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日々を変えてくれたのは、「具体的な安心」だった。#2023年振り返り


あっという間に今年も終わる。その実感はあるが、そう言葉にするには、この一年はあまりに濃厚だった。本当に一年間の出来事だったとは思えないほどに。だから、せっかくなので言葉にして残しておこうと思う。

前回のnoteと被る部分もあるとは思いますが、お付き合いのほどよろしくお願いします。

今年の振り返りの文章を書くにあたって、数個のエピソードをピックアップするつもりだったけど、選定が難しかったので移動と人生の転機に関することをメインにざっとこの一年に起きた出来事をあげてみる。

1月

大学生の頃から憧れ続けた会社のエントリー資料作成に捧げた一ヶ月。今までの経験や培ったものをすべて注いだ。

月末、展示の会期終了に伴い、秋から続けていたミュージアムショップの仕事を退職した。アートが好きな優しい方々と働く時間、結構好きだったな。閉館前の渋谷東急本店で働けたのもいい経験だった。

2月

結果が出た。願いは叶わなかった。残念だったが清々しい出来事だった。自分の中で一つの拠り所にしていたような、実現したかったひとつの人生のプランが一旦無くなったことで、「今、現在の自分はどんな日々がほしいか」を考え直した結果、転職活動をはじめた。

ブランジェリーヤマシタさん主催のCaravanのライブに初めて行った。また海外に旅に出たいと思った。


5年ぶりにNPOの同期である友人夫婦に会った。元気そうで、2人の進む道が2人らしくて、嬉しかった。写真を撮ったら喜んでくれて、今年は会った友人たちの写真をできるだけ撮ろうと決めた。


退院後はじめてした一人旅のZINEをつくって、友人が作った旅のZINEと交換しあった。ものづくりは大変だけど、楽しいなと思った。

隠岐の旅への記録をまとめたZINE


3月

何社かの面接を受けた。落ちても何を言われても、今の自分がほしい日々を得る」と覚悟を決めたからか、強気で自信を持って向かうことが出来た。

この写真はポストカードにして、2023年に会った方々に渡した。

半年ぶりの定期検診、結果は全く問題なし。ここまで大丈夫なら、もう再発の可能性は極めて低いそうだ。その日はWBC決勝戦。病院の帰り道によく寄る公園の駐車場で、優勝の瞬間を見た。高揚感に満たされたまま晴れた公園の中を歩き写真を撮った。縁起のいい日だった。

4月

5月から入社する会社が決まった。


入社までの数週間、やりたかったことをやっちゃおうと、幼馴染と台湾に行ってきた。この先の人生ずっと「あれは良い旅だったね。」と語るであろうとにかく楽しい旅だった。海外に行く高揚を思い出した。


台湾帰り、乗り換えついでに一人で沖縄の南城市の海の近くのペンションに一泊滞在した。海で泳いで。とにかくゆっくりして。良い気付きを得た時間だった。

翌週、瀬戸内に行った。いつか宇野に会いに行きますという約束を叶え、のちさんとランチをして海を眺めながらお話をした。豊島に行き、豊島美術館でぼーっとして、心臓音のアーカイブを残した。


そのまま愛媛へ。南雲さんご家族に会いに興居島へ行った。この日の当日朝、家族が病院へ運ばれたと連絡があった。


5月

新しい仕事が始まった。新しい環境は不安だったし疲れたけれど、魅力的な同僚や上司がいて、自分にも役に立てることややりたいことがあって、この仕事を今は続けていきたいと思った。


森あんじゅさんと「ことばからつむぐ、ひと月を愛おしむプレイリスト」の企画を始めた。毎月つくるのは思ったよりも大変だけれど、作るプロセスも含めてとても楽しい企画になっている。


買ったものたち

daytune.でmybestday marcheに出展した。個人的には会場でかけるプレイリストの選曲を行なった。マルシェは終始心地良い場で、素敵な出展者の方々との縁が生まれ、このような方々と関わる時間が好きだと思った。


