三十路の上海留学11日目

9月19日(木)留学11日目

 これまで隙間時間にnoteをポチポチと更新していただが、スマホポチポチはとにかく時間がかかるのでどうしようかと思っていたのだが、そういえば日本からBluetoothキーボード持ってきたんだったと思い出してようやく今日の更新からキーボードを使用できるようになった。
やったー!
 
 あまりネガティブな話は書きたくないが、日記なので一応記しておく。
 今朝起きると、母からLINEで「安全なところにいてね」とだけ送られてきていた。また、別の友達からも「気を付けてね」と連絡が来ている。
 は?と思っていたが、Twitterを見てみると日本人学校襲撃の件を見つける。
 上海留学前、ちょうど6月に日本人が教われた事件があったとき、中国語の先生から「もし怖いのなら渡航をやめるのも良いと思う。命がいちばん大事」と言われたのを思い出す。
 いま実際に上海で生活していて、にこにこと「日本人?」と聞いてくれたり、日本人と聞くと日本語で話してくれたり、そういう人にたくさん触れ合ってきている。
 いぜんはこの手のニュースを聞くと「怖い」しか思わなかったが、いま実際に上海の人と交流をしてその人柄に触れると、日本人の反応を見て「怖い」より「悲しい」が勝るようになった。

 さて、ネガティブな話題はここで終わり。
 授業二日目。
 本日は昨日同様1コマ1時間半の授業が午前中に2コマと、1時間半の昼食の時間をはさんで、午後にも同様の長さの授業が2コマある。
 午後の授業は午前中とはちがう先生で、口语の授業なのでおそらくスピーキングがメインと思われた。

 いつもどおり早くに教室に行き、「にーはお」とつたない発音で同学们(同級生)に挨拶をする。
 あんまり覇気のない挨拶が返ってくる。

 私は元営業職なので、自分で言うのも恥ずかしいが、陽キャモードのオンと素で陰キャなオフを切り替えるのがそこそこ上手い。
 某mbtiも私はINTPなのだが、留学に来てからほぼすべての人に「Iは絶対嘘!」と言わしめるくらいには陽キャに擬態できている。(※ちなみにmbtiはまじで必須!絶対に診断してから渡航した方が良い。韓国・中国・日本中心に、彼らは自己紹介で絶対にmbtiを言うし聞く。渡航前に前勤めていた会社の後輩の子に聞かれて診断しておいたおかげでなんとかなっている。本当にありがたい。)

 少し話が逸れたが、だからよく知らない同学们に挨拶をすることはまったく苦ではないのだが、中身は陰キャそのものなので、返ってきた挨拶が元気無さすぎて少し凹む。
 ガチ陽キャなら気にもしないのだろう・・・。

 とりあえず昨日と同じ席に座る。後ろの席に、めっちゃ可愛いトルコ人が座った。
 
 私はとにかく人と中国語を使用した会話がしたい上に、打たれ弱いが立ち直りが鬼のように早いので、先程元気のない挨拶を食らって心にダメージを負ったことなどすっかり忘れて、その可愛いトルキッシュに「你好」と話しかけていた。

 幸い、彼女はめちゃくちゃ優しいえがおで挨拶を返してくれる。
 「你是哪国人(何人)?」
 「土耳其人」
 ここで相手の言葉がまったく聞こえず、ひたすら「え?」みたいな困惑した顔をしていると「トルキッシュ」と英語で発音してくれる。

 あいかわらず元旅行嫌いの私は諸外国に関する知識がゼロなので、とりあえず「めっちゃいいね!」と返しておく。

 「どこ住んでるの?」と聞くと、「寮じゃなくて学校の外に住んでる」と言う。
 それ以上会話を深掘りする語彙を持っていないので、ひとまず「すごい」とだけ返す。
 学校までどのくらい、とか、どんな部屋なの、とか聞けば良かった。

