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呪術廻戦最終話(271話)と作品全体の感想

こんばんは、普段YouTubeで毎週ジャンプ感想を語り合う配信をしております寿司(ことづか)いくらと申します。
2024年9月30日発売の週刊少年ジャンプ44号にて、『呪術廻戦』が最終回を迎え完結しました。
ヒロアカに続きひときわ思い入れのある作品の完結ということで、感想をしたためた文章(毎週全作品で書いてるやつ)がなかなかの量になったので、個別で記事にすることにしました。
よろしければご一読ください。


ちなみに呪術廻戦最終回感想を語った配信アーカイブはこちらになります。
興味ある方はこちらも合わせてぜひ。

【#wj44】ベテランジャンプ読みと週刊少年ジャンプ44号の感想を語り合おうぜ!後半戦!【呪術廻戦、完結!!ありがとう!!!


特大センターカラー!

呪術師たちの集合イラストってことでいいのかな。メインキャラ、人気キャラ全員集合ってわけじゃないので、じゃあ何で分けられてるのかというと"呪術師"か否かな気がした。
高羽は呪術師ではないから描かれてないのかなと。
それでいうと夏油は微妙なとこだけど。
だいたいみんな笑顔で明るくて最終回にふさわしい良いイラストだ。
虎杖伏黒釘崎が固まってるの良いし、美輪とメカ丸の恋人繋ぎは「!?」ってなった。
あとナチュラルに直毘人いないな。まあ……ええか……

最終回単体での振り返り

引き続き任務にあたる虎杖たち。
3人のやりとりの空気感いいなー。ずっと見てたい。
虎杖と釘崎が変顔で煽り合うとこめっちゃ良い。
伏黒の「地頭って基本バカを励ます言葉だからな」は切れ味鋭すぎて死人が出そう。
で、伏黒の提案によりタワマンを使うことで犯人の誘い出しに成功。
釘崎と虎杖、駆けつけるところまではめっちゃカッコよかったのにお目目デカくなって怯んでるのカッコつかないな〜!
てか伏黒は式神全滅してなかったんだね。宿儺が使い果たしたかと思ってたから良かった。
伏黒の渾により犯人捕縛。これ伏黒一人で良かったんじゃ……
犯人は依頼主がキャバ嬢時代に貢がせてた男。キャバクラの客とはいえウン百万する鞄貢がせて顔も覚えてないの、依頼主も大概やな……どっちもどっちな感じがなんとなくこの作品っぽい。
「死刑になるわけじゃねぇんだから」
一度死刑に決まった男が言うと笑い事じゃねえなあ!?説得力はあるけども!
ここで五条先生と虎杖の回想。
「もう五条悟とかどーでもよくない?」
「でも今の僕が僕の終わりだとしてみんないつか僕より大人になる日がくるわけじゃん」
「そんな中一人くらい僕のこと忘れて僕とは全く違う強さを持つ人間がいた方がいいと思うんだ」
虎杖はまさにその"全く違う強さ"の持ち主だっていうのはそれこそ後述するけど宿儺戦の終盤に如実に表れていた気がする。
そこからなんと宿儺との真人の対話。
自らの内に宿る呪いによって復讐の道を選んだ宿儺。
「次があれば生き方を変えてみるのもいいかもしれない」
宿儺は今回の生では呪いの王として生きることを自ら運命づけていたと思うんだけど、その生が終わりもし次の生があるのなら……という思考に至った時に「違う生き方」に目が向いたのは、最後の虎杖との語らいのおかげだと思うんだよな。
宿儺にさえ価値を認めて、向き合い寄り添いやり直そうと言ってくれる──これは明確に五条悟にはない虎杖の強さな気がする。
復讐とか憎しみの連鎖を、「やり直す」ことで抜け出す……というのが廻る呪いに真に打ち勝つ方法の一つの答えなんじゃないかって話。
宿儺戦で描きたかったものをもっとミニマムに描いたのが最後の呪詛師だったんじゃないかな。
そして最後にはふたたび百葉箱に収められ魔除けとして座する宿儺の指で〆。
百葉箱は必ず北向きに設置されることから、「新しい自分になりたいなら北へ行きなさい」と繋がっていて、扉が開いたということはつまり宿儺は……という考察見かけて素晴らしいなと思った。
指の根本が小さな手のようになってるのは裏梅の手を表してるように見えるし、2人で新しい生き方をしているのかな、と。
物語の一番はじめ、宿儺の指が収められた百葉箱に戻ってきて、呪いが廻る……けれども全く同じようにぐるぐる廻るのではなくて、少しずつでも前向きになっていければ良いよね──という未来への希望のようなものを感じさせる爽やかなラストでした。

