コットクラブ vol.17
電車の中で充満するあま〜い香水。
トキメキとラキメキをのせて私たちに覆いかぶさる。
なんだかいちご飴が食べたい。
なんだかぬいぐるみを持ちたい。
帽子を被ったおじさんも、スーツを着てるサラリーマンもみんな乙女になっていく。
かわいい。
目からキラキラがこぼれてる。
こぼれたキラキラが電車の床に落ちてキラキラ絨毯の出来上がり。
壁がだんだんピンクになった。
つり革もドーナツになった。
「私たちは世界最高の乙女。
ショートケーキ寄こしなさい!!」
スローガンまでできた。
気分は最高。
みんなの乙女心が最高潮に達した時、隣の車両からガム噛みの少女が入ってきた。
噛んでいるガムはまさかのミント味。
なんでフルーツフレーバーじゃないのよ!と怒り出す乙女達と乙女化したわたし。
状況をよくわかってない少女。
車内はカオス状態。
怒りで溢れた車内はだんだんミントの香りでいっぱいになった。
その途端、さっきまでのみんなの乙女心がふわりと消え、いつもの電車に戻ってしまった。
何か物足りなさを感じながら私は最寄りの駅で降りた。
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