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2023明治安田生命J1リーグ第24節ヴィッセル神戸対柏レイソルの個人的な見どころを紹介

リーグ戦も今節が終われば残り10試合
いよいよ終盤に向けて一戦一戦の結果が問われる時期に入ってきました

神戸は23節を終えて首位に立つも、勝ち点では横浜FMと並んでいます。3位の名古屋も勝ち点差2で迫る等上位争いは熾烈です

ホームの神戸は前節アウェイで川崎Fと対戦。大迫が直接FKを決めて、得点ランキングトップを堅持。1-0で勝利を収めた

一方の柏はホームにセレッソ大阪を迎えた一戦。立ち上がり早々に戸嶋の得点で幸先良く先制
しかしながら終盤の失点で悔しい1-1の引き分けとなった

それでも柏は8月公式戦はここまで3戦無敗(2勝1分)順位の上では厳しい戦いを強いられていますが、それでも直近の試合では強度高く良い試合を見せてくれています

首位を走りたい神戸。そして残留争いに巻き込まれる事なく、1つでも高い順位を目指したい柏。現状の見据える先は異なりますが、その中でもタフで魅力的な90分間に期待したい一戦です

(J1リーグ 解説:吉田達磨さん リポーター:江間丈さん 実況:能政夕介)※追記、修正の可能性あります

順位と前節の振り返り(2023/8/16時点)(リーグ戦のみ)

ヴィッセル神戸:14勝5分4敗で勝ち点47 (43得点19失点)+24

神戸は前節アウェイで川崎フロンターレと対戦。前回対戦から約3週間での再戦となった一戦、スタメン変更は2か所。汰木に代えてパトリッキ、そして飯野に代えて酒井を起用した

神戸は前線の大迫、武藤、パトリッキの個の特徴を生かしながらチャンスをつくる。大迫のポストプレー、武藤とパトリッキのスプリントを活かすために最終ラインから中盤にかけて意図してつくったスペースにボールを引き出しゴールに迫る部分を見せた

川崎の丁寧なパスワークや人数をかけた攻撃がはまる部分もあったが、序盤は両チームの集中力と緊迫感が伝わる試合展開だった

その中で、神戸は得意のカウンターから大迫のパスに抜け出したパトリッキがゴールに迫るも大南にファウルを受けて得点にはならず

しかし、このファウルで神戸はゴールに近い位置でのFKを獲得し、川崎は大南が退場となり1人少ない状態で残り時間を戦う事になった

このFKは初瀬と大迫がボール近くに立ち指示を送る。そうすると、大迫が壁の上を超えた見事な直接FKを沈め神戸が先制に成功し、前半は1-0で折り返す

後半に入り数的有利の神戸だったが、ボールを持つ状況が長くなり、徐々に運動量も落ちた事でなかなかゴールに迫る事ができない。そして、後半の中盤では大迫が負傷交代

そこから神戸は汰木や大崎を投入。終盤には粘った齋藤からパトリッキへ決定機もあったが得点とはならず

数的有利の状況下で押し込まれる部分もあったが、最後まで集中力を保ち、神戸は連敗することなく大きな意味を持つ勝ち点3をアウェイで得た結果になった

Jリーグ公式HPより引用

柏レイソル:3勝9分11敗で勝ち点18 (20得点34失点)-14

天皇杯に札幌に勝利し、その勢いのままアウェイ京都戦ではリーグ戦11試合ぶりの勝利を得た柏レイソル

ホームで勝利を届けたいセレッソ大阪戦は、土屋から出場停止から戻ってきた椎橋を起用

サブのメンバーには京都戦と同じメンバーを入れて臨んだ

キックオフから攻守の強度が高かった柏は、中盤の椎橋とサヴィオでボールを奪い、そこから山田につないでゴール前へ

引き付けてからパスを受けた戸嶋が、プレッシャーを受けながらも右足を振り抜き開始4分で先制点を奪い1-0とした

柏は守備時もブロックを敷いて高い集中力を見せた。特に戸嶋とマテウスサヴィオのサイドの運動量は圧巻で、セレッソ大阪が得意とするサイドからの攻撃に対して集中したプレーを見せていた

