犬シリーズ第二弾 猟犬の話

昨日は「聴導犬(&一緒に暮らしてる猫)がすごい」という話を書きました。本日は「猟犬もすごい」という話。

亡父の趣味が狩猟だったため、実家で飼っていた二匹の柴犬は猟犬でした。賢く、大人しく、私にとってはペットでしたが、父にとっては猟の際の相棒だったのです。
と言っても、うちの犬が父について行くのは、キジ撃ちのときだけ。父はイノシシやクマ撃ちに行くこともありましたが、そういうときは、わが家の犬はお留守番。
父は狩猟仲間とチームで出かけて行き、連れて行く犬はそのメンバーが飼っているイノシシやクマにも対応できる、もっといかつい犬なんだと聞いていました。

七十代になって狩猟を止めるまで、父は山で危険な目に遭った話はほとんどしませんでした。
「そんなことがあるならやめて!」と家族に言わせないためだったのでしょう。
止めた後から聞いた中で私が一番驚いたのが、雪山で遭難しかけたときの話。

チームで猟に行くと、まず獲物を追いつめるために各メンバーがどう動くかを相談し、それにそって各々行動するらしいです。
あるとき父が一人で山中を歩いていると、突然雪がすごく激しくなり、自分がつけた足跡もどんどん消えてしまった。辺りは一面まっ白で、自分がどちらから歩いて来たのかさえ分からなくなり、自分の居場所を完全に見失ったそうです。
このままでは遭難……ということで、無線で仲間に連絡。自分の居場所がわからないので、「この辺りに助けに来てくれ」と頼むことはできず、無線越しにクロという犬に助けを頼んだそうなんです。
「クロ、中川のおっちゃんやけど助けに来てくれんか」
その後、クロの飼い主さんが父の持ち物の匂いをかがせて捜索に行かせると、小一時間でクロは父のところにたどり着き、無事にみんなが集まっている場所まで連れて行ってくれたとのこと……。

すごいよ、クロ。会ったことないけど、本当にありがとうと言いたい。
結論。やっぱり犬はエライ。

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