煙草になった娘
昔の中国の山東省のお話です。
ナンションという青年とイエイエという娘がいました。
二人は一目で思い思われる仲になりました。
ですが、ナンションとイエイエは家柄のつりあいが取れなかったので、結婚することはできませんでした。
イエイエはナンションと一緒になれないことを悲しみ悩みました。
そしてイエイエは病気となり死んでしまったのです。
「イエイエ、なぜ死んでしまったのです」
ナンションはふところの玉をうばわれ、手に持った花を意地の悪い風にさそわれたように悲しみました。
ナンションはイエイエの死を受け入れることが出来なかったので、イエイエの死体からはなれませんでした。
そして、ナンションはイエイエの死体を抱き、イエイエに体温を与えて生き返らせたのでした。
ナンションとイエイエは喜びましたが、三日でイエイエはまた死んでしまいました。
ナンションはイエイエを葬り、イエイエのそばにずっといました。
すると、イエイエの墓から人の背丈ほど茎の高い、立派な広い葉の植物が生えました。
その植物は秋になると薄紅色のラッパのような花を咲かせました。
その花をイエイエのように美しいとナンションは喜びました。
花は枯れます。
花が枯れ、麻の実のような種ができました。
そして霜がふると、その植物は枯れました。
ナンションは寒かったので、そのかんそうした植物の葉を火にくべました。
その植物は火にくべると良い匂いがしました。
そして、その煙のなかにイエイエの姿を見た気がしたのです。
ナンションは涙を流し、葉を火にくべ、イエイエと話しましたが、葉はなくなってしまいました。
ナンションは葉を増やすために、種をもって村に戻りました。
ナンションは実を村人に分け、種をまいて増やしました。
人々は葉をかんそうさせ、細かくして火をつけ、その煙を吸うようになりました。
ナンションはぷかぁとはいた煙の中にイエイエの姿を見た気がしたのでした。
聞き伝える昔の話でございます
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