見出し画像

紋切り型生活

毎日同じような生活して、つまらなくないの?

習慣は大事だとか、朝ごはんは必ず食べるとか、夜は何時までに寝るとか。
子供の頃に教えられてきた生活。
そんな生活に反発する時期が彼女にはあった。

それでもある条件が揃うと毎日同じよう。
いちど失った習慣はまた習慣化するためには莫大な労力を費やさなければいけないことを知った。そして習慣化することで生じる確かな安定を知った。
体が勝手に動くと言ったらいいのだろうか。
考えなくても、そうしなければ気持ち悪い。
ある日突然それをしなければいけない。そんなふうに言われたのなら、きっと難しいことはなんとなくわかる。


いまの彼女の生活は紋切り型。
自ら望んだ紋切り型生活に心は満足感でいっぱいだ。

朝起きて窓を開けて浴びる日差しの眩しさ。
薬缶に水を入れてからガスを捻って火がつくまでのチッチッチという音。
冷え切った部屋に放出される、薬缶の口から溢れ出す蒸気。
ちょっと濃い珈琲を飲みながら、ベランダで吸う煙草。

今日はなにをしようと想像力を膨らませる午前。

ああ、もう今日が終わってしまうと諦める午後。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?