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ピンチはチャンス!という言葉の本当の意味が分かって震えた話。

ピンチはチャンス!という言葉、よく聞きますが。

私は長い間、どうも胡散臭く感じてきました、この言葉一つで丸め込まれるような気がして、少し嫌悪感もあったかもしれません。

繊細で傷つきやすく、深く考え過ぎることも災いして生きづらいタイプの私は、カウンセラーさんに助けていただいていたこともあるのですが、その経験を経て、この言葉の本当の意味が分かったような気がしています。


モンスターカスタマー対応で、カウンセリングを依頼

以前からそのカウンセラーさんにはお世話になっていたのですが、マンションコンシェルジュをしていた頃、モンスターカスタマー対応をすることになり、一時期集中的に通って支えていただきました。

一年以上揉め続けた挙句、コンシェルジュが全員辞めてしまうという事態に陥った物件があり、いつか駆り出されると予想した私は、その時まで待って嫌々行くよりも今行きます、と異動を志願しました。

ビビリなのにチャレンジ精神旺盛という真逆の気質が困ったもので、勢いで飛び出したものの、最終的には命の危険を感じるほどの事態に巻き込まれました。

うつ病を経験しており、精神的に余裕がなくなると、心理的視野狭窄に陥り、考え方が極端に偏り正常な判断ができなくなることは想像できました。

しっかり状況説明することも難しくなるだろうと踏んで、その物件への異動前に予めカウンセラーさんに事情を全て話し、何かあったら頼れるようにしておいたのですが、この判断だけは、今までの人生の中で一位を争う英断だったと思っています笑。

ベテランのコンシェルジュが一気に全て辞めた後というのは、それは酷い状態でした。

長い間会社から放置され、現場では日々場当たり的な対応に終始せざるを得なかったことが、よくよく理解できました。

無茶な要求をされ判断を仰いでも、前線に丸投げ状態。もし現場判断で毅然とした対応を取り断って、激しいクレームとなった場合、会社側が庇ってくれないことは目に見えていました。

会社が風見鶏対応を取ることは想像がつく。断れば自分達が責められ、より酷い状況になると思えば、エスカレートする要求も、飲まざるを得ません。

構造的な問題がそのクレーマーを助長させ、その結果他の入居者さん達も巻き込んで大喧嘩になるなど、日々トラブル続きとなってしまったのでした。

誰も助けてくれない。そんな日々が続き、コンシェルジュ達のモチベーションも下がっていたのでしょう。

他の入居者さん達への対応も以前のようにはいかず、言うまでもなく物件全体に不穏な空気が流れていました。

私が配属になってからも緊張状態が続き、引継ぎ漏れの仕事を手探りでこなし、新しく入った人の教育なども行ったのですが、突貫工事ですから当然運営はガタガタ。退職をする人も続きました。

チームワークは上手く回らず、同僚からも批判が相次ぎ、私は内からも外からも責められて疲弊していきました。

カウンセラーさんに相談していても、クタクタで余力がなく、もう何をどうすればいいかも考えられない。

投げ出すことはできないけれど、とにかくこの状態から解放されたい、というような心境で。

勤めたのは実質2ヵ月弱だったのですが、5キロほど一気に痩せてしまいました。

後半に入ると、朝礼中に皆で話して決めたという事実は覚えているのに、何を決めたか全く思い出せないという記憶障害が発生し、さすがに凍るような恐怖を覚えました。

カウンセラーさんにも、「もうダメです……」と話していたんですが、その時の彼女の言葉が今でも耳に残っています。

「今、本当に苦しいのは分かる。ギリギリだと思う。だけどね…、今が、今がチャンスなの。あなたならできる」

その時は、イヤ、そう言われても、もう何をする力も残っていない。少しだけ休ませてほしい。落ち着いたら…ゆっくり考えるから…限界の今は何もできない。これ以上状況を悪くしたくない…と心の中で思っていました。

とは言え、現実は待ってくれない。「あなたならできる」という言葉に支えられ、アドバイスに従って一つ一つ対応を変えるなどして、ちびちび前進しました。

モンスターカスタマーとの最後の攻防戦

至近距離で「地獄に落としてやる」と凄まれた後は、過剰防衛にならないよう自衛用として唐辛子スプレーをポケットに入れて持ち歩き、会社を説得して防犯体制も改善してもらいました。

