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『解体屋ゲン』 #47 仕事の奇跡

この話は、前回に引き続き「中年の見苦しいがんばり」を描いた作品です。この時期、こういう話を書きたかったのだと思います。でも前回までと違って一つ新しい試みをしているのですが、分かっていただけたでしょうか。

(リンク先で無料で読めます)


それは、この話ではゲンたちと今回の主人公に接点がないことです。今回の主人公は名前もありませんし、ゲンたちと最後まで一言も言葉を交わさないまま話が進んでゆきます。

サラリーマンの悲哀ってなんでしょう。日々のノルマ、面倒な人間関係、長い拘束時間、サービス残業、転勤、奥様同士の付き合い、その他諸々あるでしょうが、私の経験では、他人の敷いたレールの上を走らなければならない、というのも大きいと思います(ちなみに私は5年間サラリーマン経験があります)。

突然の人事異動


もっともらしい理由だけど本当は体のいいリストラ候補


本人もそれを分かっているけど断ることも辞める勇気もない


彼のこれまでの人生は受け身です。辞令に従い、言いたいことは胸にしまい、それでも仕事をする。でも現状は絶望的で、もはや奇跡を待ち望むしかないような状況です。

名もなき彼に奇跡は訪れるのか。この続きは本編でご確認ください。<続く>




ちと余談を。

先日、恐れていたことがとうとう起きました。それは中学2年になる息子の一人(ウチは双子♂♂)が、「小説でも書いてみようかな」とポツリと言ったのです。

子どもたちは私の仕事ぶりを見ています。毎朝のんびり起きてコーヒーを淹れ、午前中は家で仕事をし、蕎麦をゆでて昼食、午後は出かけるかDVDを観て昼寝して、おやつを用意して夕食を作ってくれる。

なんか楽そうで楽しそう……そう思っているのがヒシヒシと感じられます。いやいやいや、おまえたちの知らないところで苦労してるから!主な仕事は外でしてるし、おまえたちが寝てる間に夜の部もあるんだぞ!

そう言って聞かせますが、あまり強くは言いません。なぜならこういうのって言えば言うほど逆効果だからです。それは…実を言うと私が物書きで食べてゆきたい、と漠然と考え出したのも中学2年からだからです。溢れ出るリビドーを止める術などないことは私自身がよく分かっています。

それがどんなに困難な道なのか、しかも時代はどんどん悪くなる…どころかそのうちにAIが物語を書くようになり(人間はそのオペレーターとかキュレーターになり)、作家という職業が消える可能性すらあるんじゃないかと思いますが、できる限り放任で、好きなことを好きなだけやらせてあげたいな、と思っています。

私の父親は元公務員で、質素倹約・質実剛健な人ですが、不思議と私のやることに口を出したことがありません。会社を辞めてシナリオライターになる、と言った時も特に反対されませんでした。そんな雲をつかむような話を内心どう思っていたのか知りませんが、一度も反対するとは(応援するとも)言われなかったし、それについてはとても感謝しています。

実のところ、息子たちが社会へ出る頃には、今はまだ想像もつかないような新しい職種が沢山生まれてくるような気がしています。その時に必要な能力は何か、英語?コンピュータ?人工知能の知識?私にはよく分かりません。

子どもたちはPCでゲームをしながらタブレットで小説を読みながらBluetoothで音楽を聞く、みたいなことを平気でしています。親なら止めるべきところなのかな?よく分かりませんが、(私から見たら)新人類の彼らの行きつく先を見てみたい気もするのです。









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