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仕事をブーストする!僕の自粛レシピ

皆さんこんにちは。作曲家で音楽プロデューサーの齊藤耕太郎です。

真冬って感じの昨今、ついにまた始まってしまった緊急事態宣言下の自粛ライフ。個人的には、自粛を要請されるっていうのがどうも日本語として頭悪そうな感じがずっとしていますが、変異種の猛威とそれらを鑑みた上での感染リスクの最小化は、僕らのようなフリーランスで働く人間にとって(体調の不安と同じくらい)社会的風評に対する備えも大切だなと感じています。

そんな時こそ、狂いがちな食生活とどう向き合っていくかは大切だなと前回の自粛時に強く感じました。前回は序盤こそ作り置きしたりスーパーの食材を上手いこと使いまわして料理を頑張りましたが、すぐに息切れしてUber Eatsの誘惑に負けました。

否定するわけではないけど、外食って毎日食べ続けていると、ちょっと体に無理が来る。テイクアウトも然りなんですよね。お酒を提供するお店の料理は普通より味が濃いめだし、利益率を考えたら、どうしたって原価を下げるために化学調味料を使うことだってあるでしょう。決して外食が悪いわけじゃない。週に何度かお世話になるから、レストランの料理は幸せなんだと。

幸いにも引っ越して、より調理が楽しい環境に作り替えることができた僕は、かなりのペースで自炊をしています。基本的には自粛関係なく、特に引っ越してからは料理三昧に拍車かかりっぱなしなんですが、とても心身ともに調子がいいです!自分が選んでる食材だからか、自分が調理して責任を持って食べられる「美味しいもの」を追求できるから、余計な添加物を省き、食材本来の旨味を生かして作れる料理は純粋にとても味わい深いです。

って、音楽作ってるノリですよねこれ(笑)

普段、クリエイティブな活動をしているフォロワーの方も多くいらっしゃるようですし、今日は料理に限らず作ることが好きな皆さんに読んでもらいたい、僕の料理への想いやレシピを紹介します。基本的に調味料とか測って使うタイプじゃないので、量は適当に調整してください(笑)

プロじゃないのであくまで素人個人の感覚です、どうかご容赦ください。


①旨味をおさえておけば不味くはならない!

自炊してよくわかったのは、音楽と同じく、一番大事なのはいかに味の「質感」を作るかどうかでした。具体的には、火を通すことによっていかにそれぞれの具材が持つ「旨味」を有機的に活かし合うか。

僕は煮物、焼き物料理を一度に大量に作って、タッパーに入れて数日かけて食べたりします。煮物は特に、作った初日から数日経つにつれ、味が変化してより深みのある味になったりする。その変化を楽しみながら、食べ方も変えていくなどすると同じ料理でも違った味を楽しむことができます。

その肝になっているであろう存在が「旨味成分」だと感じます。

僕が料理する上でいつも必ず手元に置くものは、

昆布(羅臼、真昆布、日高の3種)
鰹節(削ってあるもの)
天然あご出汁パック
生の椎茸
ねぎ(日によって万能葱、長葱、下仁田葱など)

です。ここにゴボウ、海苔、わかめ、胡麻、そして山椒あたりがあれば充分。和食だろうと洋食だろうと、僕はこのプリセットで料理を進めます。

プロの方から教えてもらったことなんですが、旨味成分が出るもの同士を掛け合わせると、化学変化が起きて味に更なる深みが出ます。なので僕はこのプリセットを合わせる食材(肉や魚)に合わせて混ぜ合わせることで、調味料を入れない段階で味に奥行きをつけることを意識します。

醤油や酒、みりんなどで味付けを行う前に旨味である程度味の方向性を決めておけば、それを甘さに振るのか、辛さに振るのか、深く焦がしてコクを出すのかあっさりさせるのかは火加減と気分次第です。

旨味という土台、音楽で言えばキックとベースにあたる「屋台骨」さえしっかり作れば、ウワモノが多少暴れていても個性のうちに収まる!というのが音楽家 齊藤耕太郎の料理に対しての雑な哲学です。

なので、まず旨味成分が取れるものから調理し始め、混ぜ合わせていくことで出汁を混ぜ合います。必要があれば、肉などは焼きすぎないよう脂をフライパンに落とせたら一旦皿に揚げるといいですよね。


②油と塩分、糖には投資する

以下が、僕の好みの各調味料!

