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投球障害予防トレーニング  -肩関節-

投球障害予防に必要な「肩のストレッチ・トレーニング」をご紹介します。

■投球障害予防に必要な上肢の柔軟性

○肩関節

・外転・屈曲可動域→前下方・後下方組織
・2nd外旋、内旋可動域→前下方、後下方組織
・3rd内旋可動域→後下方組織
・水平内転可動域→後方組織
➡︎後方・下方の組織の柔軟性が特に重要となります。

○肩甲帯

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【肩甲帯】
・コッキング→後傾、上方回旋、外旋可動域
・リリース〜フォロースルー→前傾、内旋可動域
肩甲帯の動きに制限があると、肩関節にストレスが集中してしまう


■肩関節の柔軟性向上ストレッチ

○肩周囲筋群のリリース

【方法】
・腋窩前後の筋群をまとめて把持する
(前→大胸筋・三角筋前部、後→棘下筋・小円筋・大円筋)
・肩をぐるぐるまわす

【目的】
・投球前のウォーミングアップ
・練習後のリカバリー(マッサージのみ)
・筋の滑走改善

○肩後方筋群のストレッチ

【方法】
-リリース、マッサージ-
・横向きに寝てテニスボール(なければこぶし)を肩の下にいれる
・肘を支点にワイパーのように内外旋

-ストレッチ-
・水平内転位になるように体を倒す、戻すを繰り返す

【目的】
・棘下筋、小円筋、三角筋後部の柔軟性向上

○肩下方筋群のストレッチ

【方法】
・四つ這いから腕を伸ばし、床に胸をつけるように落とす
・左右に体を寄せて脇腹、腋窩を伸ばす

【目的】
・広背筋の柔軟性向上
・肩甲骨後傾可動域の向上
・胸椎伸展可動域向上

○肩前方筋群のストレッチ

【方法】
・四つ這いから横に腕を伸ばす
・腕、胸を大きく開く→閉じるを繰り返す

【目的】
・前胸部の柔軟性向上
・肩甲骨内転、上方回旋可動域向上
・胸椎伸展、回旋可動域の向上

○ストレッチのポイント

ストレッチ中は伸張感をしっかり感じることが大切で、さらに「痛み」のないように実施しましょう。

痛みがある場合は、無理せず範囲を狭めるかそれでも痛む場合は中止してください。


■腱板筋群

腱板の重要性については、
ご存知のことと思います。肩関節の求心性を高める上で重要な機能を担っています

○腱板筋群トレーニング

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○ポイント
・可動域の最終まで動かす
・チューブ、ボール、グローブなどを用いる
・代償が出ないように確実に丁寧に行う
・痛みが出ないように注意して行う



■ゼロポジションでの筋出力

・両肩を結んだ線と上腕骨が一直線になるような肢位はゼロポジションに近似した肢位で、投球障害を起こす危険が少ない
(島田智明、他(編):実践MOOK・理学療法プラクティス 肩関節運動機能障害ー何を考え、どう対処するか.pp195-198,文光堂,2009)

・投球障害肩患者の多くはゼロポジション近似肢位での外旋保持能力や肘伸展筋力が低下していた
(山口光國,他:投球障害肩におけるゼロポジション外旋筋力評価の意義ーボール投げ上げ動作に見られる特徴との関連.肩関節2004;28:611-614)

このようにゼロポジションでの
筋力発揮の重要性が報告されています

○ゼロポジションの安定化トレーニング

【方法】
・肩挙上位で肘の高さを固定する
・肘が下がらないように外旋、肘伸展運動を行う
(チューブがない場合は、ボールやグローブでも可能です)

【目的】
・ゼロポジション保持能力の向上


■投球に重要な肩甲骨周囲筋

・後期コッキング時に前鋸筋の筋活動が大きい
(橘内基純ほか:投球動作における肩甲骨周囲筋群の筋活動特性.スポーツ科学研究8:166-175,2011)

・臨床にて投球障害肩では僧帽筋下部線維の筋力低下は多くの症例に認められる
(田中直史ほか:肩甲胸郭関節の加齢による動きの低下と上肢運動連鎖としての機能について.別冊整形外科36:13-18,1999)

○体幹回旋エクササイズ

【方法】
・四つ這いで頭に片手を乗せる
・肘を天井に向けるように体を開く

【目的】
・可動側の僧帽筋中部、下部の筋力向上
・支持側の前鋸筋の筋力向上
・肩甲骨後傾、内転の可動域向上


○プランクエクササイズ

【方法】
・四つ這い→プランク
・片手を離して広げる、ひねってくの字になる

【目的】
・前鋸筋の筋力向上
・肩、肩甲帯安定性向上


投球障害予防に必要な肩関節・肩甲帯のストレッチ・トレーニングをご紹介させていただきました。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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