ファンをつくる方法
ぼくと同じ歳くらいの息子と一緒に暮らしているらしい。
その人は、デイサービスに来た時に饒舌になる。
「おかあさん、デイサービスに行ってアレコレ面倒なことを言って他の人に迷惑かけていないかって、いつも息子に注意されるの。大丈夫よって」
「ここは楽しい。家にいてもね、なんもやることないからデイサービスにくるとストレス発散になるの」
「こんなばあさんと一緒に歩いても、なんも楽しいことないでしょ」
「ここのデイサービスの人たちはほんといい。職員の人もいいし。最高!」
「むすこがね、毎日、洗濯も掃除もご飯もしてくれるから、本当にありがたい。優しい息子よ」
「家で水戸黄門みてるだけでしょ。もう退屈で退屈で」
「食器拭きしかできないけど、食べてばっかりでなんもせんのはいかん」
「あの人、食べたらすぅーっと向こう行って。なんもやらん」
「あの人、ずっと文句ばっか言って、近くの席に座りたくない」
「なにをさっきからフラフラして。席でじっとしとらんかっ!」
優しい言葉8割と毒舌2割。
8:2の法則って、ビジネスや組織運営にも当てはまるし、人の人格にも当てはまるらしい。でも、8割が優しい言葉で溢れているなら、その人の人生はきっと豊かなストーリーだったのだろう。
「はい!先生の言うことはなんでも聞きます!」
その人に席の移動をお願いしたとき、
ぼくに対してそう、しっかりと返事してくれた。
その自衛隊員のような返事を聞いた他の介護職員から「あなた〇〇さんに何かしたの?」とあらぬ疑いをかけられた。勘違いするくらい、しっかりとした返事だったからだ。
いや待て、これはぼくに全幅の信頼をおいているからこその、盲信的な返事だ。要するにぼくのファンなのだ。
優しさ8割から出た言葉だ。
心外な言葉を先輩介護職員から浴びせられたあと、ぼくはその人の傍でニコッと「ありがとね」と言った。
どっやってファンにしたかって?
ルックスとダンス・歌に色気。
と、アイドルのようにしておきたいけれど、
いつもニッコリ笑顔で話す
杖を持たないで歩こうとするから、杖をすぐに持っていく
手を繋いで散歩する
ひざまずいて目線を合わせて話しかける
リアクション大きく話を聞く
敬意をはらう
こういった、箇条書きにできる泥臭いコミュニケーションの積み重ねなのです。
そして、
利用者さんが好きなのです。
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