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和歌・あなたのもとへ届いてくれたらいいのに

「河上に洗ふ若菜の流れ来て
 妹があたりの瀬にこそ寄らめ」
 万葉集 巻11・2838
(川上でだれかが若菜を洗っていたのだろう。
その若菜が流れてきた。
せっかくならば、愛しいあの子のいるあたりまで流れておくれ。)

愛しい人とは、
つねにつながりを感じていたいもの。

「(わたしが)あなたに会いたい」と伝えるのでなくて、
一本の若菜でさえもわたしのもとからあなたのもとへ届いてくれたら…
と控えめな言い方をしているところが、
この歌のいじらしさ。

恋しさがにじみでている。


万葉集にはこの一首のように、
日常に恋を詠み込んだ素朴な歌があるのが
魅力のひとつ。


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