最終的に会社全体の問題になって初めて、裁判など本格的な対応が取られクローズしました。

カウンセラーさんが仰った「今がチャンスなの」という言葉の意味

あの経験を振り返って、カウンセラーさんの仰った「今がチャンスなの」という言葉の意味を痛感しました。

ピンチはチャンス!は、こういう意味なんだろうと。

①ピンチの時しか問題がしっかり見えない。

②追い込まれることで、絶対に何とかしなければならないという強い気持ちが生まれる。

③〝喉元過ぎれば熱さを忘れる”で、少し状態が落ち着いてしまうと、状況を変えようという意志が薄れ、楽な方に流れてしまい問題解決がまた先送りされてしまう。

違う方向から例えれば、

日常的には〝問題文”が薄っすらと読める状態で、解答しようにも問題がよく見えない状態。

重大事件が起こった時に問題文が浮き上がり、文章がしっかり読めるような状態になる。

そのタイミングを逃すと、問題文が薄れてまた読めなくなってしまうようなものなのかなと。

めちゃくちゃ苦しい。もう一歩も動けない!限界!!というピンチの時こそ、一番問題文がしっかり浮き上がってどういう問題なのかが読める。

ネガティブな気持ちに脳内を占領され、体は絶不調。でも、〝心が大きく動いた時”がチャンスなんだと。

人間関係って時に、凄まじく激しく、そして醜い闘いになりますよね。毎日嵐の中にいるような状況。

こんな時に何の余裕も…と思うけれど、今まで溜め込んできた、蓋をしてきたいろいろな感情や問題が一気に溢れている今こそがチャンス。

この苦しい状況を何とか脱したい!という気持ちが、ありとあらゆる手段を使って、なりふり構わず動く原動力となり、自分を変えるきっかけになる。そういうことなんだ、とハッとしました。

もちろん、本当に体を壊す手前の時は、立ち止まってゆっくり休むという決断が必要なので、そのさじ加減が肝なんですが。

私はうつ病から寛解後、心理系の本をたくさん読んだりいろいろと勉強し実践して、少しずつ自分を強くできたという実感がありました。でなければ、わざわざ志願して火中に飛び込むなんてことはしなかったと思います。

そういうところをよく見ていてくださったカウンセラーさんだったからこそ、うつ病再発一歩手前かもしれないけれど、踏みとどまれている。

今が、さらに成長できるチャンスだと、私の成長意欲を踏まえ、かつ現状をよくよく見極めたうえで、もうひと頑張りできると、背中を押してくださったんだと思います。

ピンチというチャンスを逃すと…

平時に戻ってしまうと、優先順位が変わってしまう。

問題だと思っている。モヤモヤする、辛いと感じてはいるけれど、何とか耐えられるし、下手にかき混ぜてより苦しくなる状況になることは避けたい。

…と、ストレスを細切れにし分散させて、日々耐え忍ぶという状態だと、長期的に体にダメージを与え続けることになる。

気付かないうちに病んでしまっていることがあるので、ここぞ!という時には、向き合って対決し先々の憂いを断つことも必要なのでは、と思っています。

チャンス=最大の好機

〝ピンチはチャンス”と聞くと、個人的にですが、何というか、外側から何かが魔法のように問題を解決してくれる、一発逆転的な印象を受けます。

私がこの言葉を聞いて違和感を覚えたのは、そういう響きも含めて、どこか他力本願的で無責任だと感じていたからかもしれません。

でもこの言葉は、前時代的な精神論のように、根拠もなく鼓舞するための薄っぺらい言葉ではなく、〝窮地や苦境は、問題の本質に向き合う最大の好機”という意味で、これ以上のタイミングはない、というのが本来の意味なのでは、と感じています。

自分を変えるのは自分。苦しみは、一見不利益にしか感じられないけれど、解決の最大のきっかけになる。〝雨降って地固まる”にも通じることなんだな、と思いました。

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