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ことりのコップさん

みみちゃんがベッドに腰をかけて、てつこさんで沸かしたお白湯を飲んでいる。
 
ふぅー、ふぅー、ふぅー。
 
お水でぬるめたりしていないから、息を吹きかけて冷ましながら、ゆっくりゆっくり飲んでいる。
 
わたしは、みみちゃんのおともだちがみみちゃんにプレゼントしたコップ。
 
厚めの陶器でできていて、かわいいことりの絵柄がついている。
 
白色とうすい水色とアクセントに黄金の色が入っていて、ことりの絵柄の部分は丸い感じで立体的になっている、しゃれたコップ。
 
おでかけの予定がなんにもない日曜日の朝は、みみちゃんもみんなもゆったりした気分になる。
 
みみちゃんはくーっと伸びをしてから部屋着に着替えると、裁縫教室でつくった麻のエプロンのひもをきゅっとしめた。
 
「さて、はじめるかー」とちいさく気合を入れて、みみちゃんは家事にとりかかった。
 
お洗濯、床とトイレと洗面台のお掃除、それからお料理。
 
それがきょうのみみちゃんのやることだ。
 
お洗濯は洗濯機にまかせて、みみちゃんはマキタさんで床のお掃除をしている。
 
いつもしていることだけど、みみちゃんは鼻詰まりをおさえるためにていねいに掃除機をかけ、それからトイレと洗面台の掃除をした。
 
プピププ。
 
ばっちりのタイミングでお洗濯がおわり、みみちゃんが洗濯ものを干す。
 
みみちゃんのおうちはマンションの上のほうだけど、それでもくるまの排気ガスがすごくてベランダには干せない。
 
だからみみちゃんは洗濯ものを換気扇をまわしながらお風呂場に干すようにしている。
 
マンションの換気扇はなかなか強力だから、それでもじゅうぶんかわくし、とにかくいろいろ安心なのだ。
 
お掃除とお洗濯がひとだんらくしたみみちゃんは、てつこさんで沸かしてまほうびんに入れているお湯を私に注いだ。
 
あ、そろそろ休憩だな。私はちょっとウキウキっとした気分になる。
 
みみちゃんがお湯を注いだコップのなかにティーバッグを入れて、ちいさなお皿でふたをした。
 
コップの内側で、フレーバーティーのいい香りが開いてゆく。
 
みみちゃんがさっき入れたのは、ノンカフェインのいちごの香りのティーバッグだ。
 
蒸らしおわったらふたの代わりのちいさなお皿についた水滴をコップの内側におとして、きゅうけいタイムのお茶のよういができあがる。
 
お仕事の帰りにデパちかで買った、期間限定のキャラメルひと粒をよこにそえていすにすわると、みみちゃんは肩をぐるぐる回してストレッチをした。
 
みみちゃん、休日の家事はんぶん、おつかれさま。
 
ほわほわの湯気といい香りがひろがって、みみちゃんとわたしの、ささやかなきゅうけいティータイムがはじまった。

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この小さな物語に目を留めてくださり、 どうもありがとうございます。 少しずつでも、自分のペースで小説を 発表していきたいと思います。 鈴木春夜