6月

家族の病気が快方に向かった。自分にも元気な身体があって、家族や身の回りの友人たちが元気で、もうそれだけでもう今の日々は素晴らしいものだと心から思った。

稲村ヶ崎温泉に入り、海辺の公園でビールを飲みながら頂のインスタライブを聴いた。

大好きなフェス「頂」に行こうと思っていたが、台風で中止になったので、急遽鎌倉に泊まりに行くことに。NPOの頃の恩人であり友人のまおに接客してもらいpatagoniaで買い物をしたり、海を見たり、夜中まで飲み歩いたりと良い日だった。

入社早々季節休をいただいたので、以前から引かれていた洞爺湖へ。穏やかな水面のある場所がやっぱり好きだなと再確認した。


7月

9月に季節休を活用して、幼い頃から憧れていた北欧に行くことを決めた。来年か再来年と思っていたけれど、行けるうちに行こうと決めた。ここから旅に出るまでは頭の中が北欧のことでいっぱいだった。

仕事でも使うし旅にも行くので、2ヶ月の期間限定でDMM英会話を再開した。短い期間だったけど、この英語を使わない4年間で積み重なっていた話す怖さは随分と薄れた。また日本とは違う国の方々と毎日喋るのは案外楽しい時間でもあった。

親しい友人の写真を撮った。この日は色んな友人と会えてとてもいい日だったな。

日産スタジアム

小学生の頃から聴き続け、数多くの影響を自分にもたらしたUVERworldのライブに初めて行った。本当にかっこよかった。同じことをうたい続ける彼らの姿に感動した。

8月

ストックホルム行きのチケットを買った!今までで一番高い買い物かもしれない。北欧関連の本を読み続ける日々。

月末、高校の部活の友人たちと旅行をした。心置きなく、とにかく楽しい時間を過ごした。


9月

14歳の頃から焦がれたストックホルムの街並み
ヘルシンキ。この街にはまた帰って来ると思う。
コペンハーゲンで滞在したアパートメント

ついに北欧へ。スウェーデン、フィンランド、デンマークを8日間で回る一人旅。素晴らしい旅だった。いつか、いつかと言い続けた一つの夢を叶えて、また人生が新しいステージに入ったような感覚を得た。

10月

いつか一緒に海を見に行こう。そう以前から話していた友人と葉山の海へ。初めて彼女の写真を撮ることが出来たのもすごく嬉しかった。

daytune.で「ててて商談会」に出店。daytune.を多くの方に知っていただいて、素敵な出店者の方々と関わることが出来ていい機会だった。

昨年に続きお世話になっている農園のhamayouさんで、友人たちと集まってBBQをした。「あなたの友人ならきっと大丈夫だと思って。」そう言って遊びに来てくれる友人のありがたさ。気持ちのいい場所で、親しい人とごはんを食べることほどいいものはあんまりないなと思う。

11月

熊本県南阿蘇村へ。グリーンズのインターンで出会った仲間たちと、今もずっとお世話になっている正太郎さんに会いに行ってきた。
壮大な景色と、素敵なご家族と、土地の力と。盛り沢山の体験をした旅だった。 そして調子が悪い時から大変お世話になった正太郎さんに「今結構楽しいです。」と直接伝えられて嬉しかった。


友人に依頼を受け、結婚記念の前撮りをさせていただいた。特別な体験だった。お二人がとても素敵で、自然を撮るような気持ちで撮ることが出来た。

12月


NPOの活動を共にした家族のような友人たち3人と朝霧の牧場へ。みんなの空気感がとっても心地よい。一人ひとりの写真を撮らせてもらえたのも嬉しかった。

仕事の関係で尾道と京都へ。2017年に旅をしてから、特別な地である尾道では紙片と弍拾dBという2つの好きな本屋に行った。想い出のある素敵なお店が、今も素敵なまま続いてくれていることが本当に嬉しく、頼もしく思う。


京都では、同僚と川辺でコーヒーを飲みながら話したり、大学の縁で出会った友人と南インド料理を食べたり、友人の転機に、彼が働くお店で写真を撮らせてもらったりと良い時間を過ごした。京都がより身近な場所になった。


ひとまず以上。もちろん他にも嬉しかったことが数多くあるし、そうでなかったこともあります。ただとにかく、このようにたくさん移動して、大切な人たちに会って、多くの嬉しい時間を過ごすことが出来た。ちょっと書いていて不安になるくらいに良い一年だったと思う。