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左から順に紹介してきますね。

1. ラカントS
天然由来の成分なのに、糖質がゼロという不思議な調味料です。砂糖ではなく、羅漢果という中国の甘い果実をつかっていて、これによって大きく糖質をカットしています。甘みの質はサトウキビの砂糖に比べて軽めで、音楽的にいうとハイファイな印象です。抜けがよく、すっきりとした甘みです。

羅漢果について


2. 九鬼ヤマシチ純正胡麻油
これはお馴染み内山肇さんのご自宅で料理するときに使っていて、気に入って僕も使い始めました。風合いも豊かで、値段もさほど高くなく気に入っています。はじめさんの料理も美味しいので、SNSチェックしてみて。


3. VILLA BLANCA エクストラバージンオリーブオイル
これも、数年前からずっとこればかり使っているオリーブオイルです。いろいろ使っていますが、なんとなく値段と味の風合いのバランスでこれに落ち着いています。洋食の時はこれを使うことが多いです。このほか、友人であり音楽仲間、料理センスも抜群のSAYUKIさんからもらったBio 'c Bonのオリーブオイルも使っています!

SAYUKIさんの料理。お洒落すぎる。

僕はサラダ油を滅多に使いません。胡麻油、オリーブオイル、生野菜にはアマニ油やMTCオイルを使います。体への負担軽減の目的もあるけれど、1番の理由は単純に胡麻油とオリーブオイルが好きだからです。

4.超特選 むらさき
お醤油です。これは敬虔なビーガンであり、YouTuber事務所Bitstarの敏腕プロデューサーである川﨑チヒロちゃんからオススメしてもらった醤油。なかなかコクの深い醤油で、煮物や焼物にものすごく合います。彼女の影響で、最近YouTuber界隈にもビーガンが増えているとのこと。ビーガンの方や、ビーガンライフに興味のある方は是非覗いてみて。

僕もいただいたことがあるけど動物性の食材使っていないと感じさせない美味しいものばかりでした!彼女と出会って、僕もビーガン料理を自分の引き出しの中に持つようになりました。旨味の話に戻るけど、椎茸がプリセットに入ったのは彼女の影響。鰹や肉を使わずとも、昆布と椎茸コンビは美味。

僕は肉も魚も卵も食べるけど、食のスタイルとして徹底的に菜食する、という行為はたまにあると良いなと思ってます。

5. 岩戸の塩(パッケージ前後逆ですみません)
僕の料理の塩は、いろいろ使ってきたけど最近はこれ一択。伊勢の二見で取れる、伊勢神宮にも奉納されているお塩です。

海本来の力を凝縮し、とってもミネラルが豊富なこのお塩。使ってみると、辛すぎず、非常に滑らかな口当たり。僕は和洋問わずこのお塩を使うことで、適度に甘みを含む料理に仕上げるのが好きなんです。

ちなみに、僕が最新アルバム「VOYAGER」の1曲目に名付けた「Salt」は、このお塩が取れる二見、岩戸の海が由来なんです!「夫婦岩」という、伊勢神宮参拝の入り口とされる場所の空気が伝令して作った楽曲なんです。


③良質な食材は必ずしも値段と比例しない

具体的な場所は言えませんが、僕が料理で一番楽しいのは調理そのものの瞬間ではなく、食材を探しにいく時です。美味しいご飯を食べたい、という気持ちもありますが、このコロナ禍でライフワークとして好きなお店に食材を調達にしに行ける時間は良い散歩にもなり、仕事のアイデアをリセットして強くする時間にもなります。

いろいろ探し歩いてみて思ったのは、値段的に高級なスーパーが必ずしも最善の食材を売っているわけではないということでした。地域にはそれぞれの食材、お肉屋さん、お魚屋さん、八百屋さんなど、それぞれに特化して仕入れをしている小売店が今もたくさんあります。特化型のお店は、時間によって大幅に商品を値引きして在庫を一掃することも日常茶飯事。そこを狙えば、ものすごく美味しい食材を日や時間でかなり割安に手に入れることも。

そして、各スーパーに卸している牛乳などは、高級なスーパーより身近なスーパーの方が、同じ商品でも値段が安いこともあります。塩や醤油、油など使用頻度が多くともすぐになくならないものは高級な場所で、特定の食材は専門店が密集するエリアで、どこでも買える同じものは量販系のスーパーで、など賢い買い物をするのも楽しいです。


④作り置きオススメ料理 醤油、酒、みりん系和食

さて、いよいよご飯の紹介です。まずはこれ。

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これ、どこで作って出しても必ず喜ばれる逸品、「牛肉とゴボウ、椎茸の炒め物」。とにかく白米に合いまくる。「ワンバンメニュー」として優秀です。大量に作ってタッパーに入れて、何日もこれ食べてます。今も冷蔵庫に入れてる(笑)

