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療育を生活に組み込む3つのスタイル

では、仕事をしながら療育はできるのか?
療育しながら、生活を回していけるのか?

できます!

でも、どうしても難しいケースもあるとは思います。

100%誰でもできるとは言えませんが、ここで紹介する3つのスタイルを参考に、それぞれの家庭に合うやり方を考えてみてください。

でもその前に!

そもそも両立できるのか?という部分を見ていきたいと思います。

 

一般的な仕事の常識を一旦脇に置いて、もし療育と仕事を両立するなら?で考えてみる


これは非常に大切なことで、地域によって様々でしょうが、僕の地域での療育は、一番頻度が多かった時期で、毎週2日(10:00~14:00)+月2回(1時間)というものでした。

これを見た瞬間、僕は「共働きなら無理やろ!」と思ってしまいました。

しかもです。

僕は当時フリーランスで、比較的時間の融通をつけやすい仕事であったにもかかわらずです。

「週に二日も仕事休めんやろ!」という先入観です。

 でも、冷静に見てみましょう。

「もし、仕事をしながら療育をするとしたら、どんな方法があるか?」

パートナーがいれば、週に1回、平日を休み、月に1回半休ぐらいをとれば何とかいけそう。

もし、平日休みの仕事なら、療育の日を休みにできれば何も問題はない。

もし、土日休みの仕事なら、土曜出勤と入れ替えさせてもらえれば問題はない。

月に1回の半休ぐらいは、残業で賄えば休みにせずに済みそう。

どうでしょうか?
そんなに無茶苦茶なことでもなさそうではないですか?

もちろん、会社によるし、仕事によります。
どうしてもできないケースもあると思います。

また、入社1,2年目ぐらいでは、なかなか会社に言いづらい状況もあるかもしれません。

でも、それは、なんとなく自分が持っているイメージに過ぎないんです。

そして、会社も同じように「仕事とはこうあるべき」というイメージを持っていることが多いです。

だから、そもそも自分から、無理だと諦めてしまうことが多いように思います。

そして、そこを乗り越え、自分ではこうすればできると思ったとしても、会社がOKと言うはずはないと勝手に決めつけて相談せずに諦めることもあると思います。

また、パートナーに無理だと言われると、なかなか言えずに諦めてしまうこともあるかもしれません。

でも、冷静に見てみると、そんなに難しくないと思えるはずです。

そうなんです。
環境にはよりますが、やろうと思えば、そんなに難しくなくできるんです。

だから、まず「無理だ」という先入観を脇に置いて、仕事をしながら療育をするとしたら、どういうスケジュールならできるか、考えてみてください

意外と何とかなるんじゃないかという方法が出てくるケースは多くあります。

地域によっては、ろう学校の幼稚部では、平日毎日親子療育というところもあるようです。
こうなると、仕事との両立は一時期諦めざるを得ません。
もしくは地域を変えるかになりますが、仕事との兼ね合いもあるので難しいケースが多いと思います。

そして、休日を平日と土曜に振り替えてOKだとか、1時間の個別療育も、残業と相殺すればOKだとか会社が認めてくれたとしても、時間が経つにつれて、なぜか、「そういうことでは困る」と言われるようになることが実際にあります(笑)

これは対処のしようがありません。

仮に、最初に契約書を書くという方法もありますけど、いくら契約書に書いても、上司か社長か、その人の心が変わったのであれば、契約上はOKでも、グチグチ言われることは防げません。

契約書をたてにすると、状況が変わったからその契約は無しだとかになる可能性もあります。
そうなっても、法律上は契約が有効だという場合もあるかもしれませんが、契約と人の心は別です。
おそらく、気持ちよく仕事はできなくなります。

それでも我慢して続けられるか、会社側から約束を反故にされるか、自分から辞めるか、そうなったときの対処はいろいろありますが、そういうケースがあるということを念頭に置いて、転職先を常に調べておくのが一つの有効策かと思います。

そういう視点を持って生活していれば、次善策が見えやすくもなりますし、事が起こった時、「来たか」と、冷静に対応できます。

あれほど協力的だった人がこんなにも180度変わるのか?
ということは、よくかどうかはわかりませんが、実際にあります。

ちなみに我が家は僕もカミさんも経験しました(笑)

