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距離を取りなおし、鮮度を取りもどす。

出会った頃のような新鮮な気持ちをずっと持ち続けるなんて、たぶんできない。

人に対しても。ものごとに対しても。

好きになったり、嫌いになったり。そして、また好きになったり。いつか別れを選ぶまできっと何周も回り続ける。

その間、なんども距離を取りなおしながら鮮度を取りもどしている。


          * * *


久しぶりに、少しだけ関東に戻った。

新宿、秋葉原、下北沢。
相変わらず、人も車も建物も多い。

そういえば、初めて東京に来た時は歩いているだけで「おお。ここが東京か〜。」とドキドキしたなあ。

でも、何度も訪れるうちにだんだんと見慣れてきた。それからは騒がしい空気や空いてるお店が見つからないほどの人口密度に窮屈さを感じ、好きになれなかった。


16:00ごろ。夕刻前の新宿。

数ヶ月ぶりにふらふらと歩いてみた。

200mくらい先に見えるビルの隙間から、うっすらと西日の光が漏れている。その光が街を、人を、車を照らしながら僕の足元まで届く。

その風景が清々しく、新鮮に見えた。
初めて東京に来た外国人のように、写真を撮った。

以前は町並みを見ても何とも思わなかったのに、ふと「この建物ぜんぶ人が建てたって、すげえよなあ。」なんて考えてた。


見慣れたはずの風景に、また鮮度が宿ったのだ。


景色以外でも、こういうことがよくある。


例えば、部活を引退する時期。

日々の練習が嫌で、引退が決まると心の隅では「ああ。もう明日から練習しなくてもいいんだ〜。」と気が軽くなる。

でも、3・4日もするとうずうずしてくる。久しぶりに練習すると、やっぱり楽しかったり必死に練習していた現役の頃には気付けなかったことが見えてきたりする。

ここでも、3・4日でも離れる時間を持つことで失われた鮮度が蘇ったのだ。


          * * *


人は、慣れる生き物だと思います。

どんなに刺激的な体験でも、どんなに感動的な景色でも、ずっとそばにあるとやがては慣れてくる。

それは、つまり鮮度が落ちるということ。

鮮度が落ち続けると、探究心を失ってしまったり飽きてしまったりする。


でも、少しのあいだ距離を取ってみると、ふたたび興味が湧いてくる。新たに出会い直すこともある。

人も、仕事も、趣味も、好きになったり、嫌いになったり。そして、また初めの頃よりも好きになったりする。

こういうことを「一周まわって、また好きになる。」とも言いますよね。


なにかをずっと好きでいられる、なんてことはたぶん無い。

それなら、興味を持てなくなったら無理をせずに距離を取る。


距離を取りなおすことで、鮮度は戻ってくる。


          * * *


おわり。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます!


▼ 過去の記事はこちら。

『同じときに、同じことを、同じように見ている人がいる。』



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