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筍の恩返しNO.2(推しに会えた日編)

不惑を過ぎた私に、「推し」ができた。
作家、こだまさん。
こだまさんに会えるまでの日々はこちらで。

ついに会える日が来た!



春のまつり日和

ついに迎えた、「まつり」の日。いつもこだまさんの本を読む時、天気は暗いのだがこの日はとてもいい天気だった。もう、絶好のまつり日和!
この日は春のまつりをテーマに、桜色の麻ワンピースを選んだ。不惑を過ぎたって、ピンクを着てもいい!はずだ。なんたって、まつりなんだから。頭の中のサブちゃんの歌声が後押ししてくれながら出かける用意をした。

実はこの日、こだまさんに会える渋谷で15時の前に、元同僚たちとのお茶会を上野で開催することになっていた。私が幹事。桜色のワンピースで山手線内回り外回りと乗りこなす予定だ。
おいおい大丈夫か、私。詰め込み過ぎでは?時間管理に弱く方向音痴なのに。しかも目に入ったものにすぐ興味を示してしまい、用事を脱線しがちな性格。

でも、きっと大丈夫。下見もしたし、用意もばっちりだ。
なんたって、今日は、まつりだもの。

上野、精養軒でお茶会。


久しぶりに会う、元同僚たちとの時間。話が弾む。こちらもまつりみたいな盛り上がりだった。同じ職場であの新型コロナウィルス最盛期に、一緒に働いていた仲間。今その職場に残っているのはたった1人。私を含め、ほぼほぼその職場から羽ばたいてしまった。職場としては私の中のワーストワンに入るくらいひどい職場環境だったけど、気が合う人たちとつながり、今も会えることが何よりもの収穫だった場所だった。
楽しい時間はあっという間だ。時計を見るとそろそろ移動しなければならない。推しへ会いに行く私をみんな手を振って応援してくれた。

よし、時間通り!上野駅構内を歩く。

ふと、ポケモンの東京バナナが目に留まる。
「東京バナナ、あの子のお子さんに送ってあげようかな」
あぁ、やっぱりやってしまった。目に入ったものをスルー出来ず。富山にいる知人へ送る手配を店で始めてしまった。伝票に住所を書いてお店の人に託す。そして、慌てて山手線に乗り込む。山手線ほぼ半周して上野から渋谷へ到着。下見した通りにハチ公改札を目指していく。大盛堂書店、到着!今日は迷わなかった!当たり前か。

トークショー開始、5分前だった。
ふぅ、間に合ったぜ!

じゃ、ないだろ、私。
まつり開始直前に息を切らして滑り込む私と、すでにしっかり着席されてこだまさんを待っている方々の温度差。本当に申し訳ございませんでした。
そんなこんなで息がまだ整わないうちに、まつり開始の合図。

春のこだま祭り、開催だ。


カウンセラー、こだまさん現る


ついに、こだまさんが目の前に!

こんな日が来るなんて。最初はこだまさんの本を読めるだけで良かったのに。それがいつしか会いたいと思うようになって、チャンスを手に入れて、この日を夢見て、その日を迎えるまで生きていたいと目標にしてた。

そしてとうとう、目の前に憧れの推し作家さんがいる!
会えたんだ、私。推しに!夢じゃない!

こだまさんは「覆面作家」さんなので、この日も覆面を着用されていた。
ヨーロッパの「カーニバル」を彷彿とさせる、覆面。その下にある素の表情は分からないけれど、その佇まいと落ち着いた色合いのお洋服を見ての第一印象は、「カウンセラー」だと感じた。
トークショーが始まり、ついに肉声を拝聴する。優しい声の色だった。
本の上では文字で、そして今日はそのお姿と言葉で、私たちの心にクスッと笑いと癒しを届けてくれた、こだまさん。
ますます「カウンセラー」身を感じる時間だった。

カウンセラーこだまさんのトーク、まつりは、様々な話が繰り広げられた。あの話の続きが!ときっとその場にいたこだまさんファンの誰もがどよめいたり、しんみりしたり、そして会場にいる人からの質問に答える時の言葉が心に響く時間だった。

この日の事を、偶然にも同じ会場にいらした「えりぱんなつこ」さんも書かれているので、ぜひそちらも読んでいただけるとあの時の臨場感が伝わると思う。
(えりぱんなつこさん、記事を拝借致しました。ありがとうございます!)


