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朝起きたら自宅ではないところに居ると思って自宅に帰ろうとして自宅を出てたらしいが自宅に帰れなかった

月に一度、いとこのおじさんの様子を見に行っている。

いとこのおじさんはパーキンソン病だ。症状としては中程度。シルバーカーを押して一人で散歩しにいくことはできるけれど、足の出が悪くつま先が上がらない。いつ転倒してもおかしくない状態だ。そして、おばさんと二人暮らし。老老介護の夫婦だ。

「ちょうど話したいことがあったのよ」と、二人が暮らす6階のマンションにお邪魔したらコーヒーもでないまま、すぐに報告会が始まった。

ケアマネジャーさんからの提案

ケアマネージャーさんからの提案で「訪問リハビリはどうか?」と提案を受けているとのこと。今現在、週2回デイケアで半日リハビリを行なっている。追加して訪問リハビリを追加しようというもの。おじさんは現在要支援2だ。

しかしおばさんの話をもう少し聞いてみると、
「こないだ朝起きたら隣に居なくてね。どこいったのかと思って他の部屋を見に行ったんだけれど、居なくて。
着替えた形跡もないからパジャマのままちょっとだけ外行ったのかなと思ってたら電話がかかってきて。
警察から。保護していますって。
パジャマのままシルバーカーも押して行かずにひとりで出かけたみたいで。道で転倒して、うずくまっているところを通りがかった方が通報してくれたんだって。大きなけがなくてよかったけど。もうびっくりした。」

おじさんが言うには「自宅に帰ろうとしていた」らしい。どーゆーこと?密室トリックかなんかですか?
要するに、朝起きたら自宅ではないところに居ると思って自宅に帰ろうとして自宅を出てたらしいが自宅に帰れなかった。とんちにも程がありまっせ。一休さーん!

訪問リハビリ?要支援?
いやいや、下手すりゃ入院。事故ってバイバイ。

「怪我なくてよかったねぇ〜」と深刻な空気を出さずにはいたが、こちとら介護業界に足を沼らせている人間。やっぱり最悪のケースを想定してしまうのが宿命。近々要介護認定をし直し、サービスの選択肢を変える必要があると思った。
この話を実の息子にしたところ「もう施設に入れたほうがいい」と言っていたらしい。飛び級か?ギフテッドの子供か?そんな簡単に施設に入れないし入れようとするな。息子の認識の甘さにも舌打ち案件だが、それは仕方のないことだとも理解はできる。結局人は、自分の身に降りかかってきた火の粉しか避けようとはしない。
悪いが息子よ。縁起でもねーが、おじさんが死んだ時。実の息子でない俺の方が大粒の涙を流す自信があるぞ。やっぱりな、人と人って、接してきた時間の積み重ねもあるけれど、しかしな、手のとどく過去に接してきた時間と想いの方が強えーと思うから。

「玄関のドアチェーンをしっかりつけといて」と息子はいう。

いや甘い甘い息子よ初任者研修の認定試験より甘い。チンパンジーでさえアクリルの箱に入ったバナナを取ろうとして、箱ごと破壊する知恵を持っているのだ。ドアチェーンなんてヒュッポロッだ。

靴にGPSをつける、今回だけだと思うという希望的観測、転んだら転んだときだという自他力本願を話したり聞いたりして、ひとまずマンションを後にした。さすがにケアマネジャーさんのガラ空きボディーにパンチを打ち込むのはやり過ぎだ。

近所に介護者の集まりを開いているコミュニティーがある。まずはそこに顔を出してみたらと選択肢を提示しておいた。必要なのは知ること・選択肢を持つことだと思う。いきなり解決策を探してもうまく行かないから。

介護は大変。介護職はキツイ。そんなネガティブなイメージを覆したいと思っています。介護職は人間的成長ができるクリエイティブで素晴らしい仕事です。家族介護者の方も支援していけるように、この活動を応援してください!よろしくお願いいたします。