 「中国語はどのくらい勉強してるの?私は2年だよ」と言うと、「5年だよ」と教えてくれた。
 それはまじですごいので心から「すごい!」というが、さっきも「すごい」を使ってしまったのであまりこのテンションが伝わらなかった。
 むしろ彼女は5年も勉強しているのに・・・謙遜しはじめる。

 なんとか必死に「私は日本人で普段から漢字をつかっているけど、あなたたちからしたら漢字すら使ってないんだから中国語はめちゃくちゃ難しいでしょ!」とフォローする。
 いやまじでこれは本当そう。

 そんなこんなで授業開始。
 私の前の席に、昨日は見たことのない生徒が座った。
 「2-2から来たの。よろしく」的なことを言われる。
 「テキストがない」みたいなことを言うので、私は彼女と連絡先を交換して、授業のPDFを送ってあげた。

 ちょうどいま勉強している単元は、「ユーモアの作用」である。
 話の概要は、営業におけるユーモアの持つちから、みたいなもので、自社の杯の強度を証明するために、実演販売で頭上から杯を落としたところ、なんとそれが割れてしまった。主人公のダーウェイは機転を利かせて「こんな不良品を買わせるわけにはいかないので、これは割りました。あなたたちに売る杯はもちろん、きちんとした品質のものですよ!」と続けざまに他の杯を頭上から落としてみせ、彼のユーモアによって杯はよく売れた、みたいな内容であった。

 この日の授業は昨日と違い、先生が「4人一組でグループを作って、一人が販売員、3人が客になって、実際に実演してみましょう」と言い出す。
 7グループほど出来たが、そのうち先生がランダムで選んだ4チームが前に出て実際に演技しろ、とのことだった。

 しかも、このとき、私は先生の指示が前半しか聞き取れなかった。
 なので、いまこのグループのなかだけで演じるだけかと思ったので、グループ内で「あなたが販売員役が良いと思う!」と言われて気楽に「好的~(オッケー)」と答えてしまったのが運の尽き。

 まあおおよそお分かりになるだろうが、我々の班は先生に選ばれてしまった。
 なんならトップバッターであった。

 震えながら黒板の前に出て、ひとまず「欢迎欢迎~~来来来~!(おいでおいで~)」と客役の三人を呼び込む。
 「いくら?」だとか「品質はどう?」だとかに順調に答えていき、一人の「有没有其他的颜色?(他の色はある?)」がまったく聞き取れなかった。
 
 あせる。
 でも同級生まじ優しいので、その子はもちろん、他のクラスメイトたちも「颜色颜色!(色)」と教えてくれて事なきを得た。

 それ以外は問題なく無事演じおえ、席に戻ると「お疲れさま」とみんな言ってくれた。
 
 そのときの様子を担任の先生は録画してクラスの微信に送ってくれているのだが、正直気恥ずかしくてみれていないのが正直なところである。

 1コマ目の授業が終わり、私の前の席の女の子から、「やっぱりこのクラスは難しくて聞き取れないから、元のクラスに戻るね」と言われてバイバイする。
 短いながらも一緒に劇を演じたなかなので、寂しくて「そっか・・・」と言ってしまう。
 そのときはやっぱこういうのって一期一会よね・・・と思ったが、なんと同じ寮だったので後日洗濯機の前で再会した。めでたしめでたし。

 今日このクラスに来ていた沉にも話しかけると、「このクラスは授業の進みが早くて難しいから元のクラスに戻る」と言われる。
 そこで私は2コマ目からは前のクラスに戻るのかなと思ったのだが、通常体験授業はその日1日は体験クラスで過ごさないといけないルールらしい。
 なので、てっきり2コマ目はもうこのクラスにいないと思った私が「そっか・・・じゃあ明日唱歌社团でね」というと、彼女はずっと「は?」という顔をしていて噛み合わなかった。あとあとその顔の意味がよく分かった。

 2コマ目も終わり、沉にご飯行こうよ!というと「彼女も一緒に良い?」と人を紹介される。
 その子は日本人だった。
 オッケー!というと、その日本人から「この子も一緒にいい?」とインドネシア人を紹介される。
 四人で食事に行く。