今、素直に「良い一年だったと思う。」という言葉が出てくることを、奇跡のように思う。

2019年3月に大学を卒業し、晴れて4月に社会人に。その年末には新卒で入った会社を適応障害で休職して、そのまま退職。バイトしつつ転職活動をしていたら春にコロナが来て、夏頃にようやく入った会社では人間関係でごはんが食べられなくなり2ヶ月で退職。

年末に次の魅力的なキャリアが決まったと思ったら2021年の年明けに突然縦隔に希少がんが見つかって手術をして。治って新しい会社にアルバイトで入って、来月から正社員にというタイミングで再発し、休職して4ヶ月の抗がん剤治療に。2022年のはじめに復職したが、色々会社の状況が変わっており、続けられなくなり9月頃相談の上退職。ありがたく縁のあった4つくらいの仕事を掛け持ちながら、この2023年を迎えた。


こんな書き方をしたら悲劇感が出るが、人の縁にはとても恵まれているので、楽しい時間、特別な思い出も数多くあった。

写真撮りを始めて、続けて、大切な人たちに出会った。その時にしか撮れない写真を撮り、文章を書き、考えごとをした。その時の感性だからこそのインプットが出来た。反省はあるが、今の自分をつくってくれたこの4年間に後悔はない。(病気と自分に危害があるほどの攻撃的な人との関わりは、ない方が良かったと思うけど。)

でも、いつも不安だった。「自分には仕事が出来ないんじゃないか、誰にも役に立てないんじゃないか、こんなに人が怖いなんて体調を崩すなんて、何かおかしいんじゃないか。これから先もずっとそうなんじゃないか。」と自分への信頼を失っていた。

そして、来月自分は働き続けることが出来るのかというわからないことによる、金銭的な不安が頭からいつも離れなかった。仕事を変えてみたり、色んな人と話してみたり、病院に行ったり、コーチングを受けたり、さまざまなアクションをとってみた。それも今の自分を作ってくれている大切な経験だったが、その不安は変わることはなかった。その不安ありきの考えをして、行動をして過ごしていた。

それが、この一年で変わった。その要因はいくつかあると思う。

・ずっと憧れていた会社に向き合って、叶わないという経験をしたこと。
・自分のお金と時間を、今は自分のために惜しげもなく使うことを決めたこと。
・病気が治った後に考えた「人生があと3年だったら、何したい?」を全部叶えると決めたこと。

この3点は、特にこの1-3月の動きを変えるきっかけをつくってくれた。でも、自分の日々を大きく変えたのは、この3つではないと思う。


近況を話すと、「病気の経験を通して、価値観が変わったんだね。」というようなことを言ってもらえることがある。確かに多くの価値観が変わったし、今の思い切りの良さなど様々なことに繋がっているが、病気による価値観の変化や学びに目を向けられるようになったのはつい最近のこと。

それまでは、自分の考えや経験を、価値があるものだと思えていなかった。信じることが出来ていなかった。

病気の経験でもなく、考え方の変化でもなく、特に自分に影響を与えたのは間違いなくこの2つだと思う。

「仕事において、居場所が出来たこと」
「身体的、金銭的危機に晒されなくなったこと」


「仕事において、居場所が出来たこと」

今までは4つくらいの仕事を掛け持ちする中で、どこか中途半端で、どこにも居場所がないような気持ちになることが多々あった。また自分の経験もスキルも少ない中で、かける時間も少ない分貢献出来ているかにも不安があった。そしていつ必要ないと思われるか、また自分が離れたいと思うか、いつも不安に思っていた。

今の仕事はフルタイムの正社員。毎日のように同じ仕事にコミットする中で、役に立てる部分もあって、段々と「自分は人の役に立てない」という認識が少しずつ、確実に外れていった。その認識が外れたことで人と関わる怖さと自意識が10分の1くらいになった。そうしたら、「こう思われたらどうしよう。」そうやって行動をやめることがほとんどなくなった。

また仕事を通して実現したいことが生まれたこと、一緒に仕事をしたいと思う同僚がいることで、この仕事を続けていこうと決めることが出来たことも良かった。そう決めると仕事への向き合い方も変わり、仕事が面白くなっていった。