作品全体の振り返り

終わった……終わってしまった……のに意外なほどショックを受けていないのはカウントダウンで覚悟が出来ていたからか、最終回がアッサリながらもいいまとめ方だったからか。
最初始まったときは正直こんなに人気漫画になるとは思っておらず、「暗めの新連載始まったな~」くらいの気持ちだったんだけど、少年院編くらいで「おっ?」ってなって、京都校交流会編で決定的にハマった気がする。やっぱり東堂の衝撃はデカかった。
作品にノれるようになってきてからは、NARUTOのキャラ配置、BLEACHの演出、ハンタの能力バトル──と平成少年ジャンプの正当後継者といった感じでジャンプ好きの作者とわたしで近い温度で楽しめていた気がする。単純に作者と世代めちゃくちゃ近そうだしね。ボーボボとかデジモンとかドンピシャだったし。
ジャンプ好きの作者といえば、芥見先生は本当にジャンプが好きでよく研究して練り込んだ上でこの作品を作っていたんだなあというのを呪術廻戦全話と呪術廻戦展で思い知らされた気がする。
特にわたしが"ジャンプ"だなと思ったのは「展開の大枠は決めてあるけど細部はあえて決めずに話を進めてみる」(京都校の裏切者が誰か最初は決めてなかったとか)というところ。
緻密にきっちり編み込まれた話も面白くはあるんだけど、読者の反応を見たり土壇場で閃いたりして作品を作っていく所謂「ライブ感」のようなものを意図して作り出す試みをしていたのかなと思っていて、呪術廻戦はあらゆる作品の中でもそれがかなり大成功していた作品だったように思う。芥見先生の目論見通りの混沌と、先生自身の持つガバさが生み出した意図しない混沌の両方が混ざり合って、予想がつかない=予想するのが楽しい作品になっていたのが呪術廻戦の特徴で、週刊連載と少年ジャンプというフォーマットをめちゃくちゃ上手く乗りこなしていた印象。東堂がビブラスラップつけて復活してくるなんて予想できんて。(なぜか予想的中させてる人いたらしいけど)(なんで分かるんだよ)
呪術廻戦の魅力の核心をわたしなりに言語化するとこんな感じだ。
作者としても失敗したな〜と思っていたっぽい要素(死滅回游は難しくしすぎたとか反転術式と術式反転のややこしさとか領域展開周りの設定の難しさとか)なんかも、作者自身そう思いつつも最後までしっかり上手く活かして作劇していたのは地力の高さというか真面目だなーというか。
キャラクターの話をするとまあやっぱ五条悟というキャラクターはあまりにズルかったよなと。
飄々とした最強キャラってだけならよくある話だけど、その最強っぷりをとことん突き抜けさせながら懐玉・玉折で青春に囚われたおつらいキャラとしての肉付けをするのはもうそんなんズルいじゃんねえ。その上普段は割とカスなのにその実ちゃんと生徒たちの未来について考えて行動してるみたいなのもね。生徒想いなのも青春ロスの影響がありそうではあるけど。
まあもう人気になるべくして人気になったキャラというか。
ただそんな五条がいてなお主人公は虎杖悠仁だったのが凄い……と思ったけどむしろ、五条悟という存在が良くも悪くも相手を制圧する「最強であること」で話を進めてしまうキャラなので「違う強さ」を持つに至る虎杖が主人公としてより際立つという話なのかもしれない。
最終回で捕まった呪詛師や、なんならラストの宿儺の真人との対話のところでも話してたんだけど、「間違ったってやり直せる」というのは呪術廻戦という作品で伝えたかったことの一つだったと思っていて(脹相、日車あたりもそういう話がテーマのキャラな気がする)、そのために必要な赦しと寄り添いが可能なのが虎杖の強さで唯一性で主人公たる所以だったんだと思う。五条は敵を打ち倒すことはできても、敵が人生やり直すってなった時にたった一人に寄り添い続けてくれるような人物ではないよね、という。
ちなみにわたしが好きなキャラは東堂、脹相、日車、ナナミンなんだけど全員見事に虎杖大好きマンばっかりなんだよな。主人公を好きなキャラが好きになれるのは主人公の造形がうまくいっている証拠だよなあ。
キャラ作りのうまさにおいては言うに及ばずだけど、特にこのへんの様子がおかしいキャラ(日車はおかしくない)はなかなか真似できるものではない……と思ってたらカグラバチの外薗先生がラーニングしてるっぽいんだよな……ジャンプの未来は明るいぜ……!
まだまだ話したい事、話せる事は無限にあるけどキリがないのでこの辺で。
呪術廻戦、とにかく楽しい作品だった……!!ありがとう………!!
個人的には今度は呪術廻戦に影響を受けて育った世代がどういう漫画をジャンプに載せるのかが楽しみだな。カグラバチはその皮切りと言える…のかな……?
というわけで芥見先生、6年半の連載お疲れ様でした………!!
ファンブック、次回作、その他諸々待ってます………!

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