 インドネシア人は人柄もいいし面白いし、積極的に話をしてくれる子が多く、ご多分に漏れず彼女もとても居心地の良い人だった。
 昼食では、もともと沉はドイツ語のオンライン講師をしていたことや、葬送のフリーレンの話(私の友達のインドネシア人は全員葬送のフリーレンを見ている)、日本のアニメの話、インドネシアは雪も降らないし雨も少なく干上がっていることが多い話などをした。

 午後は、沉はGCPクラスという別のクラスなので教室前で分かれる。
 私は午前とは違い、昼食を一緒に食べた二人の後ろの席に座った。

 このクラスでは10人くらいインドネシア人がいるので、彼女きっかけでいろんなインドネシア人と知り合う。

 特に、インナーカラーで髪を青に染めている友達は、めちゃくちゃ日本のアニメが好きらしく、呪術廻戦の伏黒恵のクリアファイルを使っていた。
 彼女に「髪の色きれいだね。今度美容院に行ったら同じような色にしようかな」というと、「美容院?!めっちゃ高いじゃん!自分で染めなよ!」と言ってくる。
 彼女の染髪スキルは美容師レベルである。

 午後の授業がはじまり、まずはアイスブレイク。
 三人の生徒と自己紹介しあって、その後先生に向かって、そのとき知り合った友達について他己紹介しなさい、という内容だった。

 紹介された人が次に他己紹介するシステムだったので同じ相手を紹介するわけにはいかず、私は後半の方だったのでこれまでのどの友達とも違う別のインドネシア人を紹介したのだが、申し訳ないが国籍以外すべて忘れてしまったので「彼女がインドネシア人であること以外すべて忘れました。でも良い人だったのは覚えています」と発表した。
 結構他の人たちも名前があやふやだったり情報が抜けていたりしたので普通に許された。

 2コマ目で特筆すべきトピックは、楽器を演奏するときの動詞の話。
 ピアノやギターなどの動詞は「弹」だが、バイオリンは弓を引くので「拉」を使う、という話だった。
 そこで先生が、「日本にも弦の楽器あるよね。3本の」となぜか私を見て言うので、前の席の日本人の友達に「なんだっけ?」と問いかけると、
 青いインナーカラーのインドネシア人が「三味線!」と超きれいな日本語で私に教えてくれた。
 インドネシア人に日本文化を教わる日本人が生まれた瞬間であった。

 口语の授業は、口语という割に別にスピーキングがメインではなかった。
 その後午前中と同じようなテキストが配られ、内容を読むように言われる。
 
 ただ、午前中の文章が説明文のようなものだったのに対して、午後配られたのは2人の会話文のテキストだったので、ここで書き言葉と話し言葉の違いを学ぶのかもしれない。

 午後の先生は39歳の男性の先生だが、おだやかで優しそう。

 授業終わり、私は昨日、相互語学学習の友達から「如何のruの発音が汚い。日本人のriの発音はまじでネイティブなのになぜ?笑」と言われたので、先生にそれを伝えて発音を教えてもらう。
 
 私は理屈脳なので、舌のかたちはどう、口のかたちはこう、息の出し方はこう、と言われないと気が済まないタイプなのだが、先生は「とりあえず発音してみろ」の感覚タイプなのでそこは気が合わないかもしれない。
 しかも二回くらい発音したあと、「全然いいと思うけどね」と放流された。ほんとか?

 かくして二日目も授業は無事終了。
 疲れきって帰宅し、シャワーを浴びたあとすぐに就寝してしまった。明日は洗濯しなくちゃ・・・。

 あ、ちなみに、午前中通路をはさんで隣の席のモンゴル人がとても良い子。「あなたと友だちになりたいから連絡先を交換しよう!」とこちらから話して連絡先をゲットした。
 今度食事に誘いたい。

 以上。

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