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『辺境の老騎士⑤バルド・ローエンと始祖王の遺産』を読んで

こんにちは、ことろです。
今回は『辺境の老騎士⑤バルド・ローエンと始祖王の遺産』について、感想を書いていきたいと思います。

『辺境の老騎士』は、著・支援BIS、イラスト・菊石森生、キャラクター原案・笹井一個のファンタジー冒険小説です。

5巻は、第九部と第十部、外伝と最終部が収録されており、第九部と第十部は5章(5話)ずつ、外伝は2章(2話)、最終部も2章(2話)となっています。

今回も登場人物紹介がついています。簡単なマップもついており、それぞれの都市や国がどの位置にあるかわかるようになっています。


今回は竜人族との戦い、試練の洞窟、最悪の敵<あるじ>との決戦があります。
いよいよ最終巻です。

竜神族はあまり話が通じる相手ではなく、かつては他の種族たちを支配して残虐なことをしていました。
人類よりも前からこの地に生きており、戦闘能力も高かったので、誰も逃れることができなかったのです。
おまけに心を操る術を持っているので、強敵といっても過言ではありません。

そんな竜神族にも敵わない敵がおり、それは<あるじ>と呼ばれていました。
彼も竜神族に負けないくらい支配力が強く、残虐で、自分の欲望に忠実です。

バルドたちは竜神族に襲われます。
<あるじ>が眠っている今、反逆するためにはバルドとバルドが持っている古代剣が必要なのです。

そのあと紆余曲折あり、試練の洞窟に行くことになりました。
そこは竜神族が何度も試したにもかかわらず、踏破することができずにいた洞窟。
バルドたちは知恵を働かせ、人間だけではなくいろんな種族でチームを作り、みんなで協力して敵を倒していきます。
自分たちの力だけで支配してきた竜神族には思いもつかない方法だったでしょう。
そこが試練を踏破できない理由でした。

試練の洞窟には、6人体制で向かいます。
霊峰フューザに近いこともあり、中では摩訶不思議な力が働いていて、戦う相手はそれぞれに見合った神様でした。

ゴドンは、雷神ポール=ポー
カーズは、半身半獣の英雄スカーラー
ザリアは、風神ソーシエラ
イエミテは、森の神ウバヌ=ドド
エングダルは、大地の神ケッチャ=リ
バルドは、戦神マダ=ヴェリ

神様なのでもちろん強いのですが、バルドたちも負けてはいません。
ザリアが魔法で手当てをしながら、見事踏破します。

しかし、ここから先が意外な展開なのです。
世界がファンタジーというよりSFなのです!

詳しくは書きませんが、<あるじ>が何者なのか、どこから来たのかが関係しており、話が進んでいきます。


時が経ち、試練の洞窟の冒険から早6年が過ぎ、バルドは七十三歳。
体は痩せてほっそりし、髪は真っ白です。
このままでは<あるじ>との対決で力を発揮できないと思ったバルドは、また旅に出ることにします。
野営がきつく、体にこたえますが、なんとか旅を続けるバルド。
立ち寄った場所で、かつての仲間たちが亡くなっていることを知り、心も滅入ってしまうのですが、旅を続けいろんなものを見ることで、<あるじ>との戦いに覚悟が芽生え、一人、決戦のときを迎えます。

ここから先はぜひ読んでみて欲しいのですが、バルドが死を覚悟しつつも、どうやったら<あるじ>を倒せるのか考え、対峙していく姿は見ものです。
ちなみに剣での戦いではなく、頭脳戦でした。
それは、バルドがおじいちゃんだからというのもあるかもしれませんが、きっと旅をする中でさまざまなものを見聞きし経験し考え自分の糧としてきたバルドだからこそ答えられるものがあるからだと思いました。

<あるじ>はバルドに、あるものと交換に千年の寿命を与えようと言いました。
また、<あるじ>がもといた場所の叡知の結晶も与えると。
空を飛んだり、最高峰の医療技術も手に入る。

しかし、バルドはそれを拒みました。
生きるということは、食べるということ。
食べるということは、命のはかなさをかみしめるということ。
また、一人で食べても味気なく、仲間がいればこその美味しさだと。
千年の寿命がもらえても、歪んだ命のために、食べることができなくなるのは嫌だと言ったのです。

交渉決裂。
<あるじ>はバルドを殺そうとしますが、バルドもまた反撃する糸口を見つけ、無事<あるじ>は倒されるのでした。


このあとも話は続いていくのですが、それは読んでからのお楽しみということで。
<あるじ>と対決する前の旅で最後かと思いきや、また旅に出ていたりするので、元気だなあと思いました(笑)
またも仲間が亡くなったりしてつらいシーンはあるのですが、それほどキャラクターたちが魅力的だったということを、しみじみ感じます。
もちろん新しい命もどんどん生まれており、世代交代もしていきます。
『辺境の老騎士』は約20年ほどの時代を描かれているかんじがありますが、その時代の流れのようなものもしっかり感じられて、素晴らしい作品だなと思いました。


さて、今回の食べたい料理はこちら!
モズス鍋 きのこ仕立て
ヤーツの辛味鍋と乳酒
パンの挟み物 二種ソース

意外と少なかったですね(笑)
最終巻なので食事のシーンよりも決戦に向けての展開の方が気になってしまい、あまり印象には残っていません。
しかし、この物語は終始一貫して「生きることは食べること」がテーマだったと思います。
物語全体を通して美味しそうなごはんがたくさん出てきたのは、ひとえにバルドが活きいきと生きていたからだと思いました。

久しぶりにこんなに長い物語を読みました。
前から読みたいと思っていただけに、読み切れてうれしかったです。

ちょっと長いですが、みなさんもぜひ読んでみてください!

いかがでしたでしょうか?
それでは、また
次の本でお会いしましょう~!

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