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パシーマさん
ぼくはパシーマ。
みみちゃんのお母さんが、みみちゃんとお姉さんにって用意した脱脂綿とガーゼのキルトケット。
お水も湿気もよく吸うし、保温性もあって、そのうえ薄くて軽くてあたたかい最高の寝具。
ぼくはそんなに大きいサイズじゃないけれど、みみちゃんは小柄だからぼくでじゅうぶん事足りる。
みみちゃんがベッドシーツとぼくの間にその小さなからだをすべりこませるとき、ぼくはみみちゃんがリラックスして眠れるように、ふわっと肌に触れるように注意している。
みみちゃんはよく眠る人だ。
たぶん、ほんとうはまいにち8時間以上は睡眠をとりたいんじゃないかなあと思う。
からだが小さくてお姉さんに比べたら食も細いから、そのぶんしっかり眠って体力とか気力とかをおぎなう必要があるんじゃないかとぼくは考えている。
みみちゃんは寝つきはよくて、ほんとうにびっくりするくらい、すとんと寝入ってしまう。
寝つきがいいのは健康のあかしだから、それにかんしては安心だけど、なにぶん鼻が詰まりやすいからときどき夜中に起きたりする。
このあいだもやっぱり夜中に鼻詰まりをおこして苦しそうにして、おうちのみんな、とくにルームライトさんをずいぶん心配させていた。
みみちゃんは、どうもハウスダストや車の排気ガスや、とにかくきれいな空気のあるところじゃないとダメなようで、ホタルみたいだねってみんなでうわさしたばかりだ。
ベルジェさんが「私ががんばっておへやの空気をきれいにするわ!」ってはりきっていたしもちろんそれも大切なことだけど、もっとこんぽんてきなやり方で鼻詰まりが治ったらいいなとぼくは思う。
たとえば森のなかとかで暮らせたら一気に治ってしまいそうだけど、みみちゃんは虫が苦手だしキャンプにも慣れていないから、なにかいい方法はないかなーって考えて、できるだけほこりを立てないようにしようねってみんなで気をつけることにした。
「ふはーっ」と大きく深呼吸をして、みみちゃんがベッドに横になる。
あんのじょう、みみちゃんはこてっと寝てしまい、ぼくは「よしよし、いつもどおりのいい具合」って思った。
あとは夜中に鼻が詰まってしまわないようにと願いながら、みみちゃんのやすらかな寝息を子守歌にして、ぼくも一緒にしずかな気持ちで眠りについた。
この小さな物語に目を留めてくださり、 どうもありがとうございます。 少しずつでも、自分のペースで小説を 発表していきたいと思います。 鈴木春夜