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自分の知らない地元

花に魅力を感じない。

こういう人は男性に多いだろう。

僕もその一人で花束を受け取っても全く嬉しくなかった。

むしろ、処理に困る(笑)

しかしながら、桜が咲いたときだけ趣を感じ、積極的に花見を催す無骨な男は多いだろう。

でも、僕は桜にさえ愛想が尽きているのだ。

メディアでもてはやされ、群を抜いて歌に登場する桜にうんざりしている。

桜は春になればどこに行っても咲いてるし、物心ついたときから身近にあったので僕は特別な感じがしない。

公園に咲く桜

正直僕は花が好きではない。

小さいとき、両親に遠方のいろんなお花畑に連れていかれた。

コスモス畑にチューリップ畑、ひまわり畑など行ったがどこも退屈で仕方なかった。

花を見に連れ回され、喉が渇いてサイダーをおねだりするも買ってくれなかった記憶しかない。

結局それ以降は、家族と出掛けるのさえ嫌で度々断っていた。

そんなこんなで花と無縁の人生を歩んでいって、年を重ね地元から離れることになった。


二十歳を過ぎて、ゴールデンウィークに帰省したとき父親が唐突にこう言った。

「藤の花を見に行かないか?」

そう言われると、子供の頃の良くない思い出がフラッシュバックし、正直行きたくなかった。

また遠くに連れていかれるー と思ったが、場所はすぐ近くの車で10分くらいのところ。

地元だがその地域は閑散としていて行ったことなかったので、そろそろと父親の後ろを付いていく。

藤のトンネル


藤棚

ここは別世界なのか!

幻想的過ぎて驚いた。

地元であることが信じられないくらいほどだ。

むしろ、今までここの存在を知らなかった自分が恥ずかしいくらい…

そう思っていた。

この時期ならどこのテーマパークにも負けない。

そのくらい心変わりしていた。


この光景が忘れられなかった僕は、帰ってからも色々調べた。

藤は日本固有の花で、源氏物語にも描かれており、

急速に蔓を伸ばし広がる為、その習性を生かして藤棚が作られた。

しかし、きちんとした剪定をしないときれいな花が咲かず、ましてや藤棚にすることで脚立を使用するため作業が大変になる。

そう書かれていた。

ここの藤は樹齢300年余り…

江戸中期からそういった作業をやって育てられてきたのかと思うと感慨深いものがある…

今は市の職員が中心となり、剪定の時期になると参加者を募り作業している。

先人たちが、残してくれたこの美しい藤を継承していかなければならない。

ここは、地元の誇りだ。

長年住んでいた地元で初めて花に心を奪われた

そういう出来事だった。

藤棚

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