京都を超えて東京へ。富ヶ谷の行列の先にはナチュラルワインとフードの楽園が待っていた。【フードエッセイ】
ゆらゆらと波たつオレンジ色の輝きを片手に
スゥーっととろけるような舌触りの滑らかなペーストに
ローストされた芳しい赤色にどっぷりつけて咀嚼すれば
私の脳裏に未知なる楽園のワンシーンが流れていったのだった。しかし、それだけでは終わらなかった。
猛暑の9月に私は東京へ降り立つ。
午前4時起きで午前8時の飛行機に乗り上空を飛行すること1時間半。おにぎりひとつに野菜ジュースのみは言わずもがな空腹で、東京に住んでいる友人と合流すれば即座に東京食旅へと出陣した。
今日の最大のお目当ては、BRUTUSとかPOPEYEとか
いまあついカルチャー系雑誌には必ずといっても過言ではないほど毎回注目の的である”アヒルストア”だ。
まあ開店の30分前に並んでたら行けるでしょと思ってたらまさかの前に大行列が見えてお腹も心も虚無でしかなかった。
パンがずらりと並んだ幸せでしかない窓中を、羨望と虚無のまなざしで中をちらちら見ながら待ち続ける(絶対怪しい
ただひたすらに待つこと約3時間。
ついに茶色い重そうな木の扉から、私たちを美味しい香りで包んでくれる店内の光がわ~~っと差し込んだ時の歓喜は今年一だ…!
そこにはBRUTUSのYouTubeに出られていたオーナーこと齊藤氏の姿がありさらなる歓喜。
もうそれだけで眼福得られて幸せに満ちていたのに
クリーム色の壁にかかっていた黒板に手書きのチョークのメニューを見ればもう言葉がでてこない(ほどの好きが溢れたフードワードだったよ
とりあえず今の興奮を静めるためにウフマヨは必須で
故郷ワードには目がないので明石鯛のセビーチェと
なにやら目が合ったフムスと焼きパプリカを注文した。
口がウフフってなるほどの可愛さには少しの酸味とハーブの香草さがちょっと小悪魔的なウフマヨは泡がピチピチした白ワインに最適で、ニンニクと柑橘系の爽やかガツンとな冷たいセビーチェもスルスル喉にアルコールが通って、しまいのフムスは楽園行き(だがまだ終わらなかった
クリーミーなペーストにチビデビルを想起させるような焼き目でその対象的な何かが一周回って口の中で合致して喉をスィーっと通り過ぎる感じの巧妙さは好きです。
そして仕上げにはなによこれは。見たことないフィッシュ&チップスが私の目の前に現れたのよ。
外周1センチのノーレアに半径1センチのレア。
この絶妙なフォルム比はどう考えても実現不可能なもので、今私の目の前にいるのは夢ですかって感じ。
湖のようにその周りに広がるソースを身がホワホワのフィッシュに絡ませて放り込めば完全なる楽園に到達。
全ての感覚がこのお料理には詰まっていてフィッシュ&チップスの概念が一瞬で美しいものに変わってしまった。
無国籍な空間がワインの華やかさに包まれて、
その軽やかなお料理たちはどんなワインにも絶妙なる親和性を放っていた。
そして、オーナーの柔らかな雰囲気とスタッフの気配りにそりゃ行列なるわって納得美味の1時間で大満足で18時の富ヶ谷から代々木上原へと食旅はまだ続いていったのだった。
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