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僕なりの試合観戦法

最近、高校生や中学生と一緒にラグビーを見ていてよく聞かれることがあります。

「試合を見るときにどこを見ればいいですか?」

結論から言うと、どこを見れば良いというものはないと思いますが、ある程度試合の流れやゲームの構造を理解するために個人的に意識しているチェックポイントがあるので、今日はそれを紹介していこうと思います。

チェックポイントはどうでもいいよ。という方はまとめだけでも読んでいってください!!

※あくまでも個人の感想です。推奨するわけではありません。


◇キックオフ

まずはこれ!初っ端のキックオフをどこに落とすのかという部分はすごく意識しています。
競れる位置に落とすのか深く蹴り込むのか。タッチライン際なのか真ん中なのか。
落とす位置によってチームの色というものが見えてきます。一般的には22mと15mの交差するあたりにキックが蹴られることが多いと思います。最初のキックオフでここ以外の場所を狙っているなと感じた場合には要チェックです。この時点で何故ここにキックオフを蹴ったのだろうかと思考を巡らせることで、後々ゲーム展開を見ながらそのチームの考えていることを理解しやすくなります。


ラインアウト

ここに関しては以前書いたこちらの記事を参照してもらえればわかると思います。

最近の僕のラグビー観戦はここに重きを置いたスタイルになっています。キックオフ同様、相手に左右されずに自分たちの狙っていることをできるプレーなのでチームカラーが出やすいです。
また、何人のラインアウトでどのようなプレーを選択するのかといった部分に注目していれば、セットプレーからのATの引き出しを増やすことができます。

上の記事ではATにフォーカスしていますが、ラインアウトDFもチェックすべきポイントです。

競るのか競らないのかといったポイントはエリアによって変わると思いますが、競るときにどのユニットを優先的に飛ばそうとするのかといった部分などミクロな部分で見ることもできますし、相手に獲得された後のFWの動きやBKの動きといったマクロな部分でも見ることができます。内側のDFはFWに任せてBKはすぐに開いていくのか、FWはSHにプレッシャーをかけてBKは1on1で止めようとしているのか。など考えられることが多いと思います。


スクラム

ここは割と僕の趣味が入ってきている部分なので細かい部分は割愛します。
どちらのスクラムが優位なのか。どちらにスクラムを回そうとしているのか。それは意図的なのか結果なのかなどなど...

スクラムはグラウンドを縦に区分けした、「レーン」によって回したい方向や、ATオプションが変わります。

DFのSHの立ち位置、FL,NO8の飛び出しやすさやコースどりなども加味するとただのBKのAT以上のものが見えてくると思います。


ブレイクダウン

ブレイクダウンという項目で僕が重視しているのは、これが出来る位置と理由です。もちろん、BDファイトが優位なのかどうか、リサイクルが速くできるかどうかといったミクロな部分も見ますがそれほど注視していません。

BDができる位置というのはチームのATの方針を示すものです。
両サイドにATしたいから真ん中に作るのか、順目のスペースを潰したくないから9シェイプで近場で作るのか。など色々な理由があると思います。

また、BDを「作った」のか「作らされた」のかという部分も重視しています。
BDを作らされるというのは、意図していない場所でタックルされてしまうことを指します。
外にボールを運びたかったのにポッドの繋ぎ目を狙われて中途半端な位置でBDを作らされたというシチュエーションはハイレベルになると多々あります。

その場合にはATシステムが崩れがちなので、どのように立て直すのかというところを見ていきます。ここでの立て直し方は基本的に同じコンセプトで行われていると思うので是非見てみてください。


DF(BK3)

ここまではATにフォーカスして見てきましたが、実はセットプレー以外で僕が一番注視しているのはDF、主にBK3の動きです。
BK3の動きをフロントラインのDFよりも見ているといっても過言ではありません。と、いうのもBK3のポジショニングが悪ければキック一発で敵陣深くに入ることが出来るからです。

また、フロントラインの人数が足りないのにも関わらず、上がってくるのが遅いBK3がいるのであれば外にボールを運び続ければチャンスになります。

キックを蹴るか蹴らないかといったチョイスは相手のBK3の動き次第で大きく左右されます。これを頭に入れた上で試合を観戦するかどうかでキックに対する理解度がかなり変わってくると思います。
スペースが空いているからキックを蹴るという考え以前に、なぜそこにスペースが空いているのか(BK3はどこにいるのか)など遡って考えることが出来るようになるため、ラグビーにおける論理的思考力が養われるのではないかなと思っています。特にBK3の動きは他のプレーと比べてごちゃごちゃしていないので分かりやすいため、オススメ度が高いです。


まとめ

基本的にATについてつらつらと書いてきましたが、実は正直ボールをほとんど見ていません。極端な話、全体をぼんやり眺めているくらいのものです。「あー人が偏ってるなー」ぐらいの気持ちで見ています。

ただ、その理由となる事象は絶対に存在するのでそこを突き詰めるときはしっかり見ますよ笑

当然のことながらボールがあるところに人は集まるので、全体を見ていればボールのある位置はわかります。つまり、ボールが無いところを見れば次のATオプションもある程度予測できます。そしてこれが予測できるとDFの動きも予測できます。

ゲームの展開の予測ができていると、予測に反したプレーが起きたときに「なぜ!?」という疑問が湧いてくると思います。

僕が本当に重視して欲しいのはこれです。

ゲームを見ていて感じた「なぜ!?」を自分なりに論理的に説明できるように観戦することが、プレーせずともラグビーIQを上げる有効な手段だと思っています。

「なぜ!?」の答えはこじつけでもなんでもいいと思います。自分で答えを探そうとする過程に色々な発見があると思います。答え合わせは本人に聞けばすぐにできますが、自分なりの答えは自分でしか見つけられません。その答えは、今日は不正解でも明日には正解に変わっているかもしれません。逆も然りです。
同じ現象にも複数の解釈があって、自分なりの解釈を他の人と共有することで新たな解釈が生まれていく。というように考え方は発展していくと思っています。


「なぜ!?」と思う回数を増やしていくこと、極論ですが全てのプレーに疑問を持ち続けることが、学びにつながると信じています。

まあ周囲から見ると多少面倒くさい人間になってしまいますが...笑

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