材料 2〜4人前
牛肉の切り落とし
牛脂(牛肉買うときになるべくこれも手に入れて)
胡麻油(ほんの少し)
ゴボウ(好きなだけ)
生椎茸 4〜6つ
昆布出汁
醤油 お好みの量 僕は割と多め
ラカントS 大量(笑)
料理酒、みりん 適量
山椒粉末 適量
胡麻、刻み海苔(お好み)

ゴボウをささがきにして、椎茸の傘を細く切る。牛肉ちょっとと、牛脂を先に敷いて、ゴボウと椎茸を少し焦がし目に炒めます。本ちゃんの牛肉を投入して、気持ち胡麻油をかける。で、さらに強火で炒めていく。途中で昆布だしをちょびっと入れて、さらに炒める。

水気がなくなって肉も焼けてきたところで、料理酒とみりんを投入。アルコールが飛んだら一度、その状態で牛肉とゴボウに絡みついた旨味を味見してみてください。その状態で美味しいです。旨味で味の屋台骨は完成。あとは、醤油とラカントで好みの味にして、最後に山椒、胡麻、刻み海苔を好みでまぶせば、完成です!とっても簡単!

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ちなみにこの料理、季節の菜野菜を入れても美味しい。春菊やほうれん草も合います。さらには生卵に漬ければ、すき焼きのような味わいにも。一度で何度も美味しい、僕の定番料理です。牛肉と生椎茸だけでも良いし、薄切りの豚バラで作っても違った美味しさがありますよ。

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ちなみに!これとほぼ同じ考え方で、僕の定番料理の一つ、焼豚も作れます。焼豚はとにかく肉質が命。バラブロックの時は鰹と昆布の出汁も効くし、ロースブロックでやるならあご出汁、昆布出汁のトリオ出汁が良いかと。煮込み系は圧倒的にストウブやル・クルーゼなどの蓋が重たい真鍮鍋があるとおいしくなります。

あとこれも。

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ぶり大根。出汁を昆布、鰹でとりつつぶりも煮込むと、本当に豊潤な味わいになるのでオススメ。ぶりと鰹は同じ魚類ですが、組み合わせると全然違う味わいになるので重ねた方が美味しいです。煮魚、焼魚の時は血合いがとても臭うので、湯引き(沸騰したお湯に十五秒ほど入れてサッと上げて水で流す)をしてくださいね。大根に旨味が染みてやばいです。悶絶します。


⑤レモンを活かす野菜サラダメニュー ディルを添えて

僕が大好きなサラダメニューも紹介します。これは鮮度命なので、生野菜が食べたい!ってなったときに作ってすぐに食べてしまった方がいいです。緊急事態宣言中は複数人数で集まりにくいですが、僕はホームパーティでもこんな生野菜サラダを出しています。

ちぎり茄子とズッキーニのレモンサラダ ディルを添えて

茄子(中)2個
ズッキーニ 1本
レモン 半個(好みで1個いってもいいけど酸っぱい)
ディル 2房
塩 適量 レモン用のは結構多めに
レモン用ラカント 結構多め
白ワインビネガー(バルサミコでもOK) ちょっと

下ごしらえとして、レモンを細く輪切りにして、塩、ラカント(甘いのが好きな方は蜂蜜もオススメ)に浸して冷蔵庫で1時間程度寝かす。

茄子のヘタを取って、ヘタ側から十字に切り込みを少しだけ、食べやすいサイズにちぎる。ズッキーニは縦に半分に切ったあと、細く扇型に切っていく。下ごしらえしたレモン、茄子、ズッキーニをボウルに移して、オリーブオイル、塩、お好みで白ワインビネガーで調整。レモンの酸味が元々あるから酢系の調味料は少しの方がオススメ。

仕上げにディルを和えたら完成!

これは夏の時期によく食べていたのですが、茄子は生のままちぎって食べるのが一番美味しいと僕は思う。以前お寿司屋さんの前菜でちぎった茄子が出てきて感激したのですが、野菜は繊維を切ると酸化するそうで、ちぎるのが基本的には一番美味しいとのこと。

僕、実は生野菜って基本的にはあんまり好きじゃないんです。値段というか、野菜に関しては小売店ごとにそのクオリティ差が歴然と出てしまう。火を通さないと、ケミカルな臭みが取れなくて食べられない・・・そんな経験を幾度となくしてきました。正直、多くの外食チェーン店の付け合わせサラダにも同じことを思っています。

だから野菜は信頼するお店選びが大事です。それは高級スーパー(も勿論素晴らしいけど)というより、実は地域密着型の八百屋さんの方が良かったりする。美味しい八百屋さんの野菜や果実は、マジで美味しいです!