なので、経営者ってのは、何でそんなに器の小さい奴しかいないんだろう?と憤慨してますが、今や僕も経営者になったので(笑)、気をつけようと思っています。

というわけで、僕の様に仕事を自分でコントロールしやすい立場でも最初は無理!と思ってしまったことなので、会社に勤めている多くの人が完全に諦めてしまうのも当然だと思いますが、実は、仕事と療育の両立ってそんなに無茶苦茶なことではないということを、まずはわかってもらえればと思います。

子どものためにも、両立するとしたらどうやったらできるか?を、まずは考えてもらえればと思います。

 

療育を生活に組み込む3つのスタイル


では、療育を生活に組み込む3つのスタイルを見ていきます。

①担当スタイル(仕事担当、療育担当に分かれて行うやり方)
②協働スタイル(パートナーと一緒に療育を行うやり方)
③ワンオペスタイル(ひとり親やパートナーの看病など、ワンオペとなる場合)

これが3つのスタイルです。

ワンオペスタイルは、選択の余地なく選ばざるを得ないところですが、①か②に関しては、双方の納得があることが大切です。

 

双方の納得を引出す4つの視点


双方の納得を引出すには、以下の4視点で考えてみることが有効です。

 

・子どもにとってベターな療育ができるか?
・両親にとってベターな仕事ができるか?
・家族がやっていける生活費が確保できるか?
・家族が気持ちよく過ごせるか?

この4つの視点で双方納得のいく選択をしてください。
ここは家族ごとに戦略があると思うので、総合的に判断してみてください。

ベストではなく、ベターと書いてあるのは、全てベストを目指そうとすると、選べなくなることもあるので、ベターを目指すという形で考えることをお勧めしています。

もちろん、全てベストな選択ができるならそれでOKです。

この4つの視点の中で唯一、基準が明確にあるのが、「生活費を確保できるか?」です。

もちろん、節約することを組み込んで考えてもいいですし、家族が気持ちよく過ごせるかとも連動してきますが、家庭ごとに生活費がいくら必要かは違うので、そこはしっかりと把握して、その確保を考えてください。

では、各スタイルを効果的に進める方法をお伝えします。

 

①担当スタイル(仕事担当、療育担当に分かれて行うやり方)


仕事担当、療育担当に分かれて行うやり方ですが、療育担当は、アルバイトをする場合もあるかもしれません。
要するに、一方だけが療育を行うスタイルです。

これが、実際には一番多いのではないかと思います。
もちろん、良い悪いの問題ではありません。

このスタイルを効果的に行うために大切なことは、
療育でやったことの共有をすることです。

担当スタイルの場合、共有をしないと、療育を担当しない方が、全く知識がなくなってしまいます。

療育センターでの時間より、家庭での時間が長いことははっきりしています。(幼稚園、保育園に行けば、そちらでの時間も長くはなりますが)

療育は、日ごろの繰り返しがモノを言います。
と、なれば、家庭で2人ともわかっていた方が、療育の効果は2倍になりますよね。

そして、共有をしないまま時間が経ってしまうと、療育に関わってない方は、「今更療育に関われない」という無意識的な立ち位置ができてしまいます。

ここは自分の領域ではないと感じたり、やろうにもさっぱりわからないので働きかけられなくなることもあります。

療育をしている方も、「今更言っても無駄だろうな」という感覚が芽生えてきます。
でも、何もしない相手に、腹立たしくなることもあります。

そうして、双方、療育に関して微妙な距離ができてしまうと、お互いボタンを掛け違ったかのような不満が募っていき、家族関係が良くない方向に行きかねません。

割り切るという方法もありますが、できれば、家族で療育に取り組んだ方が子どもにとっては効果的です。

ただし! 夫婦仲が微妙な場合、療育の共有が大きなストレスとなって、家庭崩壊につながることもあるので(汗)、そういう場合は共有しない方がうまくいくこともあるでしょう。

まあ、可能なら共有するに越したことはありません。

そして、共有したら、少しでも療育的な関りをしてもらうことが大切です。

ここで大切なことは、
「教えてもらう方のパートナーはうまくできるわけがない」ということをわかっておくことです。

これは、何もバカにするという意味ではありません。

教えられてすぐにできることなど世の中にはありません。
繰り返し練習してコツをつかんでいくものです。

なので、教えられたばかりですぐにはうまくできませんので、なるべく簡単な関りからできるようにしたり、ダメ出し的に指摘するのではなく、まずやったことを肯定して、それから「こうやったらやりやすいよ」というアドバイスをしていくなど、少しずつ関われるようにしていくことが大切です。

