病気に意味があるわけでなく、その人に意味がある
「この病気になったのは意味があると思うから」
映画の中のセリフではなく、今日直接耳にした言葉。
おそらく治る病気の人は、こんな考え方にならないだろう。
脳梗塞の後遺症で左半身が麻痺している。若年性認知症もあり感情の抑制がきかない時がある。もともと大らかで明るい人だったのだろう、隣の部屋にいても「きゃっはぁー!」と、高笑いがよく聞こえる。それは決して不快ではなくむしろ周りを明るくしてくれる。
おでこにアイマスクをかけている可愛らしい人。
車いすでの生活を余儀なくされている。でも必死にリハビリを行い介助は最小限でしか必要ない。子を二人もつ母親。病気してもなお周りの人を気遣う母性の強い人。本当に強い人だと思う。
相手のことを先に考えられる人は少ない。
自分から優しい言葉をかけられる人も少ない。
彼女はそのどちらも空気のように、あるがまま颯爽にこなしていく。
デイサービスでは率先して食器を片付け洗濯物を取り込み、食後のコーヒーは各利用者さんの好みを記憶してオーダーをとってくる。体調が悪そうなひとがいれば「大丈夫?」と声をかけてまわる。まぁとても自然に。
彼女には強い信念がある。
「私が頑張っている姿をみて誰かが少しでも勇気を持てたら、私の病気にはいみがある」ぼくにそう語ってくれた。
同世代のある利用者さんは彼女をみて、精神障害を克服するべく腹筋を始めた。
盲目の利用者さんは彼女の声を聞いて、自分の孤独と向き合う決意をした。
そしてぼくは彼女から、周りに対する優しさを学んでいる。
介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。