そして、とうとうイベントは、サイン会の時間へ突入。


「あの時の筍です」


サイン会の時間へと突入。いよいよ、目の前で推しへ自分の言葉を伝えられる時が来たのだ。
とてつもない、緊張。THE 緊張。KING OF 緊張。
緊張しすぎて、ナンダカ オナカ イタク ナッテキタ ヨ・・・。

まだサインの順番に余裕があったので、お花摘みに出かける。トイレで座って、立ち上がったら軽くめまい。何やってるんだ!私!こんなところで倒れたら、まつりが台無しだ!!気をしっかり持つんだ!!!頬を軽くたたいて、この場所にいる自分に全集中した。

そして、私の番。
目の前にいるのは、推し作家のこだまさん。

なんて言おう、なにを伝えよう。緊張の中、絞り出した最初の挨拶の言葉。


「あの時の、タケノコ、です」


??何言ってるの?私?

もっと「ずっとファンでした!」とか「いつも元気もらってます!」とかあるでしょうに。

とっさに絞り出たのは「あの時の、タケノコです」だった。
でも、後から振り返ってみると、この言葉が一番私を伝えられて、4年分の思いや感謝が込められていたかもしれない。

ただの一ファンだったある日、Xでこだまさんの「お題」に「筍」と答えた私。それを拾って下さった、こだまさん。あの時の感謝を伝えたくて、そしていつもこだまさんの文章で救われている感謝を伝えたくて、今日はこの場にお礼を伝えに「恩返し」にきたのだ。

あの時、本で気持ちを救って頂いた、一人のファンです。
そしてあの時、Xで拾って頂いた、筍です。

恩返しに参りました。

私が分かっていても、こだまさんには伝わらないかもしれない。
それでも良かった。お会いできただけで、もう充分だ。

私の挨拶の後、少し間を置いてからこだまさんは、なんとその言葉の意味を理解して少し驚かれたようだが優しく声をかけて下さった。
緊張と嬉しさが頂点に達した瞬間だった。そのあとのやりとりを実はよく覚えていない。

ただただ、本に薄墨のペンで書かれた文字と絵を見て
とにかく胸がいっぱいだった。

恩返しするつもりが、また救われてしまった。


筍の文字。六花亭のお菓子も頂けた。


まつりの余韻


トークイベント&サイン会の翌日。
見事に寝込んだ。

上野のお茶会からのこだまさん渋谷イベントでまつりのはしごは、極度の興奮と緊張状態を体にもたらし、私のすべてのHPを使い果たした。夜寝たはずなのにまったく回復せず、ベッドから動けない朝。でも、気持ちは満たされていた。すぐ近くには、昨日のサイン本。まつりの余韻を楽しんだ。

わたし、今まさに筍だな。
ふかふかの土、ならぬベッドでこだまさんの本を養分にしてゆっくり息をしている。立派な竹として育つにはまだまだ時間がかかりそうだけど、まだ筍でいたい。
ゆっくりでいい、かな。
不惑を過ぎたことだし、ゆっくり筍でいたい。


締めくくる言葉


まつりが過ぎ去って、5月。
たくさんのご恩を頂いたお礼に、再び恩返しをしたいなと思い、サイン本を1冊購入した。


どんなサインが届くのだろう。楽しみだ。
薄曇りな夕方、ポストに本が届いた。ワクワクしながら、開く。


「奇祭」この言葉がすべて。

「奇祭」

すごいな、こだまさん。
この春の、まつりとそのすべての出来事を締めくくる言葉が届いた。

春のこだまつり、という「奇祭」。

また来年も、奇祭はあるのだろうか。伝説の奇祭、かもしれない。

筍はまた恩返しに、
春にこだまさんに会いたい、です。



                        



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