逆に柏はカウンターで攻撃面で強みのあるジエゴが突破しクロスを供給するなど、チャンスをつくるも追加点をなかなか奪う事ができない

前半は1-0で柏がリードして折り返し、後半はセレッソ大阪がよりボールを握りながら柏陣内にアタックする場面が増える

すると柏は三丸を投入してフォーメーションを変えて打開を試みる

守備に重きはおきつつも、前線にはタレントがいる柏は細谷やマテウスサヴィオがゴールに迫るも追加点を奪えず

終盤セレッソのサイドからのクロスを合わせられて、後半アディショナルタイム6分に失点

粘り強く戦っていただけに、悔しさが残る引き分けという結果になった

Jリーグ公式HPより引用

アウェイで川崎相手に勝利を収めた神戸だが、負傷交代した大迫のコンディションに加え、メンバー交代のタイミング等課題や不安も残る

神戸は交代枠5人に対して起用したのは3人。最後の井出に至っては後半アディショナルタイムの4分でピッチに入った

スタメンの選手をどれだけ引っ張るかもだが、途中交代から流れや得点を生み出す事がなかなかできていない中で、サブに入る選手たちの奮起にも期待したい

一方の柏レイソルは今季終盤での得点・失点のバランスが気がかりな点の1つでもある

後半31分以降は2得点、8失点というスタッツが記録されている。積極的な交代策は見える中で、試合展開に応じてメンバー入りした18人がそれぞれの役割と期待以上の成果を見せる事ができるか。勝ち点を積み上げていくためには両チームにとって重要な事になるかもしれない

過去の対戦戦績(リーグ戦のみ)

過去の対戦成績はリーグ戦で見ると神戸の13勝、柏の30勝、引き分けが6回と対戦成績で見ると柏が大きく勝ち越しています

今季は14節に柏のホームで対戦し1-1の引き分け(神戸:大迫 柏:OG)でした。(この試合が今季途中から指揮を執る井原正巳監督の初陣でした)

昨季リーグ戦では柏が2勝
柏のホームでは3-1で柏が勝利(柏:椎橋・マテウスサヴィオ・武藤雄樹が得点 神戸:橋本が得点)
神戸のホームでは0-1で柏が勝利(柏は細谷が得点)

※リーグ戦での勝利は2021年の5月以来なし。ホームでは2018年の7月以来なし。ただし、昨年の天皇杯ラウンド16ではノエビアスタジアム神戸で神戸が勝利をしています(神戸:佐々木・初瀬 柏:椎橋が得点)

現在の所属選手が現在のチーム在籍時に記録している得点結果です(リーグ戦のみ)

神戸は対柏戦では大迫の1得点のみ

柏は対神戸戦では椎橋、細谷が2得点。マテウスサヴィオ、武藤雄樹、三原が得点を記録(細谷と椎橋は対神戸戦2年連続得点中:2021-2022)

※古巣対戦(記録はリーグ戦のみ)
神戸)なし
柏)ブエノ(2015年に在籍し11試合1得点)・三原雅俊(神戸に12年間在籍し151試合6得点)
ドウグラス(2020-21年に在籍し44試合14得点記録)

対戦成績では柏が大きく勝ち越している対戦カード。今季の対戦は2度目。そして、天皇杯では両チームが勝利すれば準決勝で再戦の可能性もあります。1度目の対戦は1-1の引き分け。今節はどうなるか楽しみです

今シーズンの成績(リーグ戦のみ)

ヴィッセル神戸:14勝5分4敗で勝ち点47 (43得点19失点)+24

先制試合:16試合 13勝2分1敗(9節の横浜FM戦で今季初の逆転負け)
先制された試合:6試合 1勝2分3敗(21節の鳥栖戦で今季初の逆転勝利)
スコアレスドロー:7節の新潟戦のみ

ホーム: 7勝3分2敗 勝ち点24  22得点  10失点 得失点+12
アウェイ: 7勝2分2敗 勝ち点23 21得点  9失点 得失点+12

リーグ戦では10名が得点(大迫17得点、武藤8得点、佐々木4得点、汰木・山口が3得点、酒井・パトリッキが2得点、初瀬、泉、トゥーレルが得点を記録)

複数得点:13試合  
複数失点:6試合
無失点:11試合 
無得点:3試合(横浜FC戦が15試合ぶり)

<得点>前半に17得点 後半に26得点 

<失点>前半は7失点 後半は12失点
前半開始15分以内の失点は今季ここまでなし

43得点中セットプレーでの得点は13点の30.2%。大迫のPKで3得点,直接FKで1得点
初瀬がFKとCKから起点をつくる(CKから3得点、FKから2得点内1本は直接)

19失点中セットプレーからの失点は7で割合は36.8%(CKから1失点、PKで4失点等)

