思うと急に、結婚もなるほどなと思えた。

私はこの、14歳年上の偏屈で頑固でめんどくさい、父に似た人と結婚したいと思っているのだ。

"いつか会えなくなる日まで、会えるだけ会えたらそれでいいか"なんて思っていたはずなのに、ずいぶんと欲張りになったものだな、と笑いにも似た深いため息をを吐いた。

追いかけても追いかけても 逃げてゆく 月のように…なんて大好きな曲を思い出す、月というよりも幻に近い蜃気楼のような人なので、おそらく関係は平行線のままだろう。

それでも、好きになって良かったと思う。いつか思い出になる日がくるかもしれないが、好きになって良かったと思う。結婚したいと思う気持ちを知ることができた。

"あなたに何かあったとき、1番に呼ばれるのは私でありたい。"

そう思った時に、私は結婚を意識するのだと、知ることができた。それだけで大収穫だ。


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