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栄養士に読んでもらいたい!パフォーマンスとウエイトトレーニング

この記事をご覧頂き、ありがとうございます!

Kandy(かんでぃー)です。
私は埼玉県で、健康を支えることを生きがいにしています。

前回はトレーナー向けに、パフォーマンスと食事についてお伝えしました。


今回は「パフォーマンスとウエイトトレーニング」について、お話ししたいと思います。

なぜ栄養士に読んでもらいたいのか

この記事は栄養士の方に向けて、書いています。

なぜなら、スポーツ現場で栄養士として関わる際には、スポーツ栄養学の知識はもちろんのこと、他職種がやっていることをある程度まで、理解できる能力が求められるからです。

その中でも栄養士として、監督やコーチ、メディカルスタッフと同じくらいコミュニケーションを取るのが、ストレングス&コンディショニングコーチ(以下、S&Cコーチ)です。

S&Cコーチは、ウエイトトレーニングを中心にパフォーマンス向上を目的としたトレーニング指導を行っています。

S&Cコーチと栄養士は、さまざまな場面で連携が求められます。

なぜならウエイトトレーニングの適応と食事には、深い関わりがあるからです。
それを示すのにぴったりの一文があるので、ご紹介します。

トレーニングに対する適応として望まれるものの多くが、実際はリカバリー期間中に行われるにもかかわらず、運動トレーニングやパフォーマンスに関わる研究の大半は、もっぱらトレーニング方法に焦点が当てられる。

リカバリーの科学/Christophe Hausswirth, Iñigo Mujika 

この中の「トレーニングに対する適応として望まれるものの多くが、実際はリカバリー期間中に行われる」という部分は栄養・休養の重要性を伝えていると、私は感じています。

これまでも散々言われてきたことですが、改めて「運動と食事」はセットで考えるべきで、その運動の一つがウエイトトレーニングなのです。

私はS&Cコーチ・管理栄養士としてスポーツ現場に関わる立場から、栄養士の方にもウエイトトレーニングとパフォーマンスの関係について、知ってほしいと思っています。

この記事が、今後の他職種との効果的な連携につながれば幸いです。

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ウエイトトレーニングがパフォーマンスに貢献する理由

「ウエイトトレーニングはパフォーマンスに貢献する」
これは事実であり、貢献しないのであれば、そもそもこれだけ広く取り入れられることはないでしょう。

数年前まで、ウエイトトレーニングは瞬発系のアスリートが、パワーの向上を目的に行うものとされてきました。
そのため、持久系のアスリートがウエイトトレーニングを行うことは、ほとんどありませんでした。

しかし近年、適切なウエイトトレーニングのテクニックや、パワーの向上がランニングパフォーマンスを向上させることがわかってきています。
そのため、多くの持久系アスリートがウエイトトレーニングに取り組み始めています。

ランニングは、前方向へのジャンプの連続体である。

この表現を聞いた時、持久系アスリート、特にランナーへのウエイトトレーニングの必要性が、バチっとつながる感覚がありました。

話が脱線しましたが、どのアスリートもウエイトトレーニングの恩恵を受けることができると、私は考えています。

その上で、ウエイトトレーニングがパフォーマンスに貢献する理由について、3つお伝えします。

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①動作中のパワーを向上させる

ウエイトトレーニングは動作中のパワーを向上させることができます。
動作中のパワーが向上すれば、競技中に必要な場面での身体パフォーマンスを向上させることが可能です。

なぜ、そんなことが可能なのか。

それはパワーという1つの要素を分解していくとわかりやすいです。

パワーとは、「どのくらい重いものを、どのくらいの距離、移動させるか」なので、「パワー=力 × 距離」という式が成り立ちます。

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さらにスポーツでは一瞬の判断で素早く力を発揮する必要があるため、「どのくらい重いものを、どのくらいの距離、どれだけ速く移動させるか」と変換されます。

これを「仕事率」と呼びます。

こちらは「仕事率(動作中のパワー)=力 × 距離 ÷ 時間」で表され、シンプルにすると「仕事率=力 × 速度」です。

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こちらを見れば、動作中のパワーの向上というのは、力(筋力)を高めるか、速度を速めるか、また双方を高めることにより、達成できるということがわかります。

S&Cコーチは競技中のパワーを向上させるために、ウエイトトレーニングという方法を用いて、力と速度を向上させるようなメニューを選手に提供しているのです。

②競技に有利な体格を得る

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それぞれの競技において、有利な体格というものがあります。

