【陰の人生#04】仄暗く湿った青春時代②
宗教、というものが人生の大半を占めていた前半生でした。ようやく中学生になりましたが、私の生活はいよいよ混迷を極めていきます。
人によっては、自身の苦しい思い出などとリンクするかも知れません。どうか、心が元気な時に読んでください。
また、うっかり読んで気持ちが暗く落ち込んでしまったら、早急にお笑いなどを摂取されますことをオススメします。
ちなみに、宗教が私の人生を狂わせた、という主旨の記事ではありません。宗教教義によって培った倫理観などが、後々の人生に役立った場面もあったことでしょう。道を踏み外さずに済んだ場面もあったかも知れません。
ただの私小説として読んで頂けると幸いです。
母の洗礼
多分、このイベントがキッカケだったような気がするんですよね。母が、正式に洗礼を受けてその宗教に所属するという決心をした、と。
とうとう、家から追い出されました。
母と、子供達。
中学生になったばかりだったかと記憶しているんですが、どうだったかな。
とりあえずそのまま学校に行けるよう、制服を着て学生鞄を持って、着替えのパジャマを持って、宗教の関係の方のお宅にお邪魔することに。(家族全員で信者)
私自身はその宗教を身を入れて勉強しているわけでもなく、当時は正直、振り回されてメンドクセェ、という意識しかありませんでしたし、信奉する方々も正直苦手でした。なので、その家にお泊りするというのも、心的ストレスでしかなく、とても苦痛だったことを覚えています。
「聖書」とか「お祈り」とか、そうした世界観がお好きな方もいらっしゃるでしょう。「みんなニコニコとお互いを思い合っていて素敵」と憧れる方もいらっしゃいます。その気持ちが分からないわけでもない。
何だろう、相性というか、親和性というか、コミュニティを覗いてみた時に「合いそうだな」とか「ダメそうだな」とか、分かることってあるじゃないですか。たまに、読み間違えることもありますけど。
小学生の頃、初めて母に連れられて会合に参加した時の第一印象は、今でも覚えています。
何だかよく分からないけど、気持ち悪い。
でした。
皆が歓迎してくれています。私にお勉強を教えてくれているお姉さんなど、直に知っている人もいます。個人個人に、それほどの違和感はありません。
そもそも、その当時、学校のクラスが苦手だったり、もはや「集団」というものに恐れを抱き始めていたというのは大きかったとは思います。
ただ、その時は「貼り付いたような笑顔」で「誰も彼もが歓迎の言葉を口にして」「近寄って来てくれる」という状況が、果てしなく気持ちの悪いものに思えました。
ただ、その時の私は「多分、私の方が間違っている」と思い、その気持ちにフタをしました。違和感は、通う内に薄れてはいきました。
話を元に戻します。
中学生になってすぐ、私達は家出をして他人の家から学校や集会に通わなければならない日がありました。
しかしそれは、それほど長い期間ではなかったのです。1泊2日のお泊りくらいだったかも知れません。もしかしたら、その日の内に終わったのかも。
父はすぐに母を呼び戻したのです。
「出て行け」と言ったものの、本当に出て行くとは思わなかった、とか、そんなもんかもしれません。痴話喧嘩の内情など、子供には知る由もありません。
母に言われて家出をせざるを得なかった私が、学生鞄に入れていたもの。
実を言うと、それは教科書でもなければ聖書ですらありませんでした。
「風の谷のナウシカ」漫画版だったのです。大判7巻。サイズ感を知ってる人はお分かりかと思いますが、学生鞄にピッタリですね。
大丈夫、ここも笑うところです。
夜に読もうとでも思ってたのかな。買ったばっかりだったから、父に捨てられたらマズイとでも思ったか。
起立性調節障害
これは、今、思い起こしてみれば、ということです。
小さい頃から、生活リズムは出来ていないタイプでした。父が帰ってくるのが夜中でしたが、帰ってくると起こされたりしていました。父の晩御飯を一緒に食べたり(自分も普通の時間に食べています)、おやつを食べたりしました。デブにもなるはずです。
小学生の頃はそれでもある程度の時間になると寝せられていましたが、布団の中に懐中電灯を持ち込んで図書室の本を読むような馬鹿な真似をして視力を下げました。
その内にアパートから一軒家に引越し、自分の部屋が2階になったのを良いことに引き籠もって自分の好きなことに没頭しました。当然BLもね!
