一冊の本ができるまで
昨年の9月に『feel FRANCE 100〜言葉と写真で感じるフランスの暮らしとスタイル〜』(いろは出版)が出版された。私はフランスの偉人の名言やことわざの翻訳を担当させていただいている。
心に響く素敵な言葉が多く、ひとつひとつの言葉を噛みしめながら翻訳していた。
翻訳することになったきっかけは、留学時代の友人からの声かけ。その友人が編集担当で、日々のやりとりは彼とするだけだった。直接話してはいないが、フランス語のチェックは共通のフランス人の友人が担当している。
そもそも出版社から持ちかけられた企画で、写真も担当者の手によって選ばれたものだ。私自身も少しリサーチを手伝ってもらっている。ここまで書いただけで、すでに何人も人が本の制作に携わっていることがおわかりいただけると思う。
けれども実際に出来上がった本が届いたとき、そんなことも忘れて「私の本」みたいな気持ちになっていた。とんだ思い上がりにほかならない。
先日、たまたまInstagramでこの本の装丁を担当したデザイナーさんの投稿を見つけた。本の内容に寄り添った装丁を考えている過程が投稿されている。そこには本への愛おしさのようなものがあった。
投稿を見て、私はハッとした。
お会いしたことはなくても、一冊の本にはたくさんの人の想いが込められているのだ。
翻訳者がすごいわけでも、編集者がえらいわけでもなく、誰の手柄でもない。今回の本は「みんなの本」であって「私の本」ではないのだ。
ひとりでできることなんてたかが知れている。そこを履き違えてはいけないと、あらためて思った瞬間だった。
まだまだ私は弱い人間だ。だからこそひとつのことを成し遂げていくために、仲間を、チームを大切にしなければならない。
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