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ゆったりと時間が流れているようで心の中ではざわざわと駆け巡る葛藤があって。

「真面目」「不器用」「活発」

私を表す「ことば」はいつも画一的かつ表層的だ。

枠に押し込められたようにそれらは窮屈に交錯し白いキャンバスを黒く塗りつぶしてしまう。余白さえ残さず。とどのつまり、私を知る人は究極的に私を知り得ることはないのだろうと諦めていた。

この言葉を聞き届けるまでは。

彼の放つ相反する言葉の連なりに私という不確かな存在は確かにそこに生きていた。
有象無象の移り行く時の流れに木の葉がざわめき、新緑の中を黒雲が駆け巡り、雨ばかり降り続く梅雨の日に貫くような雷鳴が轟いて。

言葉にならない私の心の「声」に彼は気付いていたのだろうか。

彼の言葉に私は初めて、自分自身の微かな輪郭を見たような気がした。

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