彼岸花と青空
大阪に住んでいる時期があった。
その頃は秋になると必ず、明日香村の彼岸花を見に行っていた。
特に気に入っていたのは「稲渕」という地区の彼岸花。
日本の棚田百選である「稲渕棚田」と、その田んぼの脇に咲く様々な彼岸花。
傾斜地にあるため、小さな田んぼが一面に広がっているその様は夏に見ても冬に見てもいいものだけれど、実りの時期の光景はなぜか一段と心に迫ってくるものがあった。
昔から小さな田んぼに惹かれる。
機械が入るとは思えない小さな田んぼ。
田植えも大変だろうし、稲刈りも大変だろうと思うと、ついついそこでのいろいろな作業を具体的に考えてしまう。
そして、この小さな田んぼを切り開いたことに想いを馳せると、なんだか「すごいな」としか思えないのだ。
最後にこの地の彼岸花を見たのは、もう6年も前のことになる。
その日は写真にあるようにとてもいい天気で、多くの人が訪れていた。
わたしはまだ小さかった子どもを自転車に乗せ、大好きな棚田の風景と、その時期ならではの景色を写真に収めていた。
そして、これまた興味津々で様々な古墳も見ていた。
とても気持ちのいい、素晴らしい秋の一日だった。
そして、それは御嶽山が噴火した日のことだった。
帰りがけ、スマホのニュースでこの青空が続く先で大変なことが起きたことを知った。
それ以来、明日香村へ彼岸花を見に行っていない。
あの澄み切った青空と彼岸花を心から堪能する日が、また来ることを願っている。
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