親になって気付いたんですが、人の睡眠スタイルって生まれつき予め決まってる気がします。
上の子は、小さい頃から良い頃合いに自然に眠くなるし良い頃合いに自然に起きてくれます。運動も好きで勝手に動き回るし、日中疲れれば夜もスヤスヤです。
下の子は寝る時間になるとワッキワッキと元気に遊び出すタイプで、とにかく寝せるために一緒に寝ました。起こす時も、上の子より大変でした。が、成長段階中途ではありますが、今のところひとまずは正常な生活スタイルの範囲内に入るようになりました。
放っておいてもちゃんと寝てくれる子はともかく、睡眠スタイルが生まれつきおかしい子はきっと長い期間かかるんですが、親が強制的にでも整えてやる必要があるのかも知れません。子供の将来のために。
今は、そう思って子育て中です。
何となく察しは付くかとは思いますが、我家は生活スタイルボロボロな家庭でした。若い頃の母は集会のない日は夕飯を作っている最中からビールを飲み、なかなか帰って来ない父を待って夜中までリビングのテーブルに突っ伏してうたた寝をしていました。憐れです。「ベッドで寝なよ」と声を掛けると「うるさい!」と叱られました。
私は、お酒を飲んで絡んできては泣き出す母が大嫌いでした。母が好きだったから、嫌いだったのです。そんな母を見たくはなかったのかもしれません。
歳を取ってくると、そもそもあまり夜更かし出来ないタイプだったのか9時か10時には子供達より先に寝てしまっていました。
私は、母が私の生活スタイルにあまり関心がないことを良いことに、夜更かしし放題でした。
そもそも日中もほとんど動かない生活でしたので、夜が眠たくならないのです。
漫画や小説など読み出そうものなら途中で止めることなど出来ません。
また、妄想激しいタイプでしたので、脳内で何らかの物語が始まってしまうと面白くて目ん玉ギンギンになってしまい、今これを出力しておかなければ絶対後悔する!と、机に向かってしまうこともありました。
気付けば朝チュン、みたいなことは日常茶飯事だったのです。
健全な日常生活など、送れるはずもありません。
また、大人になってから健康診断などを受けるようになって気付いたのですが、なかなかの低血圧でした。20代前半で下が60、上が80くらいでした。(アラフィフの現在は正常です)
下が30〜40ではないので、治療を必要とするほどではないかも知れませんが、中学生の頃などは、もしかしたらそのくらいだったのかも知れません。
血圧だけでなく、脈も体温も低めでした。いつも地味に体調が悪かったのも、振り返ってみれば納得です。
起立性調節障害が先で生活スタイルが乱れていたのか、生活スタイルの乱れが先で起立性調節障害を併発していたのか、それは判然としません。
ただ、大人になってこの起立性調節障害というものを知り、症状を読んだ時「あ、中学の時の私、まんまじゃん!」と思ったのです。
中学時代は、まさに私の暗黒時代でした。
「私は宗教をやめたい」
時系列的には少し戻りますが、中学生になった頃、とあるアニメにハマりました。クラスの男の子がハマっていたアニメです。私は彼のことが気になっていました。彼と話せる同じ話題が欲しいと思いました。
かつて社会現象としても話題になり「現代用語の基礎知識」にも採用された、某星座モチーフアニメです。
私にも思春期が訪れていたのです。
そのアニメを、必死に見ました。
本当に、必死です。
聖書に於いては「邪教」とされるギリシャ神話をモチーフに、主人公達が「戦う」。
ツーアウトです。
そして極めつけに、ハマったキャラクターでBL堕ちしました。背徳の極みです。
スリーアウト。
母に説教されました。
そのアニメを見ることの害悪について。クラスの男の子を好きになってはいけないことについて。
この上、まさかのBL堕ちなんて、口が裂けても言えません。
長いお説教の後、私は母に言いました。
「私にとってこのアニメを好きでいることは、お母さんと集会に行くことより大事だから、私は宗教をやめたい」
中学生の小娘一人が好きなアニメを見たいというだけのことが、神の側につくのか悪魔の手先に堕ちるのか、宇宙を揺るがす大論争の的になっていたのです。
大号泣しながら、私は嗚咽混じりに訴えました。はたから見れば、滑稽極まりない図です。たかがアニメです。
でも、それは、私にとって「私はお母さんの言いなりじゃなく自由に生きたい」という、魂の尊厳を賭けた必死の叫びだったのだと思います。
ちなみに堕ちた先は、額に傷のある暴力兄貴と健気弟のCPでした。
…最近も、某人気アニメで何だか似たようなCPに堕ちた気がしますけど…。(好きってだけでマイジャンルではないです)
いつの間にかクラスの男の子は視界外だったことは、内緒です。
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