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『解体屋ゲン』 #41 松茸狩り

私には前からおかしな癖があって、それは「脇役の人生を追う」です。1回だけのゲスト、ポイントリリーフ、サブキャラクターたちのその後の人生をついつい書きたくなってしまうのです。今回はそんな話。

(リンク先で無料で読めます)

鳥丸博士初登場の回はこちら。


最初から脱線しますが、よく「漫画原作者になるには」みたいな文章を読むと「特殊な職業や経験を持つ」みたいなことが書いてあります。

否定はしませんが、別に特殊な仕事をしていなくても漫画の原作は書けます。大抵の仕事は取材でなんとかなるし、体験しなければ書けないのなら時代モノやファンタジーはどうするんだって話です。

その人にしか書けない話というものは確かにありますが、それを持っていないなら見つければいい、ただそれだけです。

とか偉そうに書きましたが、私も随分長い間「大した人生を送ってこなかった自分にロクな作品は書けないんじゃないか病」に掛かっていました。生まれも育ちも平々凡々、学力も仕事も中途半端、特技ナシ賞罰ナシ、波乱万丈の人生を送ってきた人に較べれば自分はなんてちっぽけな人間なのか。

今でもそれは変わってません(人間のサイズ的にも)。でもちょっと気づいたことがあって、そもそも読者にとってはそんなのどっちでも関係ないのです。作品が面白ければ読んでくれるし、つまらなければ放り捨てられる。自分がどんな人間かではなく、書いたものがすべてです。

鳥丸博士は口が悪いという設定


ジャッジするのは自分じゃない、それは恐ろしいけど自分ではどうしようもないことなので、悩んでも仕方ないのです。

あるいは自分が平凡だからこそ、ヒーローよりも等身大の市井の人々に目が向くのかも知れません。

一見平凡に見える人も、掘り下げてゆくと語るべき何かを持っています。王道を歩いてこなかったからこその鬱屈や心の襞、傷つけられてきたからこその優しさやあるいは表には出さない(出せない)強い思いがあり、私はそこに強く惹きつけられるのです。   <続く>




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