【私が光写真を撮り始めたきっかけ】~川原美香代さん~
光の美しい写真をインスタグラムを中心に
日々アップしている美香代さん。
その写真は温かくて柔らかでホッとする、といつも感じていました。
今回、美香代さんが光写真を撮り始めたきっかけをお聴きしたのですが、そこには私の想像を超える出来事や想いがありました。
では、そんな美香代さんのお話です。
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私は今、主に神社などで撮った光の美しい写真をインスタグラムやFacebookで投稿しています。この写真を見た方からは「とても癒されます」「元気がでました」という声をいただき、私が役に立つことがあるんだなぁ、と嬉しい気持ちでいっぱいです。
実は以前の私は、神社に行くことも写真を撮ることにも全く興味がありませんでした。
幼い頃から歌手になるのが夢だった私は、結婚して一旦は「歌を歌う」ということを諦めました。しかしどうしても諦めきれない想いがふつふつと湧いてきて、子どもが産まれたのちにヴォーカル教室に通い始め、そこでピアノの方とユニットを組んで音楽活動をスタートしました。
徐々に県や市のイベント、ショッピングモールでのイベントで活動をするようになり、多くの人に知ってもらうことになりました。
そして私が歌を歌うことで元気になる人がいる、ということがとても嬉しくもありました。
しかし、「いいね!」という声をくださる方が増えてきた一方で、練習だけでなく様々な交渉事にもあたらなくてはならなくなり、徐々にストレスが溜まっていったのかもしれません。
ある時、ヴォーカリストの私は声が出なくなりました。相方であったピア二ストの方もご主人の転勤で遠くに行くタイミングとも重なり、私たちはそこで解散しました。活動期間は5年ほどでしたね。
声については、いろんな病院で検査をしたりしましたが異常は見られず
「精神的なものでしょう。いつ声が戻るかはわかりません」と言われました。
いつまでこの状態が続くのかわからない、日常生活でも声が出せない。どうしたらいいのかわからない日々でした。
そこでしばらく休息を取ろう、自分の心を落ちつけることをしよう、と考える中で、ふと近所の氏神様に行ってみようと思い、参拝したのです。
それまで特に興味を持つことはなかったのですが、ふと思い立って行った神社はとても心地よく、それから毎日毎日参拝するようになりました。
神社である時、持っていたスマホで何気なく写真を撮ってみました。すると最初の1枚から美しい光が写っていたのです。話すことができないため友だちと会うことも減って引きこもっていた私ですが、神社に参拝してそこで写真を撮ることは一人でもできるし、心地良さを感じてよく行きました。そしてデジカメでも撮ってみようと思って撮った写真は、スマホとはまた違った感じの光が写っていました。
その写真をふと人に見せたら「こんなのは誰もが撮れる写真じゃないよ」と言われ、ビックリしました。私はカメラの具合で誰でも撮れるものだと思っていたのですから(笑)。それから少しずついろんな人に見せるようになると「とても癒される」「心の支えになった」と言われることが増え、インスタグラムに写真を投稿するようになりました。
それまでライブで歌を歌うことで、少しは人の役に立っていると思っていたのに歌が歌えなくなり、存在価値がなくなったと思っていた私に、「これも人の役に立つのではないか?」「次の生きがいの一つになるのではないか?」といった光が射しはじめました。
何せ毎日写真を撮る時間はたっぷりあり、作品はどんどん増えていきます。インスタグラムにも嬉しいコメントをいっぱいもらいました。話すことができなかった私にはSNSというツールは大変ありがたいものでした。
そして「地元で個展でもできたら」と考え始めていたその頃、友人から「いっそニューヨークでやりなよ。Go to NY!」と言われ(笑)、そこから一気に具体的な準備をスタートすることになりました。会場探しや個展そのものの細かい構想やデザイン、スポンサーのお願いなど。そういったことを今進めています。
この個展では作品を展示するだけでなく、テーマ毎にプロジェクションマッピングを楽しんでいただいたり、日本文化を知っていただくためのお抹茶コーナーを設置したり、と五感全てで楽しんでもらえるようにしたいと考えて準備をしています。
そんな中、私の中にあるイメージと会場図をある方に説明する機会が、昨年末にありました。私の書いた図ではどうしても説明しきれず、言葉でお伝えしないといけなかった時、それまで出なかった声が出たのです。5年ぶりでした。NYで個展をやりたい!という想いがあってなりふり構わず説明しないといけない状況があって、私は声を取り戻しました。最初は長いセンテンスを話すことができませんでしたが、少しずつ少しずつ話せるようになってきました。
今、声が出なかった期間は自分の内側と対話する、そして神様の存在を知るためだったのかもしれない、と思っています。
これまでは歌うことで役に立っているという私自身の価値を、今は写真によって役に立てているのでは、と思えるようになりました。それがこのNY個展開催への原動力ともなっています。
声が出ない5年間があって、今の私は「もう人の目を気にせずやりたいことを伸び伸びとやりたい!」という想いが強くなりました。
みんなが「楽しい!」で繋がり、元気で笑顔になっていく。そんな機会を私は写真を通して創りだしていきたいと思っています。みんながしあわせになれる個展を世界各国でやりたいです。
インスタグラム:https://www.instagram.com/mikayo_kawahara/
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SNSでやり取りしていた私にとって、美香代さんはいつも軽やかな明るさを纏っていたので、まさか5年も声が出ない時期があったとは、それが昨年12月まで続いていたとは全く気づきませんでした。
今回「自分のことをこうやって話すのは勇気がいった」と最後に言われました。その想いと「これからは自分のやりたいことで人を元気づけていく」という覚悟が、どのお話からもにじみ出ていて圧倒されました。
ぜひ美香代さんの光の写真もご覧になってください。言葉では伝えきれないエネルギーがそこにあります。
(2019年9月28日)