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ショートショート 「未熟な忍者しのぶ」
未熟な忍者しのぶ。
彼女は諜報活動のさなか屋根裏でくしゃみをし、敵方に発見されてしまった。
その後、潜入した屋敷から逃げ出すことには成功したものの、追跡を受けて、いま路地の突き当たりに追い詰められている。
月は雲間に隠れ、風は凪いでいた。
追っ手が意地悪く笑う。
「ひっひっひ。くノ一、もう逃げられまい」
「なんの。忍法変わり身の術!」
しゅぼん。
しのぶは化けた。
「ひゃーっひゃっひゃっひゃ。おぬしは底なしのマヌケじゃのう」
追っ手が笑うのも無理はなかった。
しのぶは鳥に化けたつもりだったが、体の大きさが元のままだった。
彼女の身長は約150センチ。
なので、ちょうどエミューと同じぐらいのデカさをしていたのだ。
しかも子供の落書きみたいな品種の判別が付かない「いわゆる鳥」の姿をしており、尚且つスポーツチームのマスコットみたいに二本足で立っていた。
「うい天然おなごじゃ。引っ捕らえたら突き出す前にたっぷり可愛がってやるからな。ぬわっはっはっは…」
「そうはさせん!」
「どうするつもりじゃ?」
「忍法分身の術!」
しゅぼ、しゅぼ、しゅぼん。
しのぶは今度は100体に分身した。
しかしこの術もまた完璧ではなく、点数を付けるとすれば100点満点中3点の出来だった。
でもまあ今のうちに散り散りに逃げればなんとかなりそうではあった。
追っ手は充分混乱していたからだ。
「ぐぬぬ、くノ一…」
さあ逃げろ。
逃げるんだ、しのぶ!
烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏
烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏鳥烏烏烏烏
烏烏烏烏烏烏鳥烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏
烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏
烏烏烏烏烏烏烏烏烏鳥烏烏烏烏烏烏烏烏烏烏
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