療育の効果は繰り返しです。

療育センター等での療育に何度も参加して、少しずつ身につけていくものなので、そこに参加してない場合は、やっぱり自分と同じようにできるようになるには、結構時間がかかるということを理解して、できる範囲でのプラスアルファを積み重ねていけるようにできればと思います。

そして、担当スタイルの場合、ぜひわかっておいてもらいたのが、
「あなただけが療育の全責任を負っているわけではないよ」
ということです。

状況的には自分だけしか療育に関わってませんので、子どもの療育結果は、全て自分の責任だと思われるかもしれませんが、これは家族の戦略です。

そして、子どもの成長度合いは個々に様々ですし、聴力の状況によっても変わります。

外野から、「サインなんか使ってるから言葉がでないんじゃないの?」と言われたり、
「ちゃんとやってるの?」なんて言われることがあるかもしれません。

でも、担当スタイルのあなたは、常にベストを尽くしてます!

余力があったとしても、療育以外のことをする余力ですから、当然です。
外野はわからないから勝手なことを言います(笑)
腹立たしいでしょうが、ここはサラッと聞き流しましょう。

いや、聞き流せない時もありますよね。
お義母さん、お義父さんに言われたりとかだとですね・・・

そんなときもあるかもしれませんが、
あなたはベストを尽くしてるので、1人で抱え込まないでください。

あなた以外の人では、今ほどの状況は作れません。
自信を持っていいと思います。
STさんと相談しながら、胸を張って療育に取り組み、外野の声への対処もSTさんに相談してみてください。

担当がわかれているとしても、1人で療育しているわけではありません。

思うように伸びていかないとしたら、それは自分のせいというわけではありません。
それが、その子のペースなだけです。
子どもには子どものペースがあるんです。

 

②協働スタイル(パートナーと一緒に療育を行うやり方)


これは、パートナーと半分、半分で療育をするやり方です。

もちろん、半分にこだわりはなく、半・半をベースに、対応できる方が柔軟に対応していくやり方です。

協働スタイルを効果的にやっていくために必要なことは、担当スタイルと同じですが、療育の共有をすることです。

前にも書きましたが、療育は、予習⇒実践⇒復習という流れがあります。
また、療育活動のテーマ以外でも、課題は生まれます。その課題解決のため、次の療育の時や、家庭にいる時での働きかけが必要になってきます。

なので、センター等での療育でやったことは、必ず共有して、2人とも状況を把握している状態にすることが大切です。

これができないと、担当スタイルよりも効果が失われる可能性があります。

それは、前回の課題が引き継がれない場合です。

こうなると、せっかくの子どもの成長のチャンスを逃してしまいます。
担当スタイルなら、前回の課題は確実に引き継がれていますので、このようなことはありません。

しかし、2人ともが共有できていれば、療育のプロが2人出来上がるわけなので、担当スタイルよりも高い効果を引出していくことにつながります。

ちなみに我が家はこのスタイルでしたが、子どもを寝かせた後、療育共有晩酌タイムを楽しんでました(笑)
もちろん、疲れて眠い時もありましたけど(笑)、その日じゃなくても、次の療育の日までにできればいいと思います。

夫婦の関係性が良く、可能であれば、おススメのスタイルです。

 

③ワンオペスタイル(ひとり親やパートナーの看病など、ワンオペとなる場合)


ワンオペスタイルはそうせざるを得ない状態で、生計を立てる人と、療育をする人が一人だけしかいない場合です。
(療育期間中を実家で過ごすなどは、担当スタイルになります)

こうなると、
療育に行くことで仕事を休めて、
その分を差し引いても生活していけるだけの費用が確保できる
という条件でないと両立は難しくなります。

これを満たせるケースは非常に稀ではないかと思いますが、この条件が満たされない場合どうすればいいかと言いますと、協力を得るしかありません。

・生活していくための費用を援助してもらう
・療育を他の人にやってもらう
・生活保護を受けながら療育をする

 この3パターンかと思います。

 療育をすること、生計を立てること、この2つは最低限やる必要があります。
しかし、できないので、どちらかを助けてもらうわけです。

自分が療育を担当して、生活費は家族などに援助してもらうか、
自分が仕事をして、療育を家族などにお願いするかです。

そして、生活保護という選択肢もあります。

これは、正直使えるのかはわかりません。
しかし、子どもの療育というのは、塾や習い事とは違い、人生にプラスアルファを与えるものではなく、人生のスタートラインに立つためのものです。
やらなくてもいいものではありません。優先させるべきものです。

