日本のスタートアップよ、いつまでたっても新陳代謝も起こらない日本村を出てアメリカのエコシステムに入れ!~アメリカのエコシステムは人類に開かれた公共財


昨年のアメリカの新規開業事業者数は統計を取り始めてから最大の540万社を超えた。その前の年が440万社だから、パンデミック中の2年間で1000万社近いニュービジネス、つまり広義のスタートアップが生まれているのだ。どうりで私のアメリカの友人・知人はほとんどがスタートアップ(副業も含めて)やっているわけだ。もう日本との比較は全く意味がないので日本の数字はフォローしない。


この数字をよく見て、もう絶対かなわないから、悪趣味の「日本版シリコンバレー」とかの質の悪い妄想はやめて、世界公共財であるアメリカのシステムに日本の有望なスタートアップを持っていくことに集中すべきだ。


お金の量もキャピタリストも新しいもの好きの顧客も社会も全然違うから。日本がダメでアメリカがいいとかではなく、向き不向きの問題だから。アホな野球評論家がメジャーリーグみて「アメリカ人が凄くて日本人はできない」とか言っているのが田舎者の発想。アメリカは才能ある人材を世界から迎え入れ、例えば大谷翔平選手でも、”ただの”日本生まれのメジャーリーガーとしてしまうだけだ。日本人メジャーリーガーとはアメリカでは言わない。「生まれた場所がたまたまアメリカでない」というだけだ。いまやアメリカの国技ベースボールでも選手の多くはアメリカ生まれではないのだ。
アメリカのスタートアップエコシステムで活躍している連中の大半は我々と同じようにアメリカで生まれていない。世界の英才を門戸を開いて受け入れそれなりのポジションと待遇で、お客さんではなく、実務家として本気で受け入れて活躍させて、社会全体で皆でオイシイ汁を吸うのだ。何度も言うがアメリカのスタートアップエコシステムは、国威掲揚の場などではなく、「世界に開かれた公共財」なのだ。


現在、月に30~40社単位で有望な日本生まれの起業家がシンガポールに移住している。そのうち数名と話す機会があったが、全員が普通にアメリカのスタートアップエコシステムに入るためのシンガポール移住である。最初から当たり前に世界展開をするつもりなのだ。これはとてもいい兆しである。


日本は日本人だけでやろうとしているから矮小化された偽物しかできない。スタートアップ界隈もいつも同じ顔、同じ名前。何年も前からそう。「あんたらいつまでスタートアップなの?」と言いたくなる(笑)月単位いや週単位で新陳代謝が起こっているアメリカとは4ケタ違う。キャピタリストも質が全然違う。サイエンスの博士号と金融やマーケティングのMBA持っていて世界的プラットフォーマーで働いた経験や世界的超一流研究機関で登壇していたようなテクノロジーと世界金融と世界市場を知る連中がゴロゴロいて寛大なアドバイスをたくさんくれる。こんな連中に囲まれないと。大学や企業から流れてくる研究費や支援のレベルも違う。


隔離なし渡航が可能になってから毎月アメリカまで通い続けているが、毎月新しく面白いアイデアでたくさんのプロジェクトが生まれている様子に圧倒されている。スタートアップがどんどん生まれている東南アジアからお邪魔しても加速するアメリカの起業大国化は驚くばかりだ。巨大なもの、小さいもの、それぞれ面白いプロジェクトが多様なアイデアやテクノロジーを組み合わせて生まれている。


これだけスタートアップが生まれると、あれだけ多様なVCたちもフォローするのが難しくなっている。よってVCも地域限定になってきている。都市別でみても相当の数のプロジェクトが生まれているので、ロスのSaaS限定VCとかNYのNFT限定VCとかが生まれている。それだけ細分化したVCでも、各々が専門化しているエコシステムをフォローしきれない。


日本人はレアだし、それなりに優れたアイデアや起業家もいるのでウェルカムされるよ。実際サポートを申し出てくれている大学やVCもいる。もちろん目は厳しいよ。しかし、日本のスタートアップ村にいたら、今は日本限定でちやほやされるかもしれないけど、やがて縮小して老いていく市場で椅子取りゲームしか起こらないよ。それでいいの?あなたたちが日本で見ている風景で人生を決めないほうがいいよ。場所を変えれば見える世界が全然変わるから!世界公共財を活かそう!

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