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深くない爪痕 ~猫という名の選択~

綺麗なとても綺麗な 満月の3日後の夜
僕はいま猫になった
待つことしかできなくなった
飼い主が探しにきてくれる日まで

2日目
彼女専用 僕のTwitterのようだったLINEができなくなった

つぶやきでもなんでもいい
繋がってる そして見ていてくれてる安心感が大切だった
たまにくる返事で僕のすべては簡単に充電された
誰に伝えても理解してもらえないことはわかってる
彼女と僕の間には目には見えない信頼関係が構築されていた
そしていまも続いてる

ただ返答のない会話を送るにはそれなりのエネルギーが必要で
からっぽの僕には ただただ続けることができなくなった

僕という表現のほんの一部がなくなった

LINEは僕の生活にとって全く比重があるものではないが
【既読】って文字は【孤独】からの解放なのかもしれない
いまの僕はそんなつまらないことを思ってしまう

このまま僕がいなくなったら
猫としての自分は誰にも気が付かれないまま
葬られることもないまま
朽ちていくだけなんだろうか…

なにかを残さないと…
爪痕でもいいから何かを残したい…
生きてるんだ!叫びにもにた欲求が顔を出し
インプットだらけの日常から
すこし抜け出す努力をしてみることにした

そこには飼い主が僕を探しに来てくれる日が
思ったよりもだいぶ先になりそうな
嬉しくはないが そんな予感もあるからだ

猫になった2日目のできごとだ


でも僕は猫
鳴くことは簡単にできる

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