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気づいたら俺はなんとなく秋だった。

今年はとても寂しさのある夏だったなと九月になって振り返る。
社会人には夏休みはない。夏休みのない夏、コロナ禍によるお祭りや夏フェスなどのイベントが自粛された夏、地元を離れた友達も帰省してこれない夏、猛暑日が少なくエアコンいらずで雨ばかりが続いてた夏。

お陰で例年と比べ職場と家の往復ばかりしていた。毎年暑さで項垂れるが、でも、それでも、そんな夏が愛おしく毎年待ち望んでいる。暑いけど今年も乗り切ってやるかあ、、と。無性にYouTubeでナンバーガールの「透明少女」を聴きながら構える。この曲は夏にしか聴かない、ちょっと特別な曲である。  

でも、そんな思いとは裏腹になんだか期待はずれな夏を過ごしたなと振り返る。
寂しさだけが残る夏だった。

ところで九月になるともう夏じゃなくて秋がそろそろ来るなと考えてみたりする。
秋ってなんと無く訪れて、なんと無く過ぎ去ってしまい、そして冬が訪れる。秋ってとても曖昧だ。気づいた頃にはもういなくなっている。秋といえば金木犀だ。金木犀の香りが好きな人って多い気がする。でもこれは「金木犀の香りですよ」と言われて初めて気づく香りだ。主張が少ないからだろうか。人工物としてありふれてはいるけど、どこか曖昧な香りだと思う。
でも、ふと人から香る金木犀っぽいこの香りが好きだ。秋を錯覚させてくれる。

夏と違って身構えなくて良い。秋はさりげないからふとした時に感じ取ればいい。曖昧だから切なくて、寂しい。

だから好きだ。

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