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カーボンニュートラルと木の仕事

私は木を扱う仕事をしているのですが、カーボンニュートラルと木ってめちゃくちゃ関係があるよな?ということで、自分の仕事との関係について考えてみました。

カーボンニュートラルとは

2020年10月26日、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする(※)、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。

※「排出を全体としてゼロ」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いた、実質ゼロを意味しています。
環境省.脱炭素ポータル.カーボンニュートラルとは.
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/links/  2021-8-13

ということなので、二酸化炭素を発生させてしまうことは、人々の生活の上で許容せざるえない部分があるため、排出してしまう量は減らし、吸収する量を増やして、実質ゼロを目指しましょう!ということらしいです。

で、

このカーボンニュートラルの考え方の中で、木というものがどのような力を持っているのか?ということを整理してみました。

木は炭素の貯蔵庫?

私は木っていうものは
「二酸化炭素を酸素にして放出する」
っていうイメージを持っていたのですが、
どうやら
「二酸化炭素を木の体内に“貯蔵”している」
イメージみたいですね。

つまり、
木は空気中の二酸化炭素を木の内部に“貯蔵”し、光合成の過程で酸素を放出している。
という感じ。
なので、空気中の二酸化炭素は「無くなっている」わけではなくて、あくまで木の内部に「留まっている」のだなーということを初めて知りました。

で、木を燃やしたりすると、
「内部に取り込まれていた二酸化炭素が放出される」というイメージで、

◯二酸化炭素の動きは・・・
→空気中の二酸化炭素を木が吸収
→木の内部で二酸化炭素が貯蔵
→燃やされるなどしたら、貯蔵された二酸化炭素が再度空気中に放出

と移動しているだけなんだなーと知りました。
(あくまで個人的に単純化して理解したことなので、間違っていたら教えて下さい😅)

つまり、木を使って空気中の二酸化炭素を減らすためには、まずは新しい酸素を生み出す木をどんどん植えて、育った木を“木材として活用し炭素を貯蔵したままにしておく”ということが大切なんだなーと理解しました。

木製品を増やせば環境に良い?

前述のように考えると、私が木を使って食器を作ったり、木の花の置物を作る活動は、家庭の中の木の物を少しでも増やす活動と考えられますし、カーボンニュートラルの視点からも有意義なものとして考えられるんだなーと。つまり、木製品が世の中に増えるとその分だけ世の中に固定された炭素が増えると言うことですよね?

もちろん、木のお皿等はとても小さく微々たるものですし、木造の建築や木の家具なんかがメインの主役になるのでしょう。
でも、世の中に木のものが沢山増えれば増えた分だけ空気中の炭素が減っていると考えるのはわかりやすいなーと思います。

そうなると・・
ここでもう一つ考えたい視点が出てきました!

木製品だから良い?

木のものが増えたらどんなものでも良いのか?
ということです。
つまり、木で出来てることを大上段に、環境のために木製品を沢山買ってください!木で出来ているから良い!みたいな・・それはやっぱりダメだよね?と感じます。

もちろん私は、作り手として木という素材に魅力を感じているわけですし、木であるということそのものに魅力を感じているわけで・・さらに、木で出来ているというそのものが私が考えるブランドのアイデンティティでもあるので、木製品であることと製品の魅力は切りはなせないわけです。だから木で出来てるから好きって言ってもらうだけでも嬉しいのはもちろんですが、それに甘えていてはいけないなーと。

「木を使ったこのデザインが好き」

「このデザインを木で実現したから好き」

みたいに、木であることと、製品のデザインが相互に関係したものを好きになってもらうように頑張りたいなと思います。

木のものづくりは環境に優しい?

最後に、
木は加工性が良いみたいなことを聞いたことってありますか?木は石や鉄みたいに硬くないし、かつ柔らか過ぎない、ほど良い硬さであるということ。これは実は、ものづくりに必要なエネルギーが高くならないということでもあるのです。例えば鉄みたいに硬いと、加工するときに高温の火で溶かして加工するとか。でも、例えば私のような木の小規模製作をしていると、1ヶ月のものづくりで必要なのは電気と水だけで、それも一般家庭の消費電力と同じくらいか少ないかくらい。木を回転させて削るとかなので、機構としてはとても単純。なので製作段階でも環境負荷が少ないっていうのもとても感じます。もちろん木の加工でも工業化した物作りではとても大きな機械を使ったり沢山電力を使ったりするとも思いますし、ケースバイケースではあると思いますが・・それでも全体的には木の加工に使うエネルギー、環境負荷は少ないんじゃないかな?って思います。

ちなみに私のような小規模製作が素晴らしいなんてことは全くありません。省エネってことで見たら小規模の方が良いのでしょうが、大きな工場ではそれだけ多くの雇用を生んだりするのは素晴らしいことですし。大事なのは環境負荷と社会におけるインパクトのバランスで、その視点がよりシビアになってくる世の中が今なんだろうなと思います。

最後に

ということで、カーボンニュートラルと木を扱った仕事の関係は、
「木という素材の魅力に甘えずに、魅力的なプロダクトを作ること」を大切にする!
そして、
「木が持つ炭素固定の力」と
「環境負荷の少ない加工性の良さ」は
これからのサスティナブルな社会を目指す中で、魅力的な部分がある!

ということを実感しました!


というところで・・今回はおしまい。
とりあえず明日からも木の飾り屑にまけじと頑張ります!

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