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スポットライトの外へ

もちろん、ぼくだってひとりひとりに時間をかけて介助したいさ。

時間をかけて食事介助をしている他のスタッフに、名残惜しい視線を向けながら早々に食べ終わった方を歯磨きへと案内する。

介護施設スタッフには、本当にいろんな人がいるなぁと思う。

よく気がつく人。よく動く人。優しい人。そっけない人。こだわりが強い人。大雑把な人。細かい人。怒りっぽい人。全く仕事をしない人。

対人関係が軸にある仕事だからかな。こんなに性格や人格の癖が露骨に出るのは。
対人関係の仕事だからマニュアル化しずらいことが多いってのは本当か?定のいい言い訳のようにも聞こえてくる。

介護の考え方に「自立支援」とあるが、抽象化されすぎてやしないか。勘のいい人はその言葉の意味から具体的な行動の選択肢をいくつも考えられるが、この介護職員ダイバーシティでは神格化されすぎている言葉のようにも聞こえる。

ビジョンなんかより具体的なチェックリストの方がいちばん効果を発揮するように思う。

歯磨きにひとり案内して食堂にもどり下善する。
食事が済んで食後薬を飲めそうな方へ服薬の声かけをする。

あの職員は丁寧な食事介助をしている。
睨みつけた時計の針は40分を指している。

自己評価としてだが、ぼくはよく動く人だ。
フロアを指示してまわすリーダーでもないのに、その日全体のスケジュールを考えて作業の優先順位を決めて動くから。進捗に遅れがあれば気になって率先して動く。バラエティー番組でいえばウラ回し的なことか。

一方あの職員は、ぼくとは違う価値観で行動する。相反する行動パターン。最終的な集合場所はこれまた「自立支援」なのだが。

その「自立支援」の集合地点で、ぼくとその介護職員がハイタッチできているかどうかがわからない。

被介護者に関われば関わるほど、自立支援は遠のいていく。物理的なことでいえば、半径2〜3メートル離れた位置なのか。スポットライトの外に向かって離れていくことが自立支援だとして。
一緒に舞台の中心に立ちスポットライトを浴びに行っていること気づいてない。もしくは客席からステージに上がってしまっていと気づいていないのは、どうなんだろうかと思う。

現場ではいかに仕事をしないかが、仕事をしていることになる。声かけや存在そのものが、利用者さんにとって価値のあるような人間に、ぼくはなりたい。

そうこうして時計の針は一周した。
食堂でふたり。そのスタッフはまだ舞台の中心でスポットライトを浴びていた。

まとまりのない文章だが、
今日はこれでいい。

介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。