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18 想定外を突破するための行動原理


本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載「想定外を克服する『究極の状況判断力』」のリンクは最下部に記載してあります。

先行きが見えない、初めての難題に取り組む時に有効な「究極の状況判断力」。シミュレーションにおける5つの失敗原因を確認したところで、いよいよ導入編の後半に入る。今回以降は、想定外な事態に対応するための行動原理について広く捉え直し、基本ロジックの理解に備えます。(初めてご覧になる方、最初から確認したい方はこちら:想定外を克服する「究極の状況判断力」

18 想定外を突破するための行動原理

ビジネスにおけるマネジメント手法は、これまで幾つもの方法論が紹介されてきている。どれも適時かつ場面やアクターに適切に適用することによって、現場で役に立つものとなる。では、想定外な初めての難題に直面した場合においては、どのような原理を用いるべきなのか。

これまで一端をご紹介してきた「究極の状況判断力」は、殆どのビジネス・シーンで認識されてこなかったと思われるが、自衛隊においては、発足以降約4万人の幹部自衛官が理解し、平時・有事を問わず活用する斉一的な行動原理の一部である。

もしかしたら「OODAループ」と呼ばれる理論を企業経営の場面で適用しようとする試みがあることを見聞きされている方もいるかもしれないが、それよりも原理的で、かつ実際の想定外の事態への対応能力の高さと実績故に、脈々と活用され続けている行動原理がが存在する。

それは、「指揮実行の五段階」である。陸、海、空自衛隊で若干の差異や修正が施されているが、原理的には共通している。1.状況判断、2.決心、3.計画、4.命令、5.監督指導の5つのステップであり、幹部自衛官が自分の部隊を指揮する際の鉄則である。究極の状況判断力は、この指揮実行の五段階の最初の「状況判断」と定義されるステップをビジネスの場面に適用するものだ。

この「指揮実行の五段階」のそれぞれのステップは、とてもシンプルな日本語で書き表されている。しかし、実はそれぞれには、非常に詳細な定義と約束事があり、しかもこの行動原理の活用に当たっては、リーダーとスタッフそれぞれの立場ごとで気をつけるべき点やワークフローが明確に決められている。

軍隊は常に、新たな戦闘要領(戦術)で互いに相手方に挑み続け、勝利を得ようとする。それぞれのリーダーが想定外に直面することが常となる軍事の世界では、最前線から作戦司令部までリーダーとスタッフがどのような手法で準備し、事態に対峙していくかが問われる。ちなみに、この一連の活動のことを「作戦」と呼ぶ。

そして、この「作戦」は、紛れもなく人によってなされる。したがって、各国軍隊はリーダーやスタッフ向けに想定外に対応するためのプロトコルを作り上げ、それを確実に習得して実行できる人間を各所に適切に配置し、集団力を最大発揮しようとする。

このプロトコルは、いわばサバイバル・サイクルとでもいえよう。様々なレベルの想定外の問題に対しても適用が可能であり、ビジネスの各場面においても、この手法を転換することによって非常に有効な手段となり得る。

>次回:勝てる「サバイバル・サイクル」

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マガジン:想定外を克服する「究極の状況判断力」

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