「身体的、金銭的危機に晒されなくなったこと」

説明すると「身体的、金銭的危機のことばかり考えなくなって良くなったこと」ということだ。

すぐ病気になったり、体調を崩したりすることが多かったので、自分が来月どうなっているか分からないという認識が頭から離れなかった。それにより「再来月の給料が入ってくるか分からない」という状態が続いていたため、「お金がかかる何かをやりたいと思うこと」を自然と考えないように制御するようになっていた。

それは結構怖いもので、なぜかというと、お金がかかる何かをしたいという気持ちを掻き立てるような情報から離れるようになっていくことの影響が大きかった。例えば海外に行くこと、新しい挑戦をすること、好きなものを買うこと、そういう情報から離れるようになることで、少しずつ自分の好奇心が萎んでいった。

この状態が、「病気の状態が安定に向かったこと」「働けない状態になるほど怖い人から離れたこと」「毎月給料が入ってくる状態になったこと」により大きく解消された。

それによって、「何かをやりたい!」と心が動いた時に、多少のリスクをとってでも実現に向けて動けるようになった。(多少といいつつ、さすがに旅をしすぎて火の車ですが後悔はないです…) また、今すぐ出来なくても、この先いつか出来るかもと、そう思えるようになった。

「仕事において、居場所が出来たこと」
「身体的、金銭的危機に晒されなくなったこと」

心身の健康と、お金という具体的で切実な2つを得たことにより、自分は「安心」という状態を久しぶりに得ることが出来た。

安心を得たことで、日々は少しずつ確実に変わっていった。それは自分のOSが変わったような感覚。

今までは特に認知出来ていなかった、自分の好きなことや、得意なことや魅力に気づくことが出来た。そしてやりたかったことに目を向け、実現に向けて動けるようになった。

この数年、自分がもっと楽しくいられる状態を目指して様々な試行錯誤をしてみたけど、まずは「安心」という土台を手に入れることが自分にとっては、一番効果的だった。今まで悩んでいたものごとは、ほとんどその上にあるものだった。

その土台を手に入れたことで、今までしてきた様々な試行錯誤の効果に気づくことができた。どれだけ自分が身の回りに恵まれているか、素敵な人たちに出会ってきたか、良い経験を積んできたかに気づくことが出来た。今は、自分の人生をまるごと愛おしく思えている。

その結果がこの一年だったんだと思う。改めて、楽しかったな。

来年はどんな一年になるだろう。

身体と頭をたくさん使って、学んで、経験して、つくって、挑戦をして、好きな人たち関わって、自分が喜ぶことをしていこうと思う。具体的にやりたいことの計画も多く立てているので、どんどん実践していこう。

今は環境のおかげで心が元気だけど、またきっと何かあったりするのだろうな。「元気=良いこと」ではないにしろ、元気だからこそ出来ることも数多くあるので、今のうちに色んな挑戦をしておこうと思います。

今年関わってくれたみなさま、本当にありがとうございました。

こんなに元気感強めのnoteを書いたことが無かったような気がするので、いつもよりみなさんがどう思われたかが気になっています。もしもよければ感想を教えてくださいね。

最後に。こんな個人的な一年の記録をここまで読んでくれた方へのお知らせです。

来年の春、個展を開きます。場所は、神奈川県の逗子。日程は、2024年4月19、20日(金・土)の2日間を予定しています。詳細はまたお知らせさせていただきますが、もしもご興味を持っていただけたら、ぜひカレンダーに入れてくださいね。

また個展に伴い、心より信頼する人と共にZINEをつくり販売する予定です。遠方の方は、ぜひこちらをお楽しみいただけたら嬉しいです。

今年数多くの旅をして写真を撮る中で、好きな写真を何枚も撮ることが出来ました。それを画面の中だけでなく、もっと身体的なものとして届けたい。そう思い、今年の夏頃から計画をはじめていました。良い個展に出来るよう力を注いでいます。

みなさまとお会いできることを心より楽しみにしています。

改めて、今年も本当にお世話になりました。
どうぞ良いお年をお迎えください。



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