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短歌 002 クリスマスの過ごし方

クリスマス 行って来ますと 親に告げ
人目はばかり 街を彷徨う


みなさま。
突然ですが、クリスマスの予定はお決まりでしょうか?
私はとっくに決めております。
会社から帰ったら、めしを食って、風呂に入って、寝ます。

なんといってもコロナ渦ですからね。

それにしても、毎年のようにこの時期になると「ひとりぼっちのクリスマスをどうやって過ごせばいいのか?」といったような内容の記事を目にしますね。
その都度、私は不思議な思いに囚われます。
どうしてそんな簡単なことが分からないのでしょう?
電気を消して、じーっとしていればいいじゃないですか。
私みたいに。
そうすれば近所の人だって「あの部屋に住んでるおっさん、どっか出掛けてんだな。あんな冴えないナリしてても、やる時はやるんだ…」ってな風に勘違いしてくれるはずです。
クリスマスなんかチョロいもんでしょ?

でも親元にいらっしゃる方はそうも行きませんよね。
もちろん自分の部屋に籠るという手もありますが、家にいる以上、ご両親はあなたのことをこんな風に心配することでしょうし…。

「部屋でひとりで泣いているんじゃないだろうか?」
「恋人はおろか友達もいないのだろうか?」
「ヤケを起こして火を付けて回ったりはしないだろうか?」
「ひょっとして反キリストを標榜する秘密結社に加盟しているんじゃないだろうか?」

実家住まいでステディのいないそこのあなた。
そんな親不孝をしてはなりませんよ。
私ことぶきがあなたがた迷えるクリボッチャーズの為にいい方法を指南して差し上げますから、メモを用意して以下に記すアドバイスをお読み下さい。

まずは正体がバレないようにちゃんとマスクをします。
そしてとりあえず家を出ましょう。
自転車なんかいいと思います。
ご両親には「ちょっと出て来る」と告げておくといいです。
それだけで勝手に色々と想像してくれますし、何より嘘を吐かなくても済みます。

行き先は、そうですね…。
となり町の本屋なんかどうでしょう?
大丈夫です。
誰もあなたのことを好奇の目で見たりはしませんから。
ただし同じようにひとりで立ち読みをしている異性を見掛けたからといって、声を掛けるようなマネは謹んで下さい。
あなたと違って、待ち合わせまでの時間潰しをしておられる可能性がありますからね。
店員さんがハタキを掛けながらあなたの周囲をウロウロし始めたら、そろそろ店を出る時間です。
帰る際、もちろんなにか一冊は本を買って下さい。
工作に協力して下さった本屋さんへの恩義を忘れてはなりませんよ。

行き帰りに掛かる時間を合わせれば、これで1時間は潰せましたね。
次はカフェかファストフード店に行きましょう。
繁華街でなければ案外空いています。
間違いありません。
昨年私が調査しておきましたから。

店に入ったら珈琲をオーダーして、さっき買った本を読みましょう。
間違っても、トマトチキン&モッツァレラ石窯フィローネのようなボリューム満点のフードメニューを注文しないように。
あなたが工作の真っ最中だということが、お店の人にバレてしまいます。
かと言って、わざわざ「あいつ、おせえな…」と呟いてみたり、通じていないスマホを耳に当てて「あ、仕事終わった? オッケー。…うん。待ってる。おつかれ〜」などと言ったりする必要はありません。
そんな無茶をすると、寒さと寂しさで凍り付いたあなたの心がポキっと折れてしまう可能性がありますので。

さて、帰りますか…。
おっと、その前にコンビニに立ち寄りましょう。
そうです、酒を買って飲むのです。
デートやパーティーに行ったのに、シラフで帰宅するのはあまりにも不自然ですからね。
酒はワインでも焼酎でもなんでも好きなものを選んで下さい。
お腹がすいているのなら、なにか食べても構いません。
ただし、さも宅飲み中に酒が切れて買い増しに来たというような風情を装うことだけは忘れないで下さい。

買い物を済ませたら、公園かどこかで酒を飲みましょう。
そしていい具合に酔ったら、風邪をひく前にとっとと家に帰って下さい。
帰宅後は余計なことを喋らない方が賢明です。
空想を元にデートやパーティーの様子をねつ造して、ご両親に事細かに説明するようなことは避けましょう。
たぶん、バレます。

さあ、あとは風呂に入って寝るだけです。
泣くことはありません。
孤独は心のふるさとなのですから。
「おかえりなさい」と言って自分を労ってあげて下さい。

備えあれば、憂いなし。
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かーら揚げ食〜って、飲んで騒ごー♪
(大瀧詠一氏「クリスマス音頭」より)

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