見出し画像

20 本当の「状況判断」に必要なモノ

本noteは連載形式です。全部で約100回の予定となります。本連載「想定外を克服する『究極の状況判断力』」のリンクは最下部に記載してあります。

先行きが見えない、初めての難題に取り組む時に有効な「究極の状況判断力」。導入編の後半では、「状況判断」を含むExecutionまでの全体像を確認し、究極の状況判断のための基本的なロジックの理解に備える。(初めてご覧になる方、最初から確認したい方はこちら:想定外を克服する「究極の状況判断力」

20 本当の「状況判断」に必要なモノ

では、「状況判断」とは、どのような方法で行われるものなのだろうか。

そもそも、状況判断の主体は誰かということを今一度整理する。これは「失敗③ 未来を上司だけに依存する」でもご紹介した通り、上司と部下が共にチームとして実施すべきものだった。そして、そのことは、それぞれがどのような役割分担と責任で思考作業を進めるべきかという点について、よく注意する必要があるということを意味する。

まず上司は、自分がチームを率いる上で絶えず状況を判断することが必要だという鉄則がある。リーダーたる上司の仕事は、極論を言えば部下に指示を出すことである。不透明で不確実な、先の見えない状況に遭遇した場合、部下に出すべき指示は一回限りで良い訳がなく、常に継続的に脳に汗をかいて判断を続ける必要がある。

スタッフである部下は何をすべきか。まず、スタッフはリーダーが何をしたいのかという意図を確実に確認し、リーダーたる上司の状況判断を組織的に支えてあげる必要がある。具体的には、大きく次の3段階、8ステップを経ることとなる。

1.概ねの方向性を定める(3つのステップ)
2.詳細の条件整理・提示(3つのステップ)
3.分析・最終判定(2つのステップ)

(参考:緊急公開:究極の状況判断プロセス・フロー

上司だけが判断すれば良い、部下に中身を判断させれば良い、という考え方はどちらも誤りである。この3段階は、上司と部下が規定のプロトコルを確実に理解した上で成されるチームプレーのルールに基づくものとなる。

最初の第1段階は、上司の意図(インテンション)を確立する段階だ。上司がどうしたいか、ということを上司単独で決定するのではなく、大まかな情報と状況の認識の中、概ねどの程度までやれれば良いか、何を努力しなければならないか、何を今後の作業で決める必要があるか、などの規定の要素について部下が状況を整理して上司と対話し、上司の内面の思考過程をサポートする。

第2段階として、上司とともに確立した意図(インテンション)に基づき、それを外れることが無い条件から行動のオプションを列挙し、部下から上司に対して提示する。上司は、そのオプション提示の過程について、確認を続ける。

そして、提示されたオプションを分析していく。この分析にあたっては、評価要素を選定することが非常に重要であり、さらに、評価要素の軽重をいかに決定するかが極めて重要となる。

これら3段階8ステップの詳細は応用編以降で解説するが、現時点で強調されるべきは、状況判断という行為は一定のプロトコルに基づきチームで淡々と実施していくものである、ということだ。不透明で不確実な想定外の事態においては、結果の予測が困難であるが故に、勘やひらめきだけに頼ることは危険であり、規定のプロセスを経ることによって人間の判断の不確実性を最小限に抑える努力が必要となる。

>次回:一番大事なリーダーの「決心」

<<前:勝てる「サバイバル・サイクル」

マガジン:想定外を克服する「究極の状況判断力」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?