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小さな無理や無駄を積み重ねてはいませんか?(『老子』二十四章)

今回取り上げるのは『老子』二十四章からの言葉。
(注:出土資料の帛書では二十二章にあたる)

其の道に在けるや、余食贅行と曰う。物或いはこれを悪む
(読み:ソのミチにオけるや、ヨショクゼイコウとイう。モノアルいはこれをニクむ)

『老子』二十四章

無理をしたり、余計なプライドに振り回されたり。こういったことは無為自然の「道」からすると、余分に食べ物を食べたり、余計な行動をしたりするようなものである。自然界の万物はこうした無理・無駄を嫌うのだ、という意味。

つまり、無理をしたり、無駄な感情に振り回されたりせず、自然体で過ごすように心がけなさい、ということですね。


老子は無理や無駄を嫌います。

無理は長く続きませんし、無駄は本来なくても良いものだからです。

老子が求める「道」とは、自然本来のあるがままの姿。

無理なく、互いに争うことなく、自然の流れに身を任せて生きていくようなイメージです。

故に、老子からすれば、仕事のために身体を酷使したり、互いのプライドのために口論したりするようなことは、絶対に避けるべきものとなります。

どちらも、自然本来の姿・あり方ではないからです。

それでは、ここで老子の理想の姿を見てみましょう。

上善は水の如し
(読み:ジョウゼンはミズのゴトし)

『老子』八章

「道」を体現する、最も理想の在り方は水のようなものである、という意味です。

水は重力に逆らわず、上から下に流れていきます。

途中に石や岩があっても正面からぶつからず、両脇に分かれながら流れていきます。

その姿は常に自然体。

けっして無理をせず、目の前のものを柔軟に受け流して進んでいくのです。

これらの性質から、老子は水を高く評価しています。

水はシンプルで、無理をせず、他者と争わず、柔軟さも秘めているからです。

このような素晴らしい水に、余計なものは不要でしょう。

無理に堰き止めたり、濁らせてしまっては、本来の良さが失われてしまいます。

水に「余食贅行」は要りません。

水は水だから良いのです。

これは人も同じ。

自分の限界を超えて無理をしたり、自分にとって不要なものに振り回されたりしては、本来の自分の良さを十分に発揮することができなくなります。

老子も、「道」を修めた人は無理や無駄をしないものだ、と述べていますよ。


真面目な人ほど、無理をして何でも頑張り過ぎてしまったり、持ち物を処分するのがもったいなく感じて断捨離ができなかったりします。

しかし、無理を続ければ心身を壊してしまいますし、使っていない無駄な物をとっておいても、余計なスペースや物を探す時間を浪費してしまうだけです。

私のnoteでは、たびたび「無理をしないこと」の大切さをお伝えしてきました。

しかし、「無駄をなくすこと」もとても大事です。

ZIPPO社が実施した「探し物」に関する調査によると、日本人は1か月に約76分もの時間を探し物に費やしているとか。

76分もあれば、読書をしたり、運動をしたり、オンライン講座を受講したり、というように色々できそうですよね。

物はいざとなれば買い直すことができますが、時間はそうではありません。

小さな無駄によって人生の貴重な時間を失うことの方がよっぽどもったいないと思います。

QOL(人生の質)を上げていくためにも、定期的に自分の日常を振り返ってみて、身の回りの無理や無駄をなくすようにしていきたいですね。

其の道に在けるや、余食贅行と曰う。物或いはこれを悪む
(読み:ソのミチにオけるや、ヨショクゼイコウとイう。モノアルいはこれをニクむ)

『老子』二十四章

今回は、無理をしたり、無駄な感情に振り回されたりせず、自然体で過ごすように心がけなさい、という言葉をご紹介しました。

老子は「無理と無駄」を嫌っています。

私もついつい無理をしちゃったり、もったいなくて物を捨てられなかったりするので、これを機に人生の断捨離を進めていこうと思います。

それでは今回はここまで。

また次の記事でお会いしましょう👋


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