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こんにちはコトノハ教室です。
発音レッスンの進め方としてどのような手順で進めていくのか。
今回は特定の音に対する話ではなく、レッスンの進め方についてお話します。
具体的な音がないとイメージが湧かないので今回は目標音を「さ」の音のレッスンを例として述べていきます。

この流れで進める

「さ」が言えないからといって始めから発声レッスンは行いません。
聴力やことばの聞き取り能力の把握が不可欠です。
そのため始めはこれらのレッスンから始めます。
語音弁別(音を聞き分ける)
→単音のレッスン
→単語のレッスン
→文章のレッスン

語音弁別

発音だけでなくことばの習得は耳の聞き取り能力が大幅に関係しています。
聴力の聞き取り能力だけでなく、聞いた音を現実のものである事と結び付けることやいくつの音でことばが作られているのか。正しいことばと意図的に間違えたことばの双方を聞き分けたり音を認識する能力も必要とされます。
例えば「さかな」「たかな」のことばを聞きどちらが実在する魚か聞き分けます。このように聞き分けることを語音弁別と呼びます。
語音弁別が可能であれば、自身で発した音の違いに気付けます。発音レッスンを進めていく中で発した音のフィードバックを自身で行う場面があります。

単音レッスン

「さ」という音は音声表記/sa/と表記します。/s//a/が組み合わせれて音が作られます。/a/は母音で構音可能なため/s/摩擦音の構音動作獲得を目指していきます。
/s/の構音動作を獲得したら、/s/摩擦音に母音を組み合わせて音節の産生を目指します。
※/s/音の導入として/sɯ/(す)の音節から始めることも多いです。子音の後側の母音を後続母音と言います。子音の口形が似ている後続母音から始めることが多いです。

単語レッスン

単音での発音が可能になったら、単語でのレッスンに進みます。
そのために目標音を含む単語を挙げます。
「さ」を含む単語と言えば
①「かな」
②「うぎ」
③「か
これらの単語があります。単語を挙げたら目標音の場所に注目します。
①「さかな」⇒語の始め(以下、語頭
②「うさぎ」⇒語の中(以下、語中
③「かさ」⇒語の終わり(以下、語尾

目標音の位置を語頭、語中、語尾のそれぞれの単語を挙げて絵カード等を見ながら正しい発音が出来るか確認します。
目標音の位置によって発音の可否が異なることが多いです。
例えば、「さかな」は言えるけど「かさ」は言えない等。語頭音から始めることが多いですが、既に語頭音単語の発音が可能であれば語中・語尾のレッスンを行いましょう。

文章のレッスン

単語が定着したらそれを文章レベルに広げます。
始めは2~3語文のように少ない文章から始め、ゆっくりな速さで目標音を意識して進めていきます。意識が出来るようになったら通常通りの話す速さにしましょう。
文章レベルでのレッスンで躓く事が多い場合は単語での練習に戻りましょう。

※ひらがなを読める子どもであれば、文章をひらがなで示すことで視覚的にも理解しやすいです。

口腔筋機能トレーニング

子音の構音動作のレッスンを行う中で舌の運動を苦手とする人もいます。
その場合は口腔筋を鍛えるトレーニングを行います。
構音動作において必要となる舌や唇の筋肉を身につけます。筋肉をつけるだけでなく、舌に力が入りすぎてしまい、正しい動作が出来ないという場合においても口腔筋機能トレーニングを行うことがあります。

目標音の設定の仕方

複数の音の獲得が出来ていないときは発音の順序性被刺激性のある音等から目標音を設定していきます。

発音の順序性

・ま行やぱ行のような口唇を用いた音は早期に発音が獲得されます。
これらは鼻音(ま)や破裂音(ぱ)とも呼ばれます(構音方法)。
一方獲得が難しいと呼ばれる音が、さ行で用いられる摩擦音と呼ばれる音です。

被刺激性のある音

被刺激性というのは「真似して言える」「聞けば出せる」という場合です。
自発的に発する音が異なる音になってしまっても、「さかな」という正しい音を聞くと言い直して言えるということもあります。このような場合は構音動作は獲得をしているため、目標音の定着を目指していきます。

まとめ

発音レッスンは語音弁別等の聞き分ける事から始めていきます。
目標音が単語のどこの位置にあるのか。どのような時に言い間違えてしまうのか。正しい音を聞くと言い直す事が出来るのか等を吟味しながら進めていきます。
正しい発音の獲得のために口腔筋機能トレーニングを行う事も多く、これはシェイプアップ効果も期待されるため、発音レッスンに限らず幅広く使われるトレーニングではないかと思います。
これらのを適宜使いながら総合的に発音レッスンを進めていきましょう。

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