コンビニのサラダを食べて、野菜をとった気になっていた若かりし頃もあった。でも、本当に、どう調理されているのかが分からない生野菜ほど怖いものってないと思うんですよね。実際今の舌で食べると、痺れるもん。体もだけど、僕はもう気持ちが不健康になっていきます。

いい野菜は冷蔵庫で日持ちもするし、なるべく自分で身の回りにある信頼できる野菜販売店を探して、そこに入荷する季節のオススメ品を自分で調理するのが一番美味しいし体にもいいんじゃないかと思います!繰り返すけど、マジで野菜が一番差が激しいと僕は思います。

レモンも安易にレモンって書いちゃったけど、レモンこそ皮に農薬とんでもない量使ってるから、なるべく無農薬の国産レモンを選んでくださいね。結構高いけど、体の健康へ投資した方が費用対効果高いと思います。


⑥パーティ料理 アクアパッツァ

昨年末のクリスマスは時期も時期だったので家でお祝いしました。そのときに作ったのがこの、贅沢食材のアクアパッツァです。

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ちなみにローストチキンやアワビのバターソテーも最高でした。これだけの食材、全部合わせても2人で諸々6,000~8,000円ほど。外食すること考えたら、安いし、気兼ねないんですよね。

アクアパッツァ(この時の品目で書きます)2人前
金目鯛 一尾丸ごと
ズワイガニの脚 お好みの分量
赤海老 生で数匹
ハマグリ 3個
芽キャベツ 4個くらい
ニンニク 1かけ
オリーブオイル 適量
バター 適量
昆布出汁 少々
塩、コショウ 適量
白ワイン 適量
(あれば)サフラン ちょっと

金目鯛は湯引きをして臭みをとっておく。エビは頭と筋をとり、頭部と身の部分を分けて準備。この時、頭の味噌を捨てないように!ニンニク、バターを炒めながらオリーブオイルを敷いて、エビの頭、湯引きした金目鯛、カニ、ハマグリ、芽キャベツ、あればサフランをダッチオーブン(または鍋)に入れたら蓋をする。過度に焦げ、くっつかないよう注意しながら焼き色をつける。魚介の出汁が出てくるまではなるべく蓋を開けないのがコツ。

出汁の風味が出てきたら、蓋をせずに白ワインを投入。僕はあまり入れすぎない方が好き。昆布出しもこのタイミングで入れ、アルコールが飛んだら塩コショウで味付けし、さらに煮込む。5~10分くらいかな。

ホームパーティで出す時は、調理した鍋ごと鍋敷の上で蓋を開けるのが一番盛り上がるし、最初の風味をゲストの皆さんに感じてもらうのがオススメ。一気にパーティのテンションが上がります。アクアパッツァは見た目と味の華やぎも大事だけど、何より嗅覚の魅惑が最大のコンテンツだと思います。

で、お腹に余裕がある時、あるいは翌日のランチとかに、かなりアルデンテに茹でたパスタをブッこむのがオススメ。残り汁で1〜2分茹でたら、神、降臨します。旨味という旨味が凝縮されていて、魚介の身自体がなくとも最高の味になります。この時、小骨には充分注意してくださいね。


終わりに

書いてみると、音楽家の頭で料理をしていることが自分でもよくわかりました。作ることの本質って結構同じで、

・いかに形を作り上げる前にそれぞれの部品に下ごしらえできるか
・厚さ1ミリ程度の下準備が、素材が幾つも折り重なると大きな効果になる
・なるべく味を足さずに、素材同士の個性を融合して引き出す

なのかなって思います。音楽で一つ一つの音色を丁寧に録音しておけば、重なり合ったときに足し算ではなく掛け算になるのと考え方は同じ。そう思うと、音で行き詰まったときに調理に走ることで音も解決していく、この感覚にも説明がつきます。

食と音楽は切っても切り離せない、「時間を愉しむ芸術」だと僕は考えています。なぜ人が恋に落ちたとき、最初に食事をデートの場に選ぶのか。食事の場には、料理と共にBGMが存在するのか。人って、言葉や歴史同士の論理以上に、まずは「質感」「空気感」が織りなす「雰囲気」で好き嫌いを判断しているんだと思うんです。場や相手との距離感を、部屋の空間(主に光の加減)、料理の味や出す順番、そして音楽で演出する。

「質感」って、考えれば考えるほど、面白い。


齊藤耕太郎 / Kotaro Saito

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