そして、それをやると、仕事に就けないケースも当然出てきます。
そんなに休まないといけない人は雇えないとなるケースですね。

ですので、アルバイトか自営業かといったところになるかもしれませんが、生活していけるほどの給与を得られない場合もあります。
そういうケースであれば、正当に生活保護を受けられるはずだと理論的にも感情的にも思います。

あとは、ルールがどうなっているかですが、このケースで支給できないとなると、それは制度としておかしいと個人的には思いますし、こんな時こそ使える制度であってほしいと心から思います。

もし、こういうケースで支給できないなどになりましたら、懇意にしている政治家の方もいますので、ぜひ協力させてください。もちろん支給まで持っていけるかはわかりませんが、断固働きかけたいと思います。

そして、先ほどまでは、生計を立てられるかどうかで仕事を考えてきましたが、その仕事に誇りを持っている、やりがいを持っているから続けたいと考えることもあると思います。

その場合は、ぜひ、会社に理由を説明して理解を求めてみてください。

会社が認めてくれても、給料が生活費を賄えなければ、別の方法を考えざるを得ませんが、やっていけそうであれば両立ができます。

勝手なことを言いますが、やはり、どちらも目指してほしいと思うのです。
療育だけを取る、仕事だけを取るではなくてですね。

となると、療育は今しかないので、仕事を一時期諦めざるを得ないこともあるかもしれません。
でも、仕事なら、形を変えてやりがいを満たせるものはあります。
ぜひ、長期的な視点も踏まえて、両方取る方法を考えてもらえればと思います。

 

同期と協力する方法


うちの地域での療育がベースとなる話ではありますが、療育には、集団療育と個別療育があります。

集団療育とは、10:00~14:00などで、複数の子どもが集まって、療育的な関りをしながら、聞こえと言葉を学んでいく療育で、個別療育は1時間程度、個別に、その子に特化した聞こえと言葉を学んでいく時間です。

この集団療育が、時間も長く、週に2回もあるので、無理だと諦めてしまうことが多いかもしれないのですが、子ども同士や、大人とのやりとりをゆっくり進めていける場であり、コミュニケーションに課題が出やすい難聴児にとっては、非常に有効な場です。

週に2回は無理だけど、週に1回でも通わせたいと思う親御さんもいると思います。
これに関しては、各センターの方針があるとは思いますが、やむを得ず休む場合は仕方ないですが、最初から週に1日休むというのは受けられないと言われることがあります。

これに関しては、週に2回のカリキュラムなので、最初から1日来れないのであればカリキュラムが組めないという見解です。

理解できる部分もありますが、もう少し柔軟に対応できてもいいんじゃないかなとも思います。

通常、集団療育は3人以上いないとできないケースが多いと思います。

でも、友達とのやりとりなどはしたい。
その場合、2人いれば、合同個別というやり方もあります。

時間は、2時間ぐらいで、週に2回は行けないけど、1回は行きたいという家庭が他にもあれば、じゃあ、週に1回合同個別という形でお願いできないかという提案はできると思います。

そういう人が3人集まってもできるんじゃないかと思います。
もちろん、部屋の大きさや時間が確保できればですが。

今、療育も過渡期であると思います。
働き方がいろいろ変わってきたり、日本では長すぎるデフレのため経済的に厳しい家庭も多いです。

ベストなものを目指すことは大切ですが、どうしてもできない場合もあり、そんな時に、ベターからでもできるようになれば、子どもにとっても家族にとってもいいことではあると思います。

提案はタダです!
より良くしたいという提案なら、きっと誰もが前向きに考えてくれるはずです。

もちろん、前例や先入観でシャットアウトされることがあるかもしれませんが、キーワードは、“子どものため”ではないかと思います。

子どものために、考えてみてくれませんか?
子どものために考えてみよう

そうすると、きっとベターな可能性が見えてくるはずです。

週に2回の療育になるとなったとき、「そんなん無理や!」と、当時先入観でシャットアウトしてしまった僕ですが、カミさんの「でも、療育受けさせたいよな」という一言が、考える気持ちを生みました。

あそこで考え直して本当に良かったなと思います。

療育センターやろう学校と考え方がぶつかることはあるかもしれませんが、どちらも、子どものためにと考えてのことだと思います。

おそらく、向いている方向は同じで、通る道が違うだけなのです。
(中にはそうじゃない人もいるかもしれませんが(笑))

子どものためにという視点で、お互い目指す方向は同じなんだと思えれば、より良い解決策が出やすいのではないかと思います。

ぜひ、子どものために、より良い可能性を見つけられればと思います。

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