例えば、コンタクトスポーツであるラグビーの選手は、他の競技選手に比べ、身体が大きく、重い選手であることが多いです。

これはラグビーという競技を戦う上で、身体が適応していった結果とも捉えることができます。

しかし、ラグビー選手はウエイトトレーニングを週3〜4回と、他の競技よりも比較的、高頻度で実施することが知られています。

ラグビーに必要な体格を得るためには、それだけウエイトトレーニングをたくさん実施しなければならないのです。

「競技練習で身体が大きくなるのであれば、練習だけやっていれば良くない?」
と思う方もいらっしゃるでしょう。

ここでお伝えしたいのは、ウエイトトレーニングのメリットである「時間効率」と「安全性」です。


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通常の競技練習によって、身体を大きくしようと努力するのは非効率です。
なぜなら、競技練習の目的は競技力の向上であり、有利な体格を得るために行っていません。
結果として、競技練習の目的がぶれれば、多くの時間を犠牲にしてしまうリスクが高くなります。

一方、ウエイトトレーニングは意図を持って、身体を大きくするように、トレーニングの方法を選択することができます。
身体を大きくするために必要な身体への負荷を、ウエイトトレーニングは競技練習に比べ、より短い時間で得ることが可能です。

また時間効率と同じくらいメリットとなるのが、「安全性」です。

「ウエイトトレーニングに取り組む時間に、全く怪我のリスクがないか」
と聞かれれば、ゼロではありません。

しかし、競技練習や試合中の怪我の発生率と比較すると、そのパーセンテージはかなり低いことが報告されています。

アスリートにとって、怪我で練習や試合の経験を積めないことが、大きなマイナスになります。

競技練習に時間をかけて有利な体格を得るよりも、ウエイトトレーニングで安全かつ効率的にトレーニングを取り組む方が、現実的なのです。

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③傷害予防を行う

選手にとって、選手人生の中でぶつかる壁が、「怪我」です。

なんの怪我もなく、一日も練習を休まなかったという選手の方が、少ないくらいでしょう。

先ほど「アスリートにとって、怪我で練習や試合の経験を積めないことが、大きなマイナスになる」とお伝えしました。

この言葉に裏に、パフォーマンスが向上する1番の方法は、やはり練習や試合を休まず、積み上げていくことだということがわかります。

では傷害予防には、どのような方法があるでしょうか。

トレーニングや試合後のケア、睡眠、運動量のコントロールなど、どちらかと言えば、「疲労の軽減」が傷害予防につながるとお考えの方も多いと思います。
栄養士の方であれば、「食事」をバランスよく、適切な量を食べることが大切だというかもしれません。

もちろん全て正解ですが、ウエイトトレーニングも傷害予防に貢献することがわかってきています。
具体的には、怪我の発生率を1/3以下にまで減らすことができるという報告があります。(競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方/ 河森 直紀)

その理由を簡潔にいうと、下記になります。

身体の正しい動きを、適切な筋力で、コントロールできるようになるから。

よって、S&Cコーチが選手にウエイトトレーニングを指導する時には、可動域(関節が動く範囲)を求めますし、その中で筋力やパワーを発揮できるように促しています。

上記は、動作中のパワーを向上させるトレーニングでも同じなので、あえて傷害予防を目的にトレーニングをすることはありません。
しかし、選手がウエイトトレーニングに取り組む理由として、パワーの向上だけでなく、傷害予防も可能だと理解できれば、やらない理由はないように思えます。

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終わりに

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いかがでしたか。

ここまで、ウエイトトレーニングがパフォーマンスに貢献する理由について、お伝えしました。

読んでいただいた栄養士の方は、未読の栄養士の方に比べ、S&Cコーチの取り組んでいることへの理解度が、高まっていることでしょう。

またS&Cコーチの取り組みと栄養・食事が、深く関わっていることにも気づくはずです。

例えば、「①動作中のパワーを向上させる」では、ウエイトトレーニングが動作中のパワーを向上させるとお伝えしました。
これはすなわち、身体にとっての「エンジン」をよりパワフルにさせるということです。
しかし、いくらパワフルなエンジンでも、そこにガソリンがなければ、爆発的にも持続的にもパワーを発揮することは困難になります。
身体にとってのガソリンはエネルギー・栄養素であることを、もはや言うまでもありません。

「②競技に有利な体格を得る」と「③傷害予防を行う」では、どちらもリカバリーの観点で、栄養・食事が関わります。
効果的なリカバリーには、身体の必要量に応じたエネルギー・栄養素を摂取することが重要です。

「スポーツ栄養士として、スポーツ現場でのサポートを行いたい!」

そのような夢をお持ちの方は、ぜひ今回お伝えした内容をもとに、他職種の方とのコミュニケーションも積極的に行ってみてください。

きっとたくさんの周りの人に頼られる栄養士になることでしょう。



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