ホーム、アウェイ共に安定した戦績を今季残している。しかし、得点は大迫と武藤で25得点(チームの半分以上)アシストは武藤と汰木で14(チームの1/3)を記録と
よく言えば、主力が固定されていて怪我なく戦えているとも言えるが、残り試合の中で総合力が試される戦いが続くかもしれない

柏レイソル:3勝9分11敗で勝ち点18 (20得点34失点)-14

先制試合:7試合 3勝4分0敗(先制すれば負けなし)
先制された試合:14試合 0勝3分11敗(8節鳥栖、10節京都、14節神戸戦は引き分けに追いつく)
スコアレスドロー:12節と19節の新潟戦スコアレスドロー

ホーム: 1勝7分4敗 勝ち点10  12得点 19失点 得失点-7
アウェイ: 2勝2分7敗 勝ち点8 8得点 15失点 得失点-7

リーグ戦では7名が得点(細谷が8得点,マテウスサヴィオと戸嶋が3得点、小屋松、フロート、片山、武藤が得点記録)OGが2得点

複数得点:4試合 
複数失点:7試合(16節札幌戦で5失点)
無失点:4試合(22節の京都戦で無失点)
無得点:10試合 ※最多得点は16節札幌戦の4得点

<得点>前半11得点 後半に9得点 

<失点>前半は16失点 後半18失点
後半31分以降は2得点、8失点

今季は20得点中セットプレーでの得点は2点の10.0%。CKとPKで1得点(どちらも後半アディショナルタイムで得点を記録)細谷のPKは開幕のガンバ戦で記録

34失点中セットプレーからの失点8で割合は23.5%(FKから1失点,CKから2失点,PKで3失点等)

柏も神戸同様に得点については細谷が全体の約半分近くの割合を占める

今季はチーム全体で負傷者も出ており波に乗れない部分はあったが、残り試合は夏に加入した犬飼選手をはじめチーム全員でより集中して勝利に向かいたい
特に終盤の得点と失点、セットプレーについて改善ができれば戦績も変わる可能性がある。1週間の準備期間でどのようなトライをみせるか楽しみにしたい

個人的な見どころ

今季は14節(2023年の5月20日)に対戦し1-1の引き分けという結果になった
※前任のネルシーニョ監督から、リーグ戦で井原正巳監督が初めて指揮したのが前回対戦の神戸戦だった

あれから3カ月。神戸は首位をキープしつつ、柏は苦しい順位状況ではあるものの少しづつ活路を見出している部分もある

今節が終われば残り10試合。神戸はここから、柏、FC東京、京都と続く
8月のホーム戦は今節のみ。しっかりと勝利を届け首位を走りたい

柏は神戸、広島、横浜FMとの試合が続く。勝ち点を1点でも多く上積み、1つでも上の順位を狙いたい

神戸は夏の移籍期間の終盤に横浜FCから新井瑞希を期限付きで加入することを発表

16日には泉の山形への期限付き移籍も発表。ドリブルが得意な部分も含め、適性としては類似する両選手ではあるが入れ替わりのような形で補強を行った

一方の柏は7月24日に浦和より犬飼智也の加入を発表

J1で150試合以上の経験があるCBを補強し、守備の安定を図った。結果的には8月の3試合では複数失点はなく早くも補強の効果は出ているようにも感じる

そんな神戸と柏は3カ月ぶりの再戦だが個人的な注目ポイントは以下の4つ
①メンバー編成と、交代メンバーの活躍
②開始15分と終盤の15分
③運動量とゴール前の精度
④流れを変えるセットプレー

①メンバー編成と、交代メンバーの活躍
神戸は今季リーグ戦で全試合フル出場を続けるのは前川と山口の2選手
柏は古賀のみが全試合フル出場でチームをけん引している

ここに全試合スタメンという要素を加えると
神戸:前川、山口、武藤、初瀬
柏:古賀

更にリーグ戦全試合出場(途中出場含む)で見ると
神戸:前川、山口、武藤、初瀬、大迫、汰木
柏:古賀、細谷

神戸はCB陣の負傷はあるが、それ以外については大きな怪我なくシーズンを送る事ができている。一方の柏はCBの古賀、FWの細谷はフル稼働しつつも、監督交代やケガ等チームとしての成熟がなかなか難しいシーズンとなっている

とはいえ、柏については中断期間中に犬飼の加入含め守備面では整理も進み、公式戦は3戦無敗(2勝1分)いずれも複数失点はなく、前節こそ悔しい失点はあったが粘り強い試合はできている
だからこそ、途中交代の選手が流れを変える事ができるかは重要になりそうだ

