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19 勝てる「サバイバル・サイクル」

本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載「想定外を克服する『究極の状況判断力』」のリンクは最下部に記載してあります。

先行きが見えない、初めての難題に取り組む時に有効な「究極の状況判断力」。いよいよ導入編の後半。自衛隊で活用されている基本的な行動原理について解説を進める。(初めてご覧になる方、最初から確認したい方はこちら:想定外を克服する「究極の状況判断力」

19 サバイバル・サイクル「指揮実行の五段階」

「指揮実行の五段階」(状況判断、決心、計画、命令、監督指導)は、特に状況が不透明で絶対の正解が容易に断定できない場合、非常に有効に機能する仕組みである。前に進もうにも、先が見通せず、どう進むべきかを、いかに決めていけば良いか。そして、その方針が本当に確からしいのか。そう言った難しさを克服するためのプロセスである。

この行動原理は何となくPDCAサイクルと似ていると感じるかもしれない。そう感じるのも自然なことで、後半の3つの要素「計画」・「命令」・「監督指導」は、まさにPDCAと捉えて問題がない。しかしながら、前半2要素の「状況判断」と「決心」という二つのステップは、指揮実行の五段階に特有のプロセスとなる。

簡単に説明するならば、まず「状況判断」とは、まさに直面する不透明な情勢を分析し、行動オプションを提示することである。その後、リーダーが、リーダーの責任において行動オプションを決定することを「決心」という。リーダーの意思決定を経た行動オプションを最も効率良く実行するための方策を「計画」し、部下への指示に適した形で「命令」を発する。最後に、命令の実施状況を「監督指導」するという流れだ。

実は、この前半二つのステップ「状況判断」・「決心」が、道なき道を作り出すリーダーシップを支える組織的な活動を担保する考え方となっている。何か行動を起こそうとする際、条件が簡単な場合はこの二つのステップを曖昧なまま行動していることが多いのだが、初めての難題で答えが見通せない場合、この二つのステップをサイエンスとして捉え、的確に状況に対応していくことによって結果が大きく異なってくる。

どういう方向性で進むべきか見えにくく、それをどう解決していけば良いかわからない、チーム全体が霧に迷い込んだ時こそが、この行動原理を活用する時となる。この指揮実行の五段階は、あらゆる状態に暴露されても十分に耐性があるプロセスとなっており、まさに、あなたにとってのサバイバル・サイクルとなり得る。

そして何よりも重要なのは、最初の「状況判断」ステップを踏めるかどうかだ。この「究極の状況判断力」は、「状況判断」ステップのプロトコルをビジネス用に転換したものであり、厳密には更に3段階全8ステップで構成される。

>次回:本当の「状況判断」に必要なモノ

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マガジン:想定外を克服する「究極の状況判断力」

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