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僕が「素敵禁止」にする理由。

「素敵」という言葉が好きです。

そう言葉にできる状況にいることも、その言葉をやりとりできる相手がいることも、ほんとうに素敵なことで。しあわせなことで。

ただある時、ハッとしました。口グセのようになってしまってるなと。「素敵」と思って「素敵」と言うのはもちろんOK。でも「素敵」という磁力のある言葉に、だんだん自分の気持ちが集約されていく感覚がある。まるで、砂鉄を吸い寄せるマグネットのように。

その奥にある、細かいニュアンス。その気持ちを見つけたい…!

そこから手を伸ばして、心の奥の気持ちを探すようになりました。

「素敵」が好きだから、「素敵禁止」。

先日、刊行した著書コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」(ダイヤモンド社)「素敵禁止」のことを書きました。

この言葉だけがひとり歩きしてしまって、僕がタイムライン上の「素敵」に目を光らせて、弓を引こうとする「素敵ハンター」になろうと言うことでは決してないですよ、と伝えたくて、「素敵禁止」にかける気持ちを紹介させてください。あえて得意技を封印することで、新しい技を獲得しようとしてます。

※※※

あなたには、よく使ってしまう言葉はないだろうか?

特定の状況になった時に、反射的にその言葉を選んでしまうというような言葉だ。「ヤバい」「すごい」「エモい」など、使えば何でもいい塩梅になる「味の素」のような便利な言葉。

僕は「素敵」という言葉がそうだ。どうしても使ってしまう。

だから「素敵禁止」というマイルールを設けている。

その奥にある気持ちはなんだろう?

いちいちそんな風に考えるクセをつけている。

最近こんなことがあった。着物姿の写真をSNSにアップしている女性がいた。素敵だ、と思った。でもすぐに「素敵禁止」を思い出す。

その奥にある気持ちを探したくて、しばし考えて「可憐です」とコメントをした。伝えた後、少しの違和感を覚えた。あれ、待てよ、本当にその言葉で良かったのだろうか? そう思い、スマホで新明解国語辞典のアプリを立ち上げて調べた。

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【可憐】ひ弱そうな感じがして、無事でいられるよう、暖かい目で見守ってやりたくなる様子。

やってしまったと思った。

決してひ弱そうな感じがしたわけではない。無事でいられるよう見守りたくなったわけでもない。というよりその「見守ってやりたくなる様子」って、そのやや上からのニュアンスはなんなのだ。違う、違う、そうじゃないんだ。

もう一度考える。僕が伝えたかった思いはなんだ?

似た響きの言葉に、伝えたい言葉があった。

「かれん」じゃなくて「かれい」だ!

そして、再び新明解国語辞典を引くと、「かれい」は2つあった。

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【佳麗】美しくて、品がいい様子。【華麗】はなやかで、豪華な様子。

似ているがニュアンスが異なる。ようやくたどりついた。

伝えたかったのは、「可憐」でもなく、「華麗」でもなく、「佳麗」だった。

僕は「佳麗ですね」とコメントし直した。そんな細かいことを気にしないでも、そう思う人もいるかもしれない。でも、その細かい差の積み重ねこそが、言葉で心をつかめるかどうかの違いになってくると思うのだ。

思いが込み上げる映画のセリフ。

悲しみで心を濡らす小説の一行。

笑いをかっさらう漫才のツッコミ。

僕たちの心をつかむ数々の言葉は、間違いなく書き手が言葉を選び抜いた結果なのだ。心に芽生えたこの思い、どの言葉を選ぶのか?

一番手の届きやすい引き出しから言葉を取り出しても、もちろん構わない。でも、その周辺にもっと伝えられる言葉が何かあると思うのであれば、普段使っていない引き出しに手を伸ばしてみよう。

あなたに誤解してほしくないことがある。

僕は、まるで言葉狩りのように、「素敵という言葉を使ってはいけない」と言いたいわけではない。心に響いた出来事がある。目の前にそれを伝えたい人がいる。目をきらきらと輝かせて伝える「素敵です!!」ほど、相手に気持ちが伝わる言葉はないと思うのだ。心掛けたいのは、自分の言葉の選び方のクセを意識すること。

よく使ってしまうな、という言葉。僕にとっては「素敵」で、あなたにとっては「すごい」かもしれないし、もしくは「エモい」かもしれない。その気持ちの奥に手を伸ばしてみよう。

※※※

5年ほど前のことだ。本を読んで、知り合いの編集者の方が編集担当と知るって、熱っぽく感想をメールした。その時、頂いた返信がこうだった。

「魅惑的なメール、ありがとうございます」

…魅惑て!!「魅力的」が一般的だ、よく聞く言葉だ!!!そうじゃなくて「魅惑」て!!!!

その言葉が焼き付いて離れない。言葉を選んでくれたって、プレゼントを選んでくれたみたいに嬉しいものだ。

家の窓から桜が見える。とてもきれいで、それをなんと言葉にするか、そんなことを考えてる今日この頃です。

もしよかったら書籍「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」手にとってもらえたらうれしいです…!それでは、また!

※2020年7月28日追記※

このnoteには、想像もしないつづきがありました。「(英語に)訳さずにはいられませんでした」僕のもとに一通のメッセージが届いたんです。ぜひ、合わせてご覧ください。


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いつか会いましょう(^o^)ノシ
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コピーライター&作詞家。著書「コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術」(ダイヤモンド社)発売中です! 「企画でメシを食っていく」主宰 プロデュース→映画「君が君で君だ」著書『待っていてもはじまらない』をnoteで全文公開中!