今季で見ると途中交代からの得点は(リーグ戦のみ算出)
神戸:パトリッキ、佐々木大樹の2得点
柏:フロート、武藤の1得点のみ

神戸の方が上回っているが総得点の割合いで見ると大きな差はなく、チームとしての競争がより進むような活躍が起用される18人全員に求められる

神戸は大迫の負傷が懸念事項でもあり、メンバー入りの可能性は高いがサブからの出場も可能性としてはあり得る

柏は中盤の運動量が求められている分、戸嶋・マテウスサヴィオ・椎橋・高嶺・山田がより良い状況でプレーできれば攻守においてより貢献度が増すはず。スタートの編成に加え、途中交代で流れを変えるメンバー起用とタイミングに注目したい

②開始15分と終盤の15分
神戸は今季リーグ戦では開始15分での失点はなし。そして後半の開始15分での得点が12得点と最も比率としては多くなっている

これまで通り立ち上がりから集中した入りを見せて、強烈な個がある前線でしっかりとこじ開けたい

柏は後半31分以降に8失点(特に後半のアディショナルタイムで5失点)と試合の締め方が試される。前節悔しい失点があっただけに、この部分を跳ねのけて逆にしっかりと得点を奪いたい

得点面では後半31分以降はセットプレーからの2得点のみ(いずれも後半アディショナルタイム)
それでも前節は開始4分で戸嶋が得点を奪うなど、細谷・サヴィオをはじめ得点を取れる選手も多くいる
柏からすると今季先制試合は負けなし(3勝4分)でもあるので、スタートから仕掛けて早い時間で先制、そして追加点を奪って優位に進めたい

③運動量とゴール前の精度
シンプルなロングボールやサイドを使ってくる神戸に対して、セカンドボールやサイドでの駆け引きは試合の中で重要になる

特に神戸の山口と齊藤はボール奪取にも長けており、人に強くいける齊藤とインターセプトの上手い山口がボールをコントロールできると神戸は攻守においても優位に進める事ができる

一方の柏は高嶺は負けん気も強くボール奪取能力は高い。また最終ラインだが古賀も早い判断でボールをインターセプトする場面を多く見せてくれている
マテウスサヴィオもプレスバックも懸命にし献身的な姿も今季光っている

セカンドボールで主導権を握り、攻守の切り替えて相手の良さを出させないためにも中盤の運動量が求められる

特に神戸の前線にCBは引っ張られる可能性が高い分、そこにできたスペースを埋めてボールをコントロールできた方がより良いチャンスを得られるかもしれない

リーグ戦で見るとシュートの数、決定率ではここまで神戸が上回っている

神戸では武藤嘉紀、柏ではマテウスサヴィオも積極的にシュートは放っているが惜しくも得点に結びついていない部分もある

神戸ではパトリッキ、汰木
柏ではフロート、高嶺にも同様の事が言える
逆に言えばこの選手たちが得点を取り始めればチームとして更なる上昇のきっかけにも繋がる

そこに至るまでのプロセスももちろんだが、前節の大迫や戸嶋のように難しいシュートでも決めきる事ができるかどうか。その部分を注目していきたい

④流れを変えるセットプレー
神戸の得点でセットプレーの割合は約3割。大迫のPKで3得点、初瀬・大迫の直接FK2点など個の能力の高さも見える
CKではDFメンバーでの得点等も可能性としてあるが今季は初瀬の直接FKとトゥーレルの得点のみ

柏は今季リーグ戦では20得点中セットプレーでの得点は2点で10%
開幕節に細谷がPKを決め、16節に加藤のCKから武藤雄樹が決めた1点の2点のみとなっている
両得点はいずれも後半のアディショナルタイムでの得点となっているだけに、終盤はもちろんだが早い時間帯でこうしたセットプレーから流れを引き寄せたい

キッカーはもちろん、特に合わせる選手でいうと可能性は十分にある。だからこそ、神戸同様にこのセットプレーで多彩な仕掛けを見せ、流れを掴むプレーを見せていきたい

そして、今年は天皇杯ベスト8まで両チーム勝ち進んでいる
神戸は8月30日に熊本と対戦。柏は名古屋と対戦する。この結果両チームが勝ち進めば、10月には決勝進出をかけて今季3度目の対戦の可能性もある

優勝戦線に残りたい首位神戸と、残留争いから早々に抜け出しより高みを目指したい柏

蒸し暑さもある中で、90分間怪我無くタフな好ゲームに期待したい
お時間のある方は8月19日の19時~ノエビアスタジアム神戸にて。またはJリーグ公式映像